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織田信長の天下統一を手助けして現代に帰った俺が何故か祭り上げられている件について  作者: 廃れた二千円札
第四章:遠方からの来訪者

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第78話 遺伝

7月20日の昼下がり。オーレリーさんに聞き込みに行った彩花さんが戻って来たタイミングでアリスちゃんが起きたので情報を再整理したい。オーレリーさんの独自の意見も入ってそうだけど、大統領補佐官だったし、初日の様子ではしっかりと物事を考えられる人だという印象だから問題無いだろう。……筆談なら片言にもならないし、日本語での文通なら認めてくれるかな?


「えー、もう秀則様のお傍から離れないといけないの?」

鈴果(すずか)!さっさと行くわよ」


彩花さんと入れ替わりで出ていく豊森 怜可(れいか)さんと鈴果(すずか)さん。俺の外見と同い年……16歳だから、たぶん親衛隊の中では最年少だと思う。中国にいた時は毒物について色々と教えてくれたけど、活かす機会は無かった。北京の食糧庫に残っていた国民党軍の兵糧を燃やしてた理由は、彼女らが毒を見つけたからとか。一度毒を見つけてしまったからには全部を疑わないといけなくなるし、面倒だから全てを燃やし尽くしたのだろう。


……怜可さんは豊森家内でも珍しい、民間企業の社長の娘だ。怜可さんのお爺さんは豊森家の傍系の傍系のそのまた傍系だったそうだけど、人体実験の末に睡眠薬を開発して売りに出し、今ではかなり大きな企業になっているそうだ。毒物にも詳しくなる訳だな。


ちなみに、睡眠薬を不正使用すると犯罪になるようだ。不眠症だと判断された人以外が所持するには正当な理由がいるとのこと。しかし怜可さんと鈴鹿さんは持ち合わせている。睡眠薬が必要な状況って、かなり限定されている気がするけど、どういう正当な理由があるんだ。


まあ役職ではない平の隊員とはいえ、これから関わる機会は増えるだろうから名前と顔は覚えている。一応、製薬会社の社長の娘な訳だし。何で親衛隊にいるのかは謎。彩花さんと同時期に入って来た人は元軍人では無い人も多いから、お香の話が長い人とか、社長令嬢とか、特徴的な人が多い。


「彼女達は、秀則様の護衛の方ですか?」

「一応、親衛隊ってことになっている」

「……随分と人が多いですね」

「俺もそう思う」


アリスちゃんが目をゴシゴシしながら周りの人について聞いてきたので、親衛隊だと答える。ハーフ特有の茶色い髪だけど、確か金髪って劣勢遺伝だから子供には遺伝しないのか。だとしたら、孫の孫の代まで茶髪な彩花さんの方が異常なのかな?アリスちゃんと彩花さんを見比べると、彩花さんの方が黒っぽいけど。


「で、彩花さんはちゃんと聞けたの?」

「はい。今から一字一句違わず、オーレリーさんとの会話を伝えます」


淡々とオーレリーさんとの会話を垂れ流す彩花さんだけど、率儀に相槌や咳払いまで再生するとか記憶力がヤバいな。レコーダーとして優秀過ぎるからこういう人材が戦国時代の時に欲しかった。……人類の進化の意味を考えるなら、優生主義は決して間違った考えではないのだろう。


ただ優生学を認めると、それ以外の人間には価値が無いのかと、暴れる人が多いから否定的なのだろう。実際に俺も反対派だった。俺自身が優秀だとはとても思えないし、差別的な意識の元だからな。だけど親衛隊や豊森家の人間を見ていると、上位の者とそれ以外で差があることは紛れも無い事実だ。教育や環境だけでは説明出来ないことが多すぎる。


「フランス……欧州には、優生主義とかあるの?」

「優生主義、が私の知る優生主義であれば、プロイセンでは大々的に行われました。スペインやイギリスでは行われていません。共産主義圏では、優秀な人を掛け合わせることをしているようです」


アリスちゃんに優生主義について聞くと、世界でもわりと優生主義は流行っていた。しかし方向性が違うのは興味深い。プロイセンでは弱者を切り捨てる方針で、フラコミュやイタリアでは強者を掛け合わせる方針だな。一方でイギリスやスペインでは倫理観の方が先行したのだろう。日本では両方行っているのが笑えない。しかも年季が違うから成功しているのも笑えない。


元々、弱者を守るための国なのに、国のために弱者を切り捨てるのは本末転倒だ。しかしそんな綺麗事を並べて平等主義を貫いたフランスは国そのものが共産主義化した。弱者を過度に保護することは、倫理観が育っていなければそれ以外の大多数の反感を買う。何より社会的弱者に『特権』を渡すことは、効率主義でもある日本では当分先になるだろう。


……こんな日本で老人が保護されているのは、そういう法があるからだろう。将来的に自身がなる可能性の高い、社会的弱者に対する保護は手厚い。後天的な障害者に対する保護が為されている辺りに、そういう意図が見え隠れする。


まあ、後天的な身体障害者や精神障害者の子供は正常な確率が高いのも、これを後押ししているか。遺伝実験の結果は、大体の面で引き継がれる割合はおよそ6割から7割、という結果になっている。


優秀な者同士を掛け合わせた時に、両親と同等以上のスペックを持つ者が生まれる確率は72%から78%という結果だ。逆に優秀でない者同士を掛け合わせた時に、両親が越えることの出来なかったハードルを越えられない可能性も68%から73%という結果が出てしまっている。


逆に、3割前後の確率で両親を越えることが出来ると分かってホッとした。もしもこれが1割以下だったら、もっと広い範囲で弱者の切り捨てが行われていたのかもしれない。


綺麗事を並べるとして、その先に実が無いと今の日本はついて来ないだろう。しかし残念ながら、今の俺の頭の中だけでいくら考えたところで、重度の先天的な精神障害者を生かすメリットは思い浮かばない。いや、メリットとかそういうので生かすという訳ではないことぐらい、分かってはいるのだけど……。


……これも今の日本を動かしている人達に考えさせて、答えを出させようか。先天的な重度の障害者を救う意味、そして人間の定義。それらを1人の人間が、というか人間じゃない俺が考えて答えを出すのは、違うだろう。

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