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織田信長の天下統一を手助けして現代に帰った俺が何故か祭り上げられている件について  作者: 廃れた二千円札
第十ニ章:世界大戦 3年目

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第353.5話 懐柔政策 

日本に占領された北アメリカ大陸のフラコミュ人は、3500万人にまで減っていた。一時期は1億人に到達しようとしていたフラコミュ人の約4割は戦争の影響で死に、生き残ったフラコミュ人の中には深く日本を恨んでいる人物も多い。


敗戦が濃厚となった時、北アメリカ大陸からの脱出で優先されたのは若い女や子供達だった。しかし、全員が逃げ切れるわけではない。民兵組織に入り、日本軍と戦ったフラコミュ人女性も居た。その民兵組織に加入した命知らず達は、6割以上が戦死した。


都市のあちこちが瓦礫の山となり、つい先程、解放されたばかりのフラコミュ人女性は倒壊していた自宅を見て、嗚咽を漏らしながら泣いた。夫は既に戦死しており、小さな子供達は本土へ送られたため、彼女は1人ぼっちである。


そんな彼女に、話しかける人物が現れる。


「あら、あなたは何で泣いているのかしら?」

『あなた、フランス人よね?何で日本語を喋ってるの?』

「教えて貰ったからよ。『日本語なんて、必死になって覚えれば1年で会話できるようにはなるわよ。憶えないと、これから損をするだけよ』」

『……っ!あなたのような、フランス人がいたから戦争に負けたのよ!!』


日本語を喋る女性は、泣いている女性が着ている番号の書いている白い服では無く、カジュアルなスーツのような服を着ていた。綺麗な金髪と流暢なフランス語から、泣いていた女性は間違いなく彼女がフラコミュ人だと判断する。


『はい、捕まっててね。4-31507278ということは、最近になって開放された3100万台?また監獄に逆戻りだろうけど、生きたいなら素直に日本人として生きることだね』

『離しなさいよ!私は日本人として生きて行くって言ったじゃない!話通じないの!?』

「……まだ改心出来て無さそうだし、奥の方に入れて良いわよ」


4-31507278はフランス語で連行する日本人を罵り続ける。その姿を見て、元フラコミュ人だったプリシラはため息を吐いた。


「馬鹿ばっかり。あの調子じゃ、家畜になるのも遠くないわね」

「家畜ではありませんよ。むしろ、あれでも女性ならば丁重に生かされるのですから、厚遇されている方です」

「……そうね。男なら、あそこを切り落とされるものね」


プリシアに話しかけたのは、プリシアへの元教育係であり、現在はプリシアの上司でもある日本人男性だった。彼らは解放されたばかりのフラコミュ人の動向を探り、日本人として生きて行けなさそうだと判断した場合、独房に送り込むという仕事をしている。


そしてプリシアは日本に恭順したのが早い方の人物であり、日本では5番目に仕事へ就くことが出来たフラコミュ人だ。1年以上働いた彼女は既にほぼ日本人と同じ権利を持ち、仕事への態度が真面目なことから一定の評価も得ていた。


唯一日本人と同じ権利が無いのは、外国人との結婚についてのみ。それ以外は、人間としての生活が保障されている。そして仕事時間外でフラコミュ人の懐柔の手伝いをすることで、臨時のボーナスまで貰っており、普通の日本人より厚遇されている状態でもあった。


「プリシア。今日は仕事の後に、49号館へ行って、夕食を食べて下さい。何でも食べて良いですよ。注文もし放題です」

「了解しました。49号館ですね」


プリシアが日本人男性に指示され、向かった49号館という建物の中には、プリシアの後輩女性達が数人いた。全員、仕事終わりなのか制服を着たままであり、中には妊娠している女性もいる。


「お疲れ様。今日は開放日だったそうだし、忙しかったわね?」

「はい。私は殴られそうになりましたが、上官が助けてくれました。思ってたより、日本人になってないフラコミュ人が多いです」

「まだ早かった、と私は思う」


彼女らは口々に今日のことや、明日の休日の予定などを話し合いながら、それなりに高価な料理と酒を飲む。建物の中にある窓の向こう側には、今日逆戻りしたばかりのフラコミュ人が詰められており、中には鎖を外そうと奮闘しているフラコミュ人も居た。


彼女らの楽し気な会話は、牢獄まで届く。もっとも、日本語を理解出来るフラコミュ人が少ないために最初は何を話しているのか理解出来ない。


しかし次第に、酒が入った彼女達はフランス語で牢獄にいるフラコミュ人を馬鹿にし始める。彼女達は最初から、フラコミュ人に対して罵倒するように頼まれていたが、きっと頼まれてなくても罵倒を始めていただろう。


そのフランス語での悪口は次第にヒートアップし、見張りをしている日本人達も苦笑を始める。牢獄で鎖に両手両足を拘束されているフラコミュ人達は、耳を塞ぐことも出来なかった。


『あはははは!ねえ、あんたらいつまでそこにいるの?私達は最初に開放された時から1年以上、一度もそんなところに戻って無いわよ』


既に一度解放され、再度捕まった人にとってプリシア達の言葉は非常に刺さるものだった。しかしそれでも日本に反抗的な人物の行く先は、家畜か人体実験の被験者となる。最近の日本では臓器移植の実験が活発になっており、傲慢という名の人体実験が横行しているため、反抗的なフラコミュ人の末路はより悲惨なものとなっていた。

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― 新着の感想 ―
[一言] 彼女らはコミュを貫くことを馬鹿だと言っていたのか あるいは勝者に媚びない事を馬鹿だと言っていたのか…
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