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織田信長の天下統一を手助けして現代に帰った俺が何故か祭り上げられている件について  作者: 廃れた二千円札
最終章:帰結

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第376話 0.1%

いつの日か、前参謀総長の常久さんと言い争いをした時があった。


「もう、日本が世界を相手に戦っても99.9%勝てます。何故、侵攻を始めないのですか?」

「0.1%で負けるなら、まだ踏み切らない。せっかくここまで来たなら、勝ちが確定してから始めたい」

「……昔は、北アメリカ大陸へ無茶な上陸作戦をしたのにも関わらず、今になって慎重になるのは分かりませんね」

「俺的には、歳を重ねるごとに積極的になる常久さんの方が怖いよ」


2040年3月3日。今年から参謀総長に就任した知永さんは世界を相手に回しても100%勝てると明言した。しかし現在、世界情勢は非常に不安定になっており、フランスはスコットランドと手を結んだりしている。


20年は持つと思っていた戦間期の平和は、僅か15年で崩れそうだということだ。日本はあらゆる分野で既に世界トップを独走しているため、国力は世界を相手に戦ってももう余裕だろう。外国同士を争わせる必要も無いのだけど、それでも日本の被害を考えると争わせたい。


国際連盟は既に形骸化しており、日本の各報道局はこの失敗を嘲笑っている。カラーテレビを放送出来ているのは、今のところ日本だけだ。産業スパイが入らないよう、海外に日本製品が出ないよう、国境では徹底的な管理が行なわれている。


各国の犯罪率がなかなか低くならない中、日本だけは低かった犯罪率が更に低下し、告発の回数も少なくなった。腐敗が始まったのではなく、犯罪が限りなく0に近い社会になったのだと思って良いだろう。


その気になれば、弾道ミサイルを主要国の各首都に200発ずつ落とせるぐらいのミサイルは用意している。毒ガスは結局禁止にならなかったため、次の対戦ではえげつない毒ガス兵器が投入されることは確定しているのが怖いけど、こちらはミサイル迎撃機も配備を始めたので日本本土への被害は無いだろう。


息子の久仁彦は今年で18歳となり、陸軍士官学校を首席で卒業した。娘の友花里は、海軍士官学校を次席で卒業。この2人は示し合わせたかのように陸軍と海軍への道を選び、2人とも優秀な成績を修めている。


……まあ、ヤバいのは3年の飛び級をして姉である友花里と同時に海軍士官学校を卒業した花菜美の方だけど。能力だけで判断する社会は、時に残酷な結果をもたらすな。


いよいよもって久仁彦や友花里が兄、姉に見えると言われ始めた俺は、今日も色々な分野の研究開発センターに首を突っ込んではアドバイスになっているのか分からない程度の助言をして帰る。向こうも俺の扱いは慣れたもので、アドバイスは良ければ採用してくれるし、駄目なら駄目な理由も添えて突き返してくる。


物価は上昇を続け、2020年の物価からは約2倍という状況。工場による大量生産で安くなったものもあるけど、全体的に裕福になったので高級路線の商品も売れている。国有企業に勤める一般国民の平均年収は150万円を突破しているから、2020年から比較するとおおよそ3倍だ。


家電も高性能なものがどんどん登場し、価格が安くなっている。試作型とはいえ、コンピューターまで開発出来たのだから改変前の2020年まであと一息だ。


人口が多く、それを十全に扱える国。未来予想図が明確であるからか、発展スピードは速かった。お金が余り始めると、俺の趣味で艦隊整備に精を出した。バッシングは少しあったけど、それでも多数の賛成の声が後押ししてくれたことで、巨大な空母を多数保持するまでになり、公共事業として駆逐艦や巡洋艦を造り続けた。


既に空母の有用性が浸透し始めているので、ドイツやロシアも数隻の空母は保有している。フランスとか、6隻もあるような状況だ。まあ日本は、その10倍程度の空母が存在しているんだけど。その大半は、戦闘機と爆撃機をそれぞれ50機も積める巨大空母だ。


ジェットエンジンの改良が進むと、戦闘機や爆撃機にもジェットエンジンを搭載するようになったし、航続距離も大幅に伸びた。空軍の規模は世界大戦時の100倍以上に膨れ上がり、そのトップはずっと島津さんで安定している。


経済的にも、国力的にも、軍力的にも世界を併合出来るようになった日本に、勝てない可能性は無くなったと思っても良い。2031年に起きた世界恐慌から各国は未だに立ち直っておらず、いち早く抜け出したフランスは暴走を始めている。


第二次世界大戦は、今年中に始まるだろうな。フランスがドイツに占領地の返還を求めるのは、諜報員からの報告によると既定路線らしい。それにドイツは応じないだろうし、そこで世界大戦は勃発するだろう。


99%勝てるのではなく、100%勝てる。ようやく参謀総長がそう言い切れたのだから、ずっと成長を続けて来た意味はあった。まずは政府が形骸化しているアフリカ大陸の南部を集中的に攻撃して占領し、中米と南米も同時に攻め続ける。


南北アメリカ大陸の占領が済んでしまえば、後は消化試合としか言えない。ロシアは既に降伏の準備が出来ているし、世界統一を阻む物は無くなったと見て良い。後は日本の被害が1番軽くなるタイミングを見測るだけで、世界が日本になる。


そんな時に、1通の手紙が届いた。

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