第43話 性意識
自慰、初経、妊娠、出産、強姦というような単語に嫌悪感がある方は読み飛ばすことを推奨します。
実際にその描写が入る訳ではありません。
朝になって目を覚ますと、彩花さんが俺の身体の上で寝ていた。俺とほぼ同じ身長で、体重に関しては彩花さんの方が重いので、かなり重たいというか、ずしりと来る。確かに行為後、女を身体の上に乗せながら寝るのは好きだったけど、それは女の体重が軽い時だけだ。愛華さんや凛香さんも俺の腕を抱き締めるようにして眠っているから、柔らかくて気持ち良いよりも、重くて痛いが先に来る。
……この3人の体重を合計すると、200キロぐらいだな。太っている訳では無いけど、凛香さんや彩花さんは胸が大きいし、凛香さんや愛華さんは筋肉質で体格も良いから必然的に重くなる。彩花さんは思っていたより筋肉が前面に出ていないから、陸軍より海軍の方が訓練は緩いのだろうか？それとも体質かな？
「……おはよう」
「おはようございます」
声をかけると、愛華さんは起きていたようですんなりと起きてくれる。重しが外れたので彩花を抱き抱えながら、座るような体勢になってベッドの上を見ると、色々と汚れていた。他の親衛隊員が綺麗にしてくれているかと思っていたけど、カピカピになっている部分や血がそのまま残っているから掃除はされてないようだ。
「10回から先は数えて無かったけど、何回出したんだこれ……」
「記録係を呼びましょうか？」
「聞きたくないからいいよ。
……何で、昨日になって迫って来たの？」
「秀則様が、いつまで経っても手を出されなかったので」
3人が突如として襲って来た理由は、不破野さんに興味を示したことが最大の原因だろう。3人とも自身の容姿には自信があるだろうし、抱かれることを覚悟して親衛隊に入って来ているはずだ。それなのに仕える当の本人が興味を示す素振りだけして手を出さず、他の女に入れ込もうとしていたらやきもきもするだろう。
……豊森秀則は一度関係を持った女性とは垣根が低くなるという記録があったから試したとか、単に上からの命令で関係を持ったとか、色々とその他の理由も考えられるし、そういう理由もあるだろうけど考えたくないから思考は放棄する。
「それに、秀則様が毎日1～2回ほどトイレで自慰していたことも知っていましたので……」
「……待って、トイレのことまで記録されているの？」
「もちろんです。16歳男性の平均自慰回数は1日で2.4回なので、秀則様は少ない方ですね。量は平均と比べると多い方です」
「そういうことまで、平均値を出しているのか」
愛華さんと話していると、俺が性欲を持て余していたことも察していた模様。この日本では16歳男子の平均自慰回数や量を記録して平均値や中央値を算出するだけではなく、初経時や精通時の年齢、母子ともに健康でいられる最適妊娠年齢、人間の発情期に関することまで調べている。とりあえず、性方面にかなりの力を入れていることはわかった。
「10歳の少年少女に、妊娠しやすい時期とか性行為に関する具体的な知識を教えているの？」
「いつかは知らなければならない知識ですから、義務教育の最終年度に教えています。ちょうど10歳だと、早い人なら身体が大人になる時期ですので」
「言われてみればそうか……いや、でもなぁ……」
秘匿するようなことでは無いことはわかるし、改変前の日本でも保健体育の授業は普通にあった。しかし小学生の範囲だと生々しい話は無かったはずなので、やっぱり違和感がある。
「ところで最適妊娠年齢が21歳って言っていたけど、根拠とかあるの？」
「21歳の時に妊娠すれば、子が生まれる時には22歳です。22歳で出産された子が1番丈夫になりやすく、出産時の母体への影響も少ないため、22歳での出産が推奨されています」
「今までのデータに基づいて算出しているのか。ちょっとそのデータを見てみたいな」
