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非常によろしくない。
最初に確かめたはずの彼女の初々しさ、優しさ、大人しさ、恥じらい、それらの要素が揺らいできている。
彼女は完璧な素材であるはずなのに。
彼女が、その両眼に激しい蔑みの色を浮かべて私をにらみつけている。
何という眼だ。
気に入らない。
私を責めるようなそんな眼差しは非常に気に入らない。
それにしても。
睡眠薬は、まだ効果を現さないのだろうか?
あれだけの量を飲んだのに、いささか効き目が遅すぎやしないだろうか?
私は自尊心を保つためにも、とにかく話を続けた。
「髪の毛や細かい部分はその後で丁寧に処置する。そうすることによって」
「もういいです」
彼女が遮った。
私は頭に血が昇るのを感じた。
先ほどまでの抑えきれぬ興奮からではない。
これは怒りによるものだ。
もう彼女との会話は楽しいものでは、なくなっている。
早く、もの言わぬ美しいだけの彼女にしてしまおう。
まだ薬は効いてこないのか?




