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episode,005 彼に新しい名前を




「……一年半前に、本物であるジャンヌ・ダルクは姉であるジェシカ・ダルクの目の前で自害をしたんだ」


「自害……?」



青年は自分が知っているのは、ジャンヌ・ダルクの記憶を引き継いでいたからこそ教える事が出来ると言い、少しずつ真実をククルに教えていく。



目の前で自害をしたのは、ジャンヌが“預言”を視るという力を失った事で姉であるジェシカと揉めていた。



だが、どうして“預言”の力を失ったのか。


それは、ジャンヌが“純潔の少女”ではなくなったからだ。

好きな男性と契りを交わし、それによってマナクリスタルの恩恵だった“預言”が使えなくなってしまった。


だからと言って、姉であるジェシカも本来ならば扱えたのだが何者かに“純潔”を奪われただけではなく、その何者かに傀儡術式を施された事でジェシカはジャンヌを憎み罵った。



「……そのあとは、ジェシカが手にした技術でレプリカの製造を始めた……俺を含めると、14人も造られている」


「……だから、異様にマナが枯渇しているんだね?」

「レプリカを造るために、自然界にあるマナを摂取しているってわけだね」



ククルは青年から聞いた話をまとめて、今後の修繕について考えていた。


次に作られた場合、この土地のマナクリスタルは崩壊し“第1のアーティファクト”の消失する可能性がある。

そうならないためには、次にレプリカを作らせない事や姉であるジェシカの傀儡術式を解除しないといけない。


だが、それらが上手くいく保証はない。

その場合、最悪な事となるのは確かである。



“再構築”



同じアーティファクトを作り、元々の記憶をあたらさマナクリスタルに移して“預言”を無くして、ジャンヌ・ダルクが自害をする前に戻すという荒業である。


そうなると、目の前にいる青年の存在は消えてしまうだろう。

利用されるために、生まれた青年にとっては何の罪もないのだ。



「……そういえば、貴方の名前は?」


「俺には、名前なんてない」

「ジャンヌ・ダルクのレプリカだから、名前なんて不要だろ?」


「むー、名前がないと不便なんだけど……よし、私が名前を付けてあげるっ!」


「は?」



ククルは何かを考えたのか、青年に名前を付ける事を決めた。



「“ジオ”」


「……なんで、名前なんか……?」


「これから、私の“相棒”になってもらおうかなーって!」


「……相棒……」


「そうっ!これから、ジオは“自由”なんだよ!」



ククルはジオの顔を見ながら、満面な笑顔で答えていた。


新たな人生をジャンヌ・ダルクのレプリカではなく、“一個人”として迎えるためにククルはジオを相棒というより仲間として迎える事にしたのだ。



「自由、ね…………悪くは、ないな」





ーNEXTー→

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