「私が覚えている限りのデータであれば、お教えします」
気になった最適妊娠年齢21歳、という数字について聞くと、わりと根拠のある説明をされた。
軽く年齢ごとに愛華さんから聞くと、15歳以下と35歳以上の妊娠はアウト。16歳から19歳までは妊娠すると成長が阻害されるし流産率も高いから非推奨。31歳から34歳までは妊娠も出産もできるけど、徐々に妊娠率も低下していくし、母体の影響度が増えていくので非推奨。子を産むのであれば20代が最も良く、中でも22歳で出産すると流産の危険性が最も低いとか。
22歳での出産で、流産の少なさ、母体への影響度の低さ、子供が丈夫な率の高さ、とかが被ったのは偶然なのか、必然なのかがわからないのは嫌だな。各年齢で100万回以上、具体例としての記録が残っているから、必然寄りでは見ているけど。……年齢別の流産率や妊娠率とかは、流石に改変前の日本でも調べているのかな？
でも大学生で妊娠と聞くと早い方だな、という感覚になってしまう。戦国時代にいた時よりか遅くはなったけど……。これは、俺の感覚の方が異常なのか？膨大な数の調査を様々な角度から行った結果として第一子の出産は22歳が適切、という結論が既に出ているのだから、信用してしまいたい。食文化や文明の発展具合、倫理観や価値観によって妊娠に適した年齢なんて変わるだろうけど。
「あともう1つ聞きたいことがあったけど、それはこの2人が起きてからにしようか」
「彩花さんなら狸寝入りをしていますよ。……いつまでそうやって抱き着いているのですか？」
「起きました。起きましたよ！」
「起きていたのなら彩花さんは早く身体の上から降りようか。凛香さんもおはよう」
「……おはよう」
彩花さんも凛香さんも起きたので、ベッドの上で姿勢を崩して座り直して3人に聞いてみる。
「それで、聞きたかったこととは何ですか？」
「ああ。この国で強姦した場合、どういう扱いになるのか知りたかっただけだよ。……単に気になっただけだから顔を青くしないで」
「……合意無しで男性が女性を犯した場合、5年以上の懲役に加え時間や回数によって罰金が200万から2000万ですね。
女性に暴行をしていた場合は、これに加えて懲役2年と罰金が100万円ほど加算されます」
昨日の愛華さん達の姿を見て、強姦について、もしかして法や規則が甘いのかと思ったら全然そんなことは無かった。年収の20倍の借金とか、この国だと一生強制労働だろう。可愛い女の子を襲えば人生が終わるのは何処も一緒だな。
「女が男を犯した場合は？」
「男性が抵抗の意思を見せていなければ和姦となりますので、実刑にはなりません」
「……えぇ？」
「もちろん、男性が抵抗していたり、女性が男性を殴る蹴るなどの暴行をして押え付けていれば、牢に入れられますよ？」
そして女は男を犯して良いとか酷い男女差別を見た。抵抗の意思を見せなければ和姦って、どうなんだろう？……文化の違いかな？抵抗しなければ、確かに和姦かもしれない？
一応、女性側から襲うケースの犯罪も起きているそうだけど、結婚以外の選択をする男性が少ない模様。よっぽど男性側が女性側を嫌いなケースのみ、訴える感じなのかな？
「薬やお香で眠らせておいて、和姦になるの？」
「あのお香、大した効果は無いですよ？秀則様は起きていましたし、本当に嫌であれば押し退ける仕草をすることは出来たでしょう？」
「……うん、普通に性欲に負けたことは認める。
けど、次からは止めて欲しい。気持ち良かったことしか記憶に無いし……どうせなら楽しみたいし」
抵抗出来なかったのをお香のせいにしようとしたら、大した効果が無いことを伝えられ、羞恥で顔が真っ赤になる。……何だかんだ言っても、身体は正直だということだ。
この小説はフィクションです。現実の人間の身体とは違う身体の構造をしているかもしれません。
次回からは真面目に法律の話をする予定です。
