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私は目の前に座る二十代前半の美しい女をもう一度、見つめた。
肩までの黒髪。
軽くウェーブが、かかっている。
大きく、やや垂れた瞳は愛らしい。
鼻は小さく、それほど高くはない。
唇はふっくらとして口紅は落ち着いた色だ。
美人ではないがかわいらしく、人の目を釘付けにする。
魅力的だ。
白のブラウスは顔のあどけなさとはアンバランスな、かなり豊満な双丘によって張りつめている。
紺のスカートで隠された太ももの上で小さな両手の指を不安げに組み合わせる様子が、また素晴らしい。
興奮する。
とても良い。
彼女はまさに私が求めていた女性だ。
今までで一番良い。
これまでは、どこかしら妥協していた部分が必ずあった。
顔が良くても身体が違う。
その逆も。
眼が違う、鼻が違う、口が違う、耳が違う、それこそ言い始めたらきりがない。
とりあえずは自身の心から湧き上がる猛々しい欲望を静めるのが先だ。
そうしなければ私の精神はおそらく30年前、20代頃には空中分解を起こし、粉々に四散していただろう。
私は自身の興奮を彼女に悟られぬように鼻で深呼吸し、気持ちを落ち着かせた。
幸い彼女は大人しい性格のためか伏し目がちで、こちらは見ていない。
そうとなれば私の妄想は、ついつい拡大を始めた。
早く彼女の生まれたままの姿が見たい。