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織田信長の天下統一を手助けして現代に帰った俺が何故か祭り上げられている件について  作者: 廃れた二千円札
第十一章:世界大戦 2年目

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第303話 戴冠式

2023年10月10日。この世界に来てから4度目となる誕生日を迎えて、今の日本の戸籍上では20歳ということになった。別にお酒は20歳からとか、年齢制限的なものは特に決まってないので、そういった節目では無いのだけど、この世界でも20歳は1つの区切りだ。


今の多くの日本人は、20歳で結婚を考える。というか結婚をする。国が行なうお見合いパーティーは18歳前後に集中しており、そこで生涯のパートナーに出会う確率はそこそこ高いようだ。


……まあ、お見合い云々については俺と関係の無い話だけど。一度、どういうお見合いなのかは見てみたい気もする。


「あー、でも俺が正式に皇帝を名乗ったのが20歳の誕生日ということになるのか。……タイミング的には、狙っていたのか?」

「区切りが良い事は確かなので、狙ってなかったと言えば嘘になります」


今の日本で10月10日は俺の生誕祭だったけど、昨年からは誕生祭に名前が変わっている。生誕祭は死んだ人の誕生日を祝う意味なので、色々と協議があった結果、切り替わったのだ。


そして今日、この日に皇帝を受け入れる正式な宣言も済ませる。戴冠の儀を行なうと言っても、今までのしきたりなどは失伝しているので、やり方は豊森家が独自に開発した。王冠みたいなものまで作られているけど、被るのが恥ずかしいな。


同時に、仁美さんは正式な皇后となる。結婚式の時のようなパレードも開かれ、誕生祭と合わさって盛大なお祝い事になった。身内ではしゃいでいるだけかと思ったら、100万人を超える観衆が京都の本邸と祭壇のある建物の間に押し寄せ、一時はパニックとなった。


「そう言えば、この建物って完全に儀式や典礼を行なうための建物なのか」

「そうですね、今の秀則さんと初めて会った時もこの建物でした」

「……この世界で生まれ育った俺の記憶もあるのだけど、話し方とか違和感が有りすぎて誤魔化せなかったな」

「その前に、目付きが違いましたよ。何も知らない幼子と、老獪な政治家ぐらいには差がありました」


仁美さんと思い出話でもしながら、観衆に手を振り続ける。老獪な政治家って……いやでも実際に戦国時代ではそうだったのだから何とも言えない。とにかく子供が多かったことは、豊森家の最大の原動力でもあった。


俺がこの世界に来てから、介入した物事は数多くある。今の所、功績になりそうなのは飛行機開発を中心とした研究開発の促進と海軍の拡張、中国や北アメリカ大陸への進出ぐらいか。


そう言えば海軍に関して、今日の午後に就航式が行なわれた。日本で初の、巡洋艦クラスの艦艇になる。名付けたのは俺で、名前は日神(にっしん)となった。設計段階から大きいのは分かっていたし、神の一文字は入れておきたかった。


ソナーと爆雷に魚雷も装備しており、装甲はフラコミュの魚雷を受けても耐えられるかもしれない、というレベル。全長は200メートルに達しており、今の日本の駆逐艦は150メートル弱なので一回り以上大きい。


何より、船なのに空間装甲を採用しているため多くの人は乗れない構造になっている。だからこそ魚雷を受けても一発は大丈夫なのだけど、とても不安だ。主砲には50口径22.5センチ砲が4基、副砲として60口径15センチ砲が6基も積まれており、対空砲や機関銃も多数配備されている。


速力は遅く、最高速度で時速40キロ程度。完全に、色んな物を詰め込み過ぎた弊害が出ている。まあ、大型の船は速力を出すのが難しいから、これでも速くなった方だけど。


「色々な兵装を乗せた分は、遅くなっています。実戦では、器用貧乏となるかもしれません。内燃機関も改良は続けられていますが、船の大きさとの兼ね合いもあるので遅いのは仕方ないですね」

「……誕生日に船が就航するのは良いんだけど、就航式を見に行けないから別日が良かったかも」

「同日にしたいと、造船所から要望がありましたので。実際には4日前の段階で、仕上がってはいたみたいです」


彩花さんが器用貧乏と言ったのは、何でも出来る船ではあるけど、何かに特化した性能は無いという意味だ。まだ、器用貧乏と決まったわけではない。しかし、日本の巡洋艦はこれから特色が出てくるはず。日神型巡洋艦の2番艦以降は、特色が出るようにもしているし。


その先駆けとして建造された日神は、未だにイタリア、オスマン海軍が狙っているセイロン島へ派遣されることになる。フィリピン沖海戦から回復した艦隊を再編するから、日神を旗艦になるかな。別に艦隊を追い払う必要は無いけど、いつまでもセイロン島への補給を遮断されているというのは良い状況じゃない。


戴冠式も無事に終わりに近づいたので、仁美さんに聞いてみる。


「戴冠式が、戦争中に行なわれるのは世界的に珍しいことではないんだよね?」

「珍しくないですね。欧州では戦争の期間が長いと、戦時中に戴冠式をするしかありません。日本の戴冠式に関しては、もう随分と行われていませんでした」

「……天皇家が、何の権力も持たなくなったからか」


しきたりなどが失伝したのは、失伝させる必要があったからだ。記録魔の多い豊森家が、紙媒体とはいえ昔の天皇の即位の礼を記録していないとは考え辛い。まあ、何処かで処分された可能性は高そうだ。それか、失伝したということが嘘という可能性もある。


今の天皇が何の権力も持たない存在だとは聞いていたけど、最早空虚と言っても良いだろう。いつの時代からそうなのか、調べることも難しそうだ。

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