episode,002 聖女ジャンヌ
ククルは、市場の品物を見ながら素材を探していた。
もしも、マナクリスタルが石になっているならばマナクリスタルの修繕に必要な素材が、必要となる。
だが、それは現地で手に入るとは限らない。
それでも、もしかしたら市場に出回っているという可能性をククルは考えていた。
(やっぱり、そんな簡単には見つからないかぁ……)
(でも、揃うかな……今の箱庭の状態を考えると……)
ククルは考え事をしながらも、市場の品物を見ていたのだが隣に立った先程の広場に居た青年に呼び止められた。
「ちょっと、いいかしら?」
「へ?あ、さっきの……」
「少しだけ、お話……したいのだけど……宿屋で、話をしない?」
「お話……?」
ククルは青年と共に、その場から歩き出して小さめの宿屋へと向かうと青年は一室だけ借りると、ククルと共に部屋へと入る。
「あの、話って?」
「……どうも、異質過ぎて見えない」
「……異質?」
「……何度も、てめぇの“預言”を見ても……何も見えないのと、モヤモヤしていて余計に分からない」
青年は声を低めにしては、扉の鍵を閉めると後ろへと振り向いてはククルを軽く睨んでいてククルは軽く首を傾げていた。
「誰だろうと、必ず“預言”が見える筈なんだよ……なのに、てめぇだけが《見えない》ってのは異質過ぎる」
「!?」
(あ、そっか!……創造具使いだから……対象者じゃないから、見えないんだっ!ど、どうしようっ?)
青年がククルへと近寄ると、ククルは後退りをしていたのだが壁にぶつかりククルは焦っていた。
「……てめぇ、何者だ」
「えーと、そのー……」
ククルが目を泳がしていると、ククルの影から黒いシルエットのような狼が顕れて青年を威嚇していた。
「あっ!?」
《グルルルルッ》
「なっ……!」
黒いシルエットのような狼は、青年へと飛び掛かりながらもククルに部屋を出るように目で訴えると、ククルは小さく頷いては扉の鍵を開けて部屋を走って出ていく。
「チッ……、くそワンコがっ」
《グルルルルッ……》
青年から逃れたククルは、都市の郊外にある森林へと入り木に寄りかかる。
「はぁ、はぁー……」
ククルの肩には、黒いシルエットのような蝶が止まってはククルを心配そうに様子を伺っていた。
「ありがとう、リアムパパ」
「もうちょい、此所について調べないといけないかもしれないね」
ククルは都市の方を見つめては、先程の青年について考えていた。
どうして、“聖女ジャンヌ”が女性ではなく男性だったのか。
どうして、水晶珠から女性の声がしていたのか。
「謎だらけ、だなぁー……」
ーNEXTー→