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織田信長の天下統一を手助けして現代に帰った俺が何故か祭り上げられている件について  作者: 廃れた二千円札
第十ニ章:世界大戦 3年目

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第351話 遺恨

俺の言いたいことは伝わったのか、知永さんは考え込んだ後、口を開く。覚悟していた否定的な反論は来なかった。彩花さんから、最終的に豊森家が霧散するならある程度の反発が豊森家からあるかもしれない、みたいなことを言われるような案だったけど、知永さんは追及しないのか。


「納得はしました。私が考えていた以上に、秀則様がこの問題について深く認識していたのは流石です」

「待って。彩花の妹からそんな風に言われたく無いのだけど。たぶん問題に対する認識の深さは、知永さんの方が上だよ?」

「秀則さん。今のは知永以上に秀則さんがこの問題に向き合っていたという意味では無く、単に知永が考えていた想像の秀則さん像よりかは問題を認識していたという意味ですよ」

「それは分かっているけど……知永さんから考えていた以上に、とか言われると、少し違和感があるなと思っただけだよ」


知永さんが考え込んだ後は、あっさり引き下がってくれた。なので知永さんにとっても、納得の出来る案だったのだろう。知永さんの心情的には、複雑かもしれないけど。家名を無くせと言ったら、似たような真逆の案が水面下で進行中だったのだ。提案した側としては、わりと恥ずかしい気持ちになる奴だな。


そして知永さんに流石だと言われたので、ここでは謙遜しておく。俺の脳はあくまでも平凡な男子高校生のまま時が止まっているし、頭の回転自体は早い方ではない。間違いなく、知永さんの方が物事を瞬時に深く考えられるだろう。俺がもっと頭の切れる人物なら、信長はあと10年は早く天下統一を成し遂げていただろうしな。


あくまでも改変前の知識があるからこの世界では未知の技術について優先順位を決められるし、物事を教えることが出来る。彩花さんがいるから、あらかじめ彩花さんに問題点を聞いておいたから、知永が何について考え込んでいたかも分かる。俺自身は、大した人物では無い。


……と、前までなら思っていた。しかしつい先日、見た夢がそれを否定して来たから個人的には困っている。


『……先日に起き……本改革党の党首、森田……が自宅付近の……死亡していた事件につ…検察は自殺の可能性が高いとみて……』


夢の中で見たニュース番組は、鮮明に聞こえていたし、把握もしていたはず。だけど、起きたらほとんどを憶えていなかった。憶えているのは、俺が何かしらの政党の党首だったかもしれないことと、俺が殺されていたことだけだ。


老けた俺の顔の写真の隣には森田秀則(50)と書いてあったし、2054年の夏頃に死んだということは分かる。ちょうど今から、30年後だったりするのか?


今の世界での予知夢なのかもしれないのだけど、個人的な感覚としては間違いなく改変前の世界だった。今までも何回か夢で改変前のことは見ていたけど、それと似たような感覚だったしな。そして夢で見ているのは改変前の自分が生きていたらという想像ではなく、実際にあった記憶を断片的に思い出しているのかもしれない。


……もしそうであれば、今を生きている俺は何なんだという話になるのだけど。もしかしたら俺は、改変前の世界でも政治家としてある程度の立場になっていたのかもしれない。


そして俺が自殺をしないタイプの人間であることは俺自身がよく知っているので、たぶん殺されている。もしかしたら、暗殺かもな。未来の日本がどういう日本になっているのか分からないけど、30年後は邪魔な政治家が暗殺されるぐらいに物騒なのか。いや、表に出ていないだけで普通にあることなのか?


実際にあった記憶を夢で見ているとして、最大の問題点は、あのニュースを見ていたのが誰なのか、だよな。今考えても仕方ないから、考えないようにしているけど。というか、2054年でもテレビはあるのか。壁に貼ってある超薄型のテレビではあったけど、2020年でも売ってそうなテレビだった。……何でこういう所だけ、しっかりと憶えているんだろう。


流石にこの夢は周囲に喋れないし、秘密にしている。なるべく考えないようにもしているけど、ふとした時に考えてしまうのは仕方ない。過去最大級に、気分の悪い夢であったことは確かだしな。


「俺は、知永さんが俺の存在を許さないと思っていたよ。頭の回転自体は、さほど速くない人間だし、改変前の世界の知識があるだけの保身的で利己的な人間だよ?」

「秀則様がトップであることには、文句を言うつもりがありません。戦国時代で様々な功績を打ち立てたことは間違いないですし、秀則様が日本の統治者として君臨してから明らかに日本は急成長を始めています。現時点では、歴代トップクラスの統治者ですよ」


豊森家の当主の中で比較するなら、歴代トップは孫の公秀だろう。フィリピンとインドネシアの各島を占領していって、海外植民の流れを作ったのだから、功績は大きい。日本が外国と戦って、初めて戦勝したのは公秀の統治下の時代のようだしな。


……中国領、北アメリカ大陸、ペルシア湾沿岸。この3つの大きな地域を俺が指示を出すようになってから勝ち取れたのは、今までの積み重ねも大きい。日本が力を蓄えていたから、俺が思っていた以上にあっさりと勝ち取れている。正直に言うと、北アメリカを取るだけで日本人が100万人は死ぬと思っていたからな。


俺がトップじゃ無くても、世界大戦に乗じてある程度の領土拡張は出来ただろう。そのこと自体は知永さんも分かっているだろうし、もしかしたら俺以上の功績を叩き出せていた人が居るかもしれない。だけど組織の上の方になればなるほど、人の比較をすることは難しい。試すということが、出来ないことだからな。

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