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織田信長の天下統一を手助けして現代に帰った俺が何故か祭り上げられている件について  作者: 廃れた二千円札
第十ニ章:世界大戦 3年目

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第348話 種牡馬

8月2日。毎年恒例となった、今年で5回目となる彩花さんの実家への帰省は、俺が個人的に稼いだお金の話から始まる。


「馬の種付け料だけで、豪邸が建つんだけど」

「秀則さんが買った神馬の種ですから、競りでは凄い値段が付いていますよ。上から200位までとしましたが、秀則さんの手元に入って来る金額は7億6千万円となります」

「最低でも1発3000万円って、何だろうね?この馬、そんなに凄かったのか」

「27戦26勝で歴代獲得賞金額1位ですから、秀則さん補正を抜いても未来永劫語られる馬になってましたよ」


最初の帰省の時に買っていた馬が昨年末に引退し、種牡馬入りを果たした。そして春になって種牡馬の種付け……精子が売りに出されるのだけど、税を抜いて手元に入って来たお金が7億6千万円。しかもこれ、産まれてくる馬がよっぽどの駄馬とかじゃない限り、毎年同じような額のお金が入って来るんだよな。


彩花さんが俺補正を抜いても未来永劫語られる馬だと言っているけど、レースでは俺の馬ということで忖度とかされてないのかな。一応、短距離ではレコードタイムも何回か叩き出したそうだけど、その時計は本当に正しかったのか問い詰めたい。


「アメリカ大陸でも馬を走らせるなら、馬産業は無理に縮小しなくても良いな?」

「そうですね。現地で馬も使うでしょうし、現状維持ぐらいが最適だと思います」


馬産業は昨年や一昨年に比べて、若干規模は縮小した。これは騎兵師団を減らし、機甲師団を増やすという理由があるからだ。でもまだ騎兵師団は存在しているし、アメリカ大陸でもわりと活躍をしていた。単純に、馬に乗れる軍人が化け物揃いという理由もあるのだけど、戦果は意外なほどに大きかった気がする。


……まあ、今の日本の馬は泳いで川を渡るからな。川底が深い川で、泳ぎながら撃つことは難しいけど、馬に乗りながらなら撃てるとか意味が分からない。でもそれで騎兵が活躍しているのなら、馬の進化は認めないといけない。


どうせアメリカ大陸でも競馬場は作るんだから、馬の数は現状維持が1番良いか?血統は確実に残していきたいし、減らす方向性も考えた方が良さそう。


さて。今回北海道に来たのは彩花さんの実家への顔見せもあるけど、彩花さんの妹である知永さんと会うためでもある。所属している軍から抜け出して、単身で良いから実家まで来いと連絡しておいた。


アメリカ大陸の東海岸から、軍規模で日本に帰って来るならかなりの時間がかかってしまうけど、1人でならそこまで時間はかからない。一応、自動車も届いているはずなので彩香さんの実家に滞在している間には帰ってくるはず。


それまでは、まったりと過ごすことになるな。友花里に彩花さんの大好物だった牛乳を飲ませると、凄く不味そうな顔をして飲んでいる。親子で味覚は似るというけど、友花里は両親が好きな牛乳が嫌いなのか?少し残念な気もするけど、子供の内は味覚なんてすぐに変わるし、まだ好きになってくれる可能性はあるかな。


「彩花が子供の頃って、何が好きだった?」

「牛乳と、チーズとジャガイモですね。どれもすぐ近くで買えるので、茹でたジャガイモとチーズを焼いて、食べたりしていました」

「そう言えばこの周辺は、数件の民家しかなかったし食生活も偏るか。育った環境の差は、大きそうだな」


友花里に馬を見せるついでに、馬へ乗せてみると凄く喜んでいた。友花里は馬に乗せても良いのに、久仁彦が駄目なのは落下の心配があるからだろうな。曾孫を抱えて馬に乗れて、彩花さんの祖父である賢士さんはご満悦の表情だ。俺は馬に乗るのが相変わらず下手だし、馬にストレスを与えそうなのでパス。


……今の日本の馬ならストレス耐性すら高いから、乗っても良いかもしれないけど、単純に乗りたくない。馬に乗って、良かった記憶とか全く無いしな。むしろ勝手に突っ走られて戦地のど真ん中で振り落とされ、捕虜になった記憶とか、俺の乗った馬が急に発情して牝馬へ襲い掛かったりとか、ろくでもない思い出しかねえ。


俺にとって馬は金儲けの道具として扱って来た存在だし、戦国時代では乗り物兼非常食でもあった。荷物を運べる上に、現地で食糧にもなる馬は非常に便利だったし、古来から人と供に生きて来た存在だろう。馬産業は、最終的には文化として残るのだろうか?


現状、競馬人気は陰りを見せていないけど、他の娯楽が増える度に相対的な人気は減る。競馬場が国営最大のギャンブル場である以上、人は残るだろうけど、将来的な規模は縮小傾向なはず。……いや、人口が伸びれば人が減るかも分からないか。馬産業は、確かに現状維持が1番だ。


「ところでロードカナリアは引退してしまいましたが、また新しく馬は買わなくて良いのですか?」

「……んー、ロードカナリアの子供が産まれたら買おうか。種付け料が最低でも3000万円だったことを考えると、1歳半での競りは最安値でも5000万円はするだろうけど」

「そうですね……健康状態が良ければ5000万円は降らないと思います。健康状態が悪くても、3000万円はするでしょうね」

「そういうものか。まあ、来年に産まれて来る仔馬じゃなくても良いし、手続きは思っていたよりも大変だったから、買うのは急がなくても良いかな」


俺個人の感覚として、俺が稼いだ金以外は自由奔放に使いたく無かったけど、ロードカナリアのお陰で散財するのも気持ちが楽になった。その点は感謝しかないし、引退した後はのんびりと過ごして貰おう。


……1年で200回もしないといけないとか、かなり大変な気もするけど。俺も似たようなものなので、頑張れとだけ声をかけておいた。

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