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「眠らせた彼女たちに今度は全身が麻痺する薬を注射する。この時点では死なせない。ちゃんと薬品を計算して体重に合わせた量を射つ。この部分を完璧にするために、私は医者の知識も持っている。そう、もちろんこの目的のためだけに勉強した」
そろそろ、彼女の双眸に恐怖の色が浮かんでも良い頃だが。
どういうわけか、その兆候は全く見られなかった。
私は戸惑った。
しかし、それを彼女に悟られるのは何やら悔しい気がした。
私は平静を装って、話を続けた。
しかし、早く彼女を怯えさせたい負けん気から少々、早口になってしまったかもしれない。
「麻痺させた女たちをどうすると思う? 丁度、この真下にある」
私は床を指して見せた。
「地下室で生きたまま型にはめる。ポーズをつけないといけないからね。そして、その型の中に特別製の蝋を入れる。そうすると…そうだな。フルーツをコーティングする飴を見たことはあるかね? 果物を薄い飴が覆っているだろう? あの状態になると思えばいい。この時点で女たちは死ぬ。ここが重要だ。最高に美しい状態、美しいポーズが永遠に切り取られるわけだ。これを実現するために私は」
「蝋の製法や特性を研究したって言うのでしょう?」
彼女の生意気な口調に私は呆気にとられた。
これはよろしくない。




