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織田信長の天下統一を手助けして現代に帰った俺が何故か祭り上げられている件について  作者: 廃れた二千円札
第十一章:世界大戦 2年目

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第308話 血税

冬に入って世界各地で激突が繰り返されている戦場は、徐々にこう着状態へ入り始めた。そんな時期に医療分野で、少し問題が発生している。


というか国全体の問題でもあるけど、血液が足りない。輸血という概念があり、血液型の判別はしているので、今の所は献血で輸血分の血液を賄っていた状態だ。


しかし近年、医療技術の進歩も再開されたので輸血すれば助かるという場面が増えて来た。しかしながら、献血を行なう人の数が増えない。想定していた増加数より、明らかに少ないのだ。


善意による血は、なかなかに集まらないものだ。特に今の日本の献血は来てくれた人のための特典とかないし、献血してくれた人に特典を上げようという提案を豊森家に対して行なうと、売血に切り替えれば良いのではということになった。


ということで、血液の売買を解禁。20歳から60歳までの男女を対象に、半年に一度の売血を認めた。前回の売血から半年以上の期間が空いていなければ、不良な血液を提供したとして厳重な処罰を降す予定でもある。低所得者層が、期間を誤魔化して何度も売血をしないようにするためだ。


「250ミリを、半年に1回なら絶対に健康への影響は出ないんだよね?」

「はい。もう少し期間は短くても大丈夫ですが、このぐらいが差し支えないでしょう」


人体実験をしていたお陰か、頻繁に血液を抜くと下手しなくても死ぬことは分かっているので、期間を設ける必要性の理解はしていた。こういう時は、医療分野に詳しい怜可さんが頼りになる。


「確か、400ミリまでなら大丈夫だった気はするけど……そこまでする必要はないか」

「200ミリと250ミリで迷っていた状態なので、400ミリはちょっと考えもしなかったです。出来れば少数の人から多くの血液を回収出来る方が良いのですが、400ミリは人によっては大きな影響を受けますので」


怜可さんによると、200ミリの場合は1リットルを輸血するために必要な人数が5人になるのに対して、250ミリなら4人で済むから250ミリにしたそうだ。可能な限り、血液の元となる人間の数は少ない方が良いということはわかる。感染症とかのリスクも少ないし、多くの人の血液を混ぜるのは個人的な感覚としても怖い。


「これは、医者が告発するべきことなのか。医者が半年の期間を空けずに売血しようとしていた人を告発すれば、罰金の半額を貰えることにしようか」

「罰金の額にもよりますが、妥当ですね。250ミリで5000円を渡すことになっているので、罰金の額は5万円程度で良いと思います」

「……前回の採血日を勘違いして、半年空いて無かったりする人がいるかもしれないから、10年以内に2度という条件を付ければ良いのかな?」

「日付を記録する売血手帳を作製すれば、医者も事前に確認が出来るでしょう。罰金を科すのは、その売血手帳に工作をした者です」


売血に関しては各病院ごとに人を管理することによって、かかりつけの病院以外では売血を出来ないようにもした。売血手帳というのも作製し、血液を提供できる健康な人間である証明書の代わりとしても、機能するようにする。


ついでに、血液が余分にある状態の時は血液の買い取り拒否を行なえるようにした。一方で、血液不足の時は半年の期間が空いている人達の中から半強制的に売血させることにもした。もしも血液不足の時に買い取り価格を変えると、下手したらみんなが血液不足の時期を狙うかもしれないし、仕方のない処置だ。


血液は長い期間、保管することが難しい。成分が生きているから、冷蔵保存でも20日での破棄が義務付けられている。それ以上の保管は、今の日本だと無理だろう。だから血液が余っている状態だと、ちょっと勿体無い。買い取り拒否も、仕方のない処置だな。


ちなみに最近は、フリーズドライの技術を血液の成分にも使えないか検討している最中だ。凍結乾燥で血液の保存が出来そうというなら、やってみて損は無いだろう。たぶん、というか絶対に時間のかかる研究だとは思うけど、成果は大きいと思う。


売血制度を整えたところで、薬などの医療分野についても触れる。今のところは、漢方の延長線上にあるような粉薬とかがメインで、有効成分の抽出はしている。大量生産をしているのかと問われれば、微妙なラインだな。


一応、麻酔の概念は早々に再現が出来ていたのか、1600年代後半から麻酔を利用した手術というのはしていたようだ。だけど、理論体系は未だに未熟。衛生観念は俺のお陰か、かなり高い水準なのが救いだ。


医者の数は、そこまで多く無い。一方で、製薬関係の研究開発者は非常に多い印象を受ける。怜可さんは元々、製薬会社の社長令嬢だけど、人体実験に近いことはしていたようだし、医者という存在は研究者に近いのかもしれない。


薬関係は、珍しく民間の企業が強い分野だ。開発した者が勝者となるような世界だし、研究熱心な人も多いのだろう。診察を専門に行なう医者もいるけど、基本的には症状を聞いて薬を渡すだけの存在になっている。


医療器具も人体への影響が少ないような縫合糸や、細い手術用のハサミなどの開発が盛んだ。胃カメラとかの登場は、まだ先かな。一応、聴診器に近いものは作らせた。使い方として心音や呼吸音を聞くことは分かるけど、どういった音が聞こえたら不味いかとかは、流石に分からない。まあ、これから少しずつ分かっていくか。


医者の在り方も、幾つかに分類しておいた。今までも幾つかには分かれているけど、外科や内科で呼んだ方が個人的には分かりやすい。医者を目指していたらもっと色々と口を出せたと思うけど、聞きかじりの知識と医療ドラマの知識だけだと下手に口を出さない方が良い可能性すらある。


とりあえずは今は、医者の制度をより厳格にしておくべきか。今のままだと、たぶん研究者になるよりか医者になる方が簡単だから、医者の地位と質は研究者より上に持って行きたい。その分、研究者の枠を食うことになるけど、質の低い医者という存在による不利益を被る方が俺としては怖い。

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