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織田信長の天下統一を手助けして現代に帰った俺が何故か祭り上げられている件について  作者: 廃れた二千円札
第十一章:世界大戦 2年目

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第340話 肥料

6月上旬。例年よりも多く雨が降っている梅雨の時期に、化学肥料の開発が終わって商品化が完了した。今年は東北と東海地方に限定して、水田や畑に化学肥料が使われるようだ。


この化学肥料には窒素とリン酸、カリウムやカルシウムなどが入っているらしい。一応、稲の収穫量は増えたし、これからは化学肥料を前提とした品種改良も行なう予定だ。と言っても、既に品種改良は半分終わっている段階だけど。


今年の東北で使う稲は化学肥料を前提とした品種改良を施した新種のものであり、上手く行けば収穫量が1.5倍になるとか。収穫量が単純に1.5倍はヤバいと思うけど、人間に害のある成分は入っていないとのことなので問題は無いのだろう。化学肥料の製造価格は、今はまだ高いけど次第に下がるはず。


「農作物の収穫量が単純に増えるとなると、色々と楽になりそうだな。農地を減らすことが出来るし、農業従事者を減らせるってことだから、その分の人手や土地を他に回せる」

「まだ結果は出ていないので、そういうことを考えるのは明らかな生産過剰となってからでも遅くはありませんよ。それにまだまだ肥料も品種も改良を進めるはずなので、結論は急がなくて良いかと」

「ああ、もっと改良する余地は有るのか。最終的に、収穫量は今の2倍ぐらいになりそうだな」

「そうなれば、出生率の制限も緩和出来るでしょうね。2.5付近まで、上げても良いかもしれません」


仁美さんからまだ人手を他所へ回すのは早いと言われたけど、将来的には確実に生産過剰となるはずなので、今から考えても早くはないと思う。とにかく化学肥料がどれほどのものなのか、成果を見てからにするけど、実験結果から考えると間違いなく収穫量は1.5倍前後になるんだよな。


「品種改良の方は実験結果が出るまで時間がかかると思っていたけど、早めに言っておいて良かった形か」

「はい。化学肥料が完成した時、すぐに試すことが出来る品種を幾つも用意出来ていたのは秀則さんのお陰ですよ」

「その化学肥料は、本当に安全か確かめてるよね?」

「流石に直接口にすると人体に影響はしますが、動物実験や人体実験の結果、化学肥料を使った作物を食べても問題はありませんし、美味しさも変わっていません。念のため、赤ん坊や子供の手が届かないところへ保管する事は推奨しています」


これで日本の耕作面積は多少減らしても問題無くなったし、これから都市部では高層建築物が増えて行くから、まだまだ国力は増やせる。浮いた人手は、これから興るだろう様々な分野の産業に割り振られるだろうな。


特に新規事業として、国のラジオ放送が順調に出来るようになって来たので、既にラジオ業界は発展の兆しを見せている。広告の概念も広まってくれたし、ラジオ放送の広告効果は凄いものだったから、一大産業にはなりそう。すぐにテレビ放送に乗っ取られると思うけど、それまでの期間でラジオの普及は進む。


自動車へのラジオの設置も進んでいるので、ラジオ放送が消えて無くなることは無いだろう。他にも新規事業として、ボールペンやホッチキスなどの文房具分野や彩花さんが関わっている化粧品分野など、様々な分野で人手が欲しい状況ではある。


都市部の高層建築物としてはマンションとかビルを最初に増やしたかったのだけど、まずは総合スーパーから建築している感じだな。京都の中央部に建てられるという総合スーパーは様々な飲食店を内包するらしいし、フードコートとかも出来るのかな。


京都は全国で流行った飲食店が一斉に集うから、日本一の食の激戦区でもある。美味しい店も多いし、俺もよく出歩いては店へ入ってお金を落としているので、京都の街はいつも盛んです。たぶん今の京都人は、世界一舌が肥えている民族じゃないかな。


「人は増えるから、団地みたいな建物を集中させる地区も作っていく必要はあるか」

「そうですね。特に国有企業へ勤める人が住む場所を1ヵ所に集中させることが出来れば、非常に効率的でしょう。管理はしやすくなりますし、悪い点が見当たりません」

「悪い点は、倒壊した場合の被害の大きさだな。団地にその国有企業の従業員を集めて住ませれば、大きな災害とかで倒壊した場合、企業として考えたくないような被害が出る」

「……災害などで、倒壊しないようには尽力致します。一応、2ヵ所以上に分散はしましょうか」


今は、日本の至る所で街の再開発計画を立てている。現行のテンプレ設計から、どこを変えていくかは慎重かつ大胆に決めて行っている。インフラ整備をする上でガス、水道、電気の一新もしていくから、総工費は京都だけでも相当な額になりそうだ。


……日本全域を工事しようとすると、どうしてもお金は足りない。中長期的に、気長にやるしかないんだろうな。高速道路の建設は、思っていたよりも遅れそうだ。瀬戸内海を渡る橋は、試算を出してみたらえげつない額になったので技術が追い付くまで保留になった。


改変前の世界の日本も、インフラ整備はずっと続けていたからあの日本が存在していたんだ。意識しないと分からない、先人達の努力の結晶だったのだろう。あのレベルに至るまで、管理社会を推し進めて超効率的に取り組んだとして、何年かかるんだろうな。

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