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織田信長の天下統一を手助けして現代に帰った俺が何故か祭り上げられている件について  作者: 廃れた二千円札
第十ニ章:世界大戦 3年目

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第366話 2025年

12月は参謀本部が慌ただしく動いて、シナイ半島の制圧に全力を尽くした。日本軍は上陸した後、最初にシナイ山という山を攻略したのだけど、現地民の抵抗は凄いものだったらしい。何故かと思ったら、エルサレムに比べればマイナーだけど、教徒にとっては立派な聖地とのこと。


そこをさっさと日本軍が占領してしまったので、現地民からの反発は凄かったし、何処から湧いて出て来たのか分からないオスマン軍の士気も高かった。しかしながら、シナイ山を中心に地形を応用して戦う日本軍は防衛戦に強く、何度も跳ね除けた。


そして間隙を付いてアバダン方面に集結させていた軍を一気に動かし、ペルシアとオスマンの国境近くに出来ていた戦線の正面突破を行なう。急に戦う軍の量が3倍となり、空軍と密に連携をし始めた日本軍を相手に、オスマン軍は撤退を繰り返す。


日本軍の進軍が止まったのは、攻勢の開始から10日後。およそ250キロメートルも前進したバグダードという都市だった。何処かで聞いたことがあるなと思ったけど、もしかしてバグダッドのことかな?


バグダッドに関して、中東方面ではよく聞く名前の都市という印象しか無いし、テロ活動が盛んなヤバい都市というイメージしかないけど、この世界では純粋にオスマンの持つ中東最大級の都市だ。攻略には、時間がかかるかもしれない。補給も追い付いていないようだし、速攻は難しいなと思い知らされる。


オスマンには日本軍の牙が深く突き刺さったという状況で、2025年を迎える。この世界に来てから5度目の年越しだし、豊森邸にお参りをしに来る人は年々増加している。今の日本は変わったようで、変わってないところも多い。


「今年で将寛元帥は退役をするようですが、終戦までは参謀総長の座に座ると明言を致しました」

「……将寛元帥は別に能力的に不足は無いし、各戦線のバランスを保っていた人だから、退役は嬉しくないな。後任は、常久中将?」

「はい。終戦後は大将への昇進も決まっており、現参謀次長なので適任だと思います。常久中将がいなければ、あと3ヵ月は北アメリカ大陸の占領が遅れたかと」

「3ヵ月差は、普通に大きいな。まあ、俺もよく知っているから常久中将が参謀総長になるならそれで良いよ」


今年で56を迎える将寛元帥は、年齢を理由に退役を決意した模様。今年で終戦するという読みは彩花さんと一致してるし、まだまだ元気だけど若い人に椅子を譲るつもりだと思う。参謀総長のあとを継ぐのは、現参謀次長の常久さん。候補としては将寛元帥の弟である将伯元帥の名前もあったけど、将伯元帥ももう54歳か。


一方で常久さんは、まだ40代前半と若い。次期参謀次長の座は壮絶な奪い合いになっているけど、たぶんプロイセンでの戦線を管理している明久中将か中央アジア方面の戦線を管理している毛利少将かな。後は、知っている人だと秀一郎さんとかも候補には挙がっているみたい。


愛華さんから今年の陸軍事情を聞いていると、怜可さんが新しい親衛隊員を引き連れて来た。今年は5人が25歳に到達するから、新しく5人の女性を連れて来たようだけど、1人だけ明らかに浮いている人が居た。


小野塚(おのづか) 桃歌(ももか)です。よろしくお願いします」


雰囲気が違うなと思っていたら、豊森家の人間では無かった模様。豊森姓以外が親衛隊員になるのは、相当珍しいというか、初めてだ。身長は低く、145センチのようなので他の親衛隊員と比べると一回り以上小さい。


しかし、市街地戦なら凛香さんと同程度の強さだとか。凛香さんもそうだけど、明らかに異質な動きをする人間が今の日本にはいる。小野塚さんの場合、幾つもの暗器を抱え持っているし、非常に物騒だ。……怜可さんはあらゆる薬を持っているし、鈴香さんはあらゆる毒を持っているから、それに比べるとマシかもしれないけど。


仁美さんは、今年で27歳になる。2児を持つ母となったから、徐々に母性を持つようになったし、5年前よりも格段に大人になった。最近は彩花さんの開発する化粧品のせいで、美しさに磨きがかかっているようにも見える。


……俺は、相変わらず16歳の時の外見のままだ。最近見た夢のせいで自分の存在について疑問を持ったりもしたけど、日々の生活は楽しんでいるし、子供達の成長を眺めるのも面白い。一昨年に生まれた仁衣奈と力弥と真奈華は、1歳のお祝いを終え、凄く不味い離乳食を投げたり吐き出したりしている。


プレートごと投げているのは、力弥だ。凛香さんの子供ということで、赤ん坊の時から身体能力については期待されているけど、現時点ではまだ並み程度。それでも活発でわんぱくな性格だし、久仁彦に続く2人目の男児だから将来は期待されている。性格は、やっぱり幼少期の環境によるものなのかな?


小学校という枠組みは、改変前の日本と同じになり、24学期制もスタートした。今のところは順調なようで、学年単位で指導するよりも楽だと言われた。何より、教育内容を細分化することで指導要領の見直しにも繋がり、教員の負担も減ったようだ。


教員の数自体は増えて来たようだし、あとは中学校で教えられる教員の確保だけだな。軍を退役した人の就職先として教員は人気になっているようだから、中学校の先生には怖い教師が増えそうだけど、そっちの方が良さそうだから何も言わないでおこう。

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