表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
織田信長の天下統一を手助けして現代に帰った俺が何故か祭り上げられている件について  作者: 廃れた二千円札
第十一章:世界大戦 2年目

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

328/425

第295話 調停国

9月1日。京都に戻って来て各戦線の戦果を纏めていると、アメリカ大陸に上陸した軍が大いに活躍していた。サンディエゴ方面軍はメキシコからの奇襲も念頭に置いて、それでもなお侵攻スピードが落ちていない。


そしてサンフランシスコ方面軍は、北アメリカ大陸の中央部分を横断するかのような快進撃を始めた。中核となっているのは第3軍で、織田竜馬さんが司令官として率いている軍だ。この竜馬さんはマレーシア、というかマレー半島部分を支配する織田信弘さんの息子であり、日中戦争でも南部戦線で大活躍をした。


何と言っても、後方への浸透速度が尋常では無い。部隊が移動できる最大速度と距離を把握し切れてないと無理なことを実行しているので、視野が広いというか、計画の立案が異常なほど速い。即断即決も、有能な証だろう。今回も、後方への浸透を始めた。こうなれば、フラコミュ軍の壊滅まであと少しだ。


中央の軍は突出するような形で、ロッキー山脈を越えて後方にまで侵攻している。……イギリスからアメリカの地図を全て買い取っていたから、侵攻自体はスムーズな方だ。メキシコ軍が暴れ始めたお陰でもあるけど、素直にお礼は言えないな。


目に見えて侵攻が楽になっていることから、メキシコが今まで如何に働いていなかったのかがよく分かる。そのメキシコ軍に対して必死に対応しようとしている辺り、メキシコとフラコミュの間で何かしらの協定が交わされていた可能性すらあるな。それをメキシコ側が、破棄した可能性すらある。


「……メキシコ軍はヒューストンを陥落させたそうです」

「もう、そこまで侵攻したか。本当に、スペインが背後で操っているわけではないんだな?」

「はい。メキシコを攻撃しても、スペインは干渉しないようです。また、あることを提案されました」

「スペインからの提案か。何だか、聞くのが怖いな」


スペインの日和見問題に関してはスペインの外交官と日本の外交官が、秘密裏に会談を開いている。落ち合ったのは、スペイン領のマダガスカルだ。そこで日本は、独自にスペインの方針や考えを得ている。嘘かもしれないので、あまり信じたくは無いけど。


この会談で唯一確信を持って分かったと言えることは、メキシコが本当に目先の利益しか考えていない国だったということだ。スペインとは、無関係の模様。中南米の内、スペインと仲良くしているのはコロンビアとブラジルだけらしい。中米諸国連合も、スペインとは微妙な関係だとか。


入植した時に、いざこざがあった国とは仲が悪いのだろう。問題は、メキシコを敵に回すと中米諸国連合が同時に敵に回るということか。南に上陸したサンディエゴ方面軍に、どれだけの余力が出て来たのかは分からないけど、メキシコへの攻勢の準備もさせる。


そして愛華さんからの報告で、そのスペインは日本と協定を結びたがっていることを把握する。この世界大戦の、調停国としてスペインは介入したいそうだ。随分とまあ都合の良い事を言い出したけど、無視することは出来ない。スペイン陣営がフラコミュ陣営に加担すれば、戦況は一気に傾く。


世界のパワーバランスを、保ちたいとか考えてそうだな。日本としては北アメリカ大陸の主権とペルシアの併合、ペルシア湾の奪取ぐらいはしておきたいけど、認められ無さそうだから回答が難しい。


「日本の要求が、全て通るとは思えないんだよな。スペイン自体も、アメリカ大陸の主権を狙っていた国だし」


日本がスペインを調停国として認めてしまえば、両陣営が疲弊した頃に戦争の終了を持ちかけて、スペインが戦後世界で有利になるよう国境線を書き換えるだろう。俺の呟きを聞いた彩花さんは、少し考えてから口を開いた。


「……占領した北アメリカ大陸やペルシアへの移住を最優先事項として推し進め、占領地の返還に応じないという手が1番良いかと」

「日本軍が切り取ったのだから、日本の土地と言い張ることは出来ると思うよ。最悪、それは考えていることだし。だけどそれは、本当に最終手段だ。第一次世界大戦直後に、第二次世界大戦が起こることになる」


彩花の考え自体は、豊森家全体で考えていたことでもある。元々、西海岸には早期から移住を始めて人口を増やしていた。生産力を上げて、補給をしやすいようにはしていた。俺でも考え付くようなことだし、豊森家はずっと前から特定の占領地の返還には応じない構えだったのだろう。


改変前の日本で、ロシアが北方領土を返さなかったのと同じことだ。戦争中に武力行使で占領してしまえば、その国に返還する必要性は薄い。領土は国力の源であり、返還することは不利益の方が多い。


スペインはさらに、戦勝国が中心になる国際連盟の設立も提案してきている。スペインは、戦勝国側に入りたいようだ。随分と横暴だけど、設立自体は賛成の意向を示しておく。常任理事国の提案と、スペインの常任理事国入りも賛成の立場だと、言っておく。賛成するだけなら、問題はない。


「国際連盟ですか。確か、秀則さんの記憶にあった組織ですよね」

「ああ。国際連合の前身で、全く役に立たなかったイメージだな」


スペインも、一時は世界を支配していたような国だ。この世界でも技術力はあるし、軍事力も高い水準を保っている。何より、大コロンビア王国から石油が上納されていることは大きい。スペインの艦隊の、大動脈をコロンビアは握っている。


……スペインとは仲良くしつつ、この戦争中にスペインとの戦争の準備を行なうべきか。スペインの仲介によって被る不利益を日本がどれだけ我慢できるかは、話し合っておこう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 話が一応でも通じそうなのが ロシアとドイツしかないとか草 どいつもこいつも…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