episode,001 ククルのアトリエ
空は白夜、周りは深い森。
そんな場所に、一軒家が一つ。
その一軒家の扉の上には、古くなった木の板に“リアムのアトリエ”と書かれていた。
此処は、“箱庭の外”と呼ばれた場所。
《創造具ーアーティファクトー》を作れる錬金術士、“リアム・アーデルハイド”が住んでいた場所である。
だが、リアムは箱庭のマナ枯渇問題を阻止するために“箱庭”へと生体リンクをして亡くなったのだ。
それでも、いずれは《創造具ーアーティファクトー》は崩壊する寸前でもある。
だからこそ、リアムは一人の少女に託した。
「よしっ、準備おーけぃっ!」
一軒家の扉が開いて、新しい木の看板を持った水灰色の髪色にロングウルフカットで尻尾を三つ編みにして、翡翠の瞳をした少女が出てきた。
その看板には、“ククルのアトリエ”と書かれていた。
彼女こそ、リアムの意志を引き継いだ三代目の創造具使いの錬金術士である。
「うん、立派っ!さて、箱庭の様子を見ないとねっ」
ククルは、一軒家の隣にある庭園へと入れば24個のテーブルの上に23個の“創造具ーアーティファクトー”が置かれていた。
それぞれの“創造具ーアーティファクトー”を見れば、マナの枯渇が少しずつ起きていた。
「……まずは、一番酷い所から様子を見て解決させて行かないとね」
ククルは、“一番目のアーティファクト”でもある瑠璃色の宝石が付いた十字架の前に立っては触れてみると、ククルの身体を淡い光が包むとククルの姿は消える。
*
ククルは目を開ければ、何処かの都市の路地裏へと辿り着いていて周りを見渡してみる。
「無事に、入れたかな?」
「よし、色々と情報収集しないとねー……」
ククルは背伸びをしてから、路地裏を出ていけば大通りへと出れば沢山の市場が建ち並び沢山の人々が行き交わっていた。
「……初めて、パパや自分以外の人を見た気がするっ」
ククルは、目を輝かせながら市場の品物を見たり行き交わう人々を観察していた。
そんな時、だった。
ククルは、広場に沢山の人々が集まっているのを見つけると広場へと通って人々の隙間を通って、広場の中心へと出てみる。
その場所には、灰色の髪色で長い三つ編みに空色の瞳をした女性のような青年が水晶珠を持って立っていたのだ。
《……今、この都市はマナが枯渇してきています》
《皆さんの力が、必要なのです》
「聖女さまーっ!!」
「ジャンヌさまっ、私達に何が出来ますかっ!!」
《遠征に行くのです》
《この地にマナを取り戻すために、他の地からマナクリスタルを分けて貰うために……》
どうやら、この土地のマナの枯渇を改善するために他の地からマナクリスタルを手に入れるのが目的のようである。
だが、マナクリスタルは分け与える事など出来ない。
砕けてしまうと、それこそ枯渇処ではなくなるのだ。
(この土地のマナクリスタル、もしかしたら石になりかけているのかもしれない……)
ククルは、その場を立ち去るのだが青年はククルの後ろ姿を軽く睨みながら見ていた。
「…………異質……」
ーNEXTー→