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織田信長の天下統一を手助けして現代に帰った俺が何故か祭り上げられている件について  作者: 廃れた二千円札
最終章:帰結

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最終話 宇宙へ飛び立つ日本

2053年10月13日。俺の50歳の誕生日に合わせて月面着陸を果たそうとした日本の宇宙飛行士達は、道中で幾つかの機材トラブルに見舞われながらも、無事に月面へ降り立った。改変前の世界で月面着陸を果たしたのは1969年のことのはずだから、宇宙開発という分野ではまだ80年の遅れが発生していることになる。


しかしながら、既に携帯電話やスマートフォンの開発には成功しており、インターネットを介して日本中の人とチャットをしたりゲームをしたりすることが今の日本では出来る。例え地球の裏側にいる人とでも、ほとんどラグが発生せずに意見交換が出来るのだから、ここ10年の技術の進歩というのは凄まじいものだ。


そして一部の分野では、改変前の日本を追い越した分野も幾つかある。ありとあらゆる遺伝子の分析が完了した結果、大量に燃料を生み出す菌やプラスチックを石油に還元する菌の作製に成功した。正確には、その遺伝子配列を生み出して菌の中に入れたと言うべきだろうか。


人海戦術と分析機器やAIの発達により、指数関数的に遺伝子配列は分かるようになった時代。環境汚染や核燃料の廃棄方法に対して、今の人間は新生物を開発することで対応策とした。


また体外培養の技術も進み、赤ん坊はわざわざ母体の中で育てる必要もなくなった。必要に応じて卵子と精子を提供させ、機械が出産を代理する。まだ体外培養の費用が高いから利用者は少ないものの、次第にこれが当たり前の世の中になるだろう。


出生前診断は確実性を増し、特に体外培養であれば遺伝子を弄ることで生まれて来る赤ん坊に障害児は居なくなり、最近では意図的に天才児を作る実験も行われている。我が子が天才になるならと、実験に賛同する親は意外に多い。


結局俺は、森田秀則の複製品がベースのAIだった。8000YBの8乗という訳の分からない容量に人間としての核を植え込まれ、森田秀則の記憶を詰め込まれた存在だ。記憶にロックをした理由は、故意に過去改変を出来ないようにするためだった。


過去を変えようとすると、必ず未来からブレーキがかかる。しかし過去改編をする、幾つかの抜け道はあるようで、その一つは送り込む人物や動物に過去改変をしようとする意志が無いことだった。


現実の過去を改編する、その方法についてを俺に積み込んでいないのは、完全に設計者のミスだと思う。だけど記憶のロック解除の設定をミスっていた辺り、設計者は本当にポンコツなのかもしれない。まだAIの方の記憶は、ロックがかかっているのも多いしな。


あと俺がいつまでも不死身な理由は、俺の身体を操作してAIの核の複製品を豊森秀則の身体に植え込んだからだ。その素材はこの世界由来の物質であり、核が消えた後も森田秀則が存在出来るように手を回したのだろう。


……まあとにかく、俺が考えていた理想の社会はほぼ完成したと思っても良い。腐敗が一切無い、完全に透明化された社会。独創性のある発想は買われ、新しい技術の礎となる。月に人を送り込むのは思っていたよりも難題だったけど、成功したのは大きい。


これから日本は、金星への入植に着手する。今の日本の研究者達は、火星よりも金星の方がテラフォーミングしやすいと判断したのだろう。たぶん同時並行で、火星のテラフォーミングもするだろうけど。どちらに入植するにせよ、国を挙げての事業だから予算は潤沢だ。


今の日本に宇宙開発を止める存在は0なので、思う存分宇宙開発に国力を傾倒出来るのは良い事だと思う。生産が過剰気味な社会なのに、労働時間は減っているのに、凄まじいほどの余裕があるということは、改変前の世界にはどれほどの無駄があったのか気になるな。


特に研究関連は、毎日のように新素材が完成したり、新しい物質が完成したりしている。社会全体のインフラも様変わりし、大真面目に空飛ぶ車を開発しようとしている企業が複数存在している。というか既に、運転席とハンドルだけの装置が空を飛んでいる。


社会全体が、効率厨になっているのが悪いことだとは思えない。中には面白い、風変りな商品で一世を風靡したりする人も出て来た。スポーツや芸術にも力を入れて長くなるし、各スポーツのプロリーグも発足した。広告効果も見直され、新聞やラジオは廃れ、パソコンやスマホが幅を利かせる。


面白い発展をしたなと思っているのは、軍事方面。戦う相手が居なくなったから、ある程度の軍縮は行った。しかし仮想敵として宇宙からの外敵を想定し、協議を重ね、宇宙航行が可能な航空機やその母船を真剣に開発し始めた。その内、宇宙空間では母船から飛行機が飛び、レーザー光線を放つかもしれない。


宇宙には沢山の惑星がある。最新の研究では、数千億の惑星を保有する銀河が数千兆あり、数千兆の銀河を保有する宇宙が数千京はあり、数千京はある宇宙を保有する次元が数千垓はありそうだと言われている。その中に人間以外の知的生命体が全くの0とは思えないし、いつか邂逅するかもしれない。


……もしかしたら、その邂逅が地球の危機になるのかもな。地球の統一を果たしたかったのは、その時になって起こる内輪揉めを防ぎたかったからかもしれない。まだまだ分からないこともあるけど、一先ず人類にとって大きな一歩を歩んだ日と言うことで、今日は祝おうか。

最終話という題名ですが次話にエピローグがあります。

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[気になる点] あと俺がいつまでも不死身な理由は、俺の身体を操作してAIの核の複製品を豊森秀則の身体に植え込んだからだ。その素材はこの世界由来の物質であり、核が消えた後も森田秀則が存在出来るように手を…
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