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織田信長の天下統一を手助けして現代に帰った俺が何故か祭り上げられている件について  作者: 廃れた二千円札
第十一章:世界大戦 2年目

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第319話 裏取引

ロシアは日本の広大さを、ある程度理解している。ロシア人留学生が色々な情報をロシア本国に送っていたから、戦争が始まる前はかなり警戒されていた時期もあった。しかしながら北アメリカ大陸へ大規模な強襲上陸を行ない、フラコミュ軍を相手に押し返し始めると、態度は一転して軟化した。


輸送量に限界のある北アメリカ大陸で日本軍はフラコミュ軍と対等以上に戦えることから、ロシアは日本とは張り合わずに共存共栄の方針を打ち出したのだ。元々日本が領有していた北方大陸領と、旧中国領で国境を接しているため、ロシアは広い国境線を守り切れないと判断したのだろう。


日本との国境沿いにロシアの都市が多いことも、絶望ポイントの1つなのかもしれない。とにかくロシアは、ひたすら日本へ擦り寄って来ている。それでも北方大陸領と旧中国領にかなりの規模の軍を置いているから、日本の用心深さも尋常じゃない。


「イギリスのアフリカ領の回復を手伝う文言を追加するよう、提案するか。それが1番現実的だし、こちら側が受け入れやすい。南アフリカ王国を、放置し続けるわけにもいかないしな」

「その提案をすると、アフリカ大陸の回帰すら手伝わないつもりだったのかと言われそうですね。

……ああ、それならそれで良いのかもしれませんね」

「提案を呑まないなら、アフリカ大陸の領土すら回復することは難しい現実を見させたい。イングランドが存在する以上、スコットランドがそう簡単に欧州の戦争へ介入することは出来ない。既に欧州へ派遣されていたイギリス軍は各地で擦り減っているし、脅威は減っているからな」

「1ヵ国への負担を大きくするような命令を下せるのが統一司令部の強みでもあるので、イギリス軍から擦り減るのは当然のことでした。……後は、スペインだけですか」


イギリスのアフリカ大陸にあった植民地は、それなりに大きい。アフリカ大陸横断鉄道、なんてものがある以上、その沿線は発展していただろうし、南アフリカ王国の脅威に対抗するためにはやっぱりそれなりの軍や施設が必要だ。


そのアフリカ大陸にあったイギリス領の回帰を、手伝うことにする。こちらとしてはメリットが全くないけど、スコットランドが敵に回るデメリットよりかはマシという程度だな。


「インドの回帰まで、イギリスは要求しないですよね」

「それを要求できる胆力は無いと思いたいけど、もしもインドまで要求して来たら跳ね除けるよ。そもそも、インドは戦争に関係無く独立しただろうし」


彩花さんと相談しながら、最終日が近くなって来た会談で提案する内容を固めていく。プロイセンは恐らく、イギリスに対して強硬な姿勢を貫くだろう。プロイセンが1番、日本の強大さを分かってないだろうしな。


日本も、スペインの力がどれほどのものなのか分からないから同じような物か。擦り減っていないということは、精鋭が生き残っているということだ。プロイセン軍もフラコミュ軍も、どこの軍も精鋭はどんどんと減っていく。戦場に送り込まれるのは、もう新兵だらけだ。


1年半の戦争で、新兵も精鋭も同様に減っていき、新兵だけが補充されるのだから当たり前の話ではあるけど。熟練の兵だと1分間で撃てる弾数から違ってくるし、その点で無傷のスペインは優位に立てる。


……スペインが、フラコミュと手を組む可能性がまだ残っているから話がややこしいんだよね。オーストリアも、オスマンも、別に共産主義国家ではないのにフラコミュと共闘しているし、フラコミュもこの2国のことを認めている。


利益が噛み合えば、いつ宣戦布告をされてもおかしくはない。そしてスペインが参戦すると、間違いなく北アメリカ大陸の確保が遅れる。……ロイズさんと個人的にも話し合いたいけど、ロシア皇帝のアルセーニさんが先に話し合っているから今日はもう無理だろうな。


何を話しているのか探りたいけど、ロシアの箱庭で盗聴の指示を出すわけにもいかないか。ということで、バルヘルム元帥と話し合う。プロイセン王の甥だからか、この人もかなりの発言力があるけど、ガチガチの武闘派だから考え方がわりと物騒だ。


「というか、バルヘルム元帥は統一司令部のトップなのに半月もここに居て大丈夫なの?」

『バルヘルム元帥は、統一司令部を離れて久しいですが大丈夫なのですか』

『冬の間、戦線はほとんど動きが無いから大丈夫だ。向こうも、冬季攻勢を仕掛けて来る余裕は無いのだろう。プロイセンの冬は、貴様等が思っているよりもずっと寒いぞ』

『そうなのですか』

『それで、相談事とは何だ。十中八九、イギリスへの提案についてだろうが』


バルヘルム元帥と彩花さんの会話は、ドイツ語で行われている。ぶっちゃけ、全く会話の内容は分からない。


『はい。相談事とは、スコットランドへ提案を呑ませる方法についてです。現状、イギリスはブリテン島本島以外の領土の9割方を失陥しています。インドは流石に無理でしょうが、それ以外の回帰について手伝うことを条件に致しましょう』

『それで、あのロイズが素直に首を縦に振ると良いな。だが、現実的な案だ。スコットランドとスペインまで、敵に回している余裕は無い。しかし、追い詰める以上は最悪の覚悟をしておいた方が良いだろうな』

『それを回避するため、アルセーニ様は秘密裏に裏取引をしているのでしょう?』

『ああ、恐らくな。……明日、最悪のシナリオを回避したら乾杯でもしようじゃないか』


話し合いが終わったと思ったら、彩花さんが今の会話の翻訳をしてくれる。……何というか、俺の考えていることを彩花さんは把握しているから、通訳じゃ無くてもう俺の代理として提案をしてくれている。だから申し訳無いけど、非常に楽をさせて貰っている。


……プロイセンに話は通した。ロシア側も動いているから、明日には決着が尽きそうかな。

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