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織田信長の天下統一を手助けして現代に帰った俺が何故か祭り上げられている件について  作者: 廃れた二千円札
第十一章:世界大戦 2年目

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第286話 工場

8月2日。恒例となった北海道への帰省は、かなりの大所帯で行くことになった。毎年、この時期になると親衛隊の人数も長期休暇で減るけど、今年は全員が付いて来たしな。船も大型化しており、快適な船旅を過ごすことが出来た。戦争中に豪華客船を完成させるのはちょっとおかしい気もするけど、戦争開始前から建造は始まっていたから仕方ない。


彩花さんは今回の帰省で工場の建設を開始するところまで進めるそうで、張り切っていた。いや、土地の広さは知っているし、彩花さんの実家が金持ちなことは知っていたけど、工場を融資無しで建てるって時点で何かがおかしい。


しかも今回、彩花さんの懐から建設費用の50%を負担しているようなので彩花さん個人の資産額もちょっとおかしい。こうなってくると、俺の親衛隊として入隊するのは金目的では無かったことがよくわかる。


最近は北海道の作物研究所が新しい稲の完成をしたと言っているので、その視察もしたいかな。新しく開発された1094号は、寒冷耐性を持ちながらも土壌の栄養が豊富だとより多くの穂先が出るようだ。前に俺が行っていた化学肥料を受け入れる稲というのを、もう完成させたのか。


残念ながら化学肥料の方が未だに実験段階なので真価を発揮するのはまだ先だろうけど、日本の食糧事情はどんどん良くなるな。もうすぐ化学肥料も完成すると思うから、その時になって稲側に問題が発生する可能性もあるけど、この開発力なら大丈夫か。


「化学肥料を開発する研究所と、化学肥料を使った稲を開発する研究所を、分けたのは失敗だったかもしれないな」

「研究所同士の連携を、させる機関として研究統括本部を設置いたしましたが、開発となるとまた別の話になるので難しいですね」

「新しく、産業応用を考える機関でも設立するか?研究と開発を、分けておきたいという気持ちはあるぞ」


研究員の確保は度々議題となっており、現状はまだ数が少ない。フランス人を使ったりフラコミュ人の中でもすぐに恭順するような人を研究員に回しているけど、日本人の研究力が高まらないと一時的な延命にしかなってない。


わざわざ高度な学問を修めて研究員にならなくても、一次産業に従事するだけで裕福な生活が出来るというのも足枷にはなっている。共産主義では無いから、研究員を好待遇には出来るのだけど、それでも進学希望者が少ないというのは管理社会っぽくもあるし、頭が痛い問題だ。


……そして研究者を好待遇にすればするほど、働く時間が少なくなってしまうので研究力は落ちてしまう。まだまだ研究して欲しい分野は山ほどあるけど、この点はかなり足を引っ張っているな。


一度してしまったサービスというのは、基準を下げてしまうと不満が爆発する。こうなってくると自転車や自動車を、安値にしなければ良かったなとすら思うな。民間企業で働けば楽に買える高級品というのを、量産したくもある。


……あれ?化粧品は、その高級品に最適なのでは?ファッションにお金を出し続ける人種がいつの時代も一定数存在することは知っているし、起業して販売するのだから高値で売っても問題は無い。そもそも、彩花さんは化粧品を開発するに当たって、適当に地頭の良さそうな人を拾って研究員として1から育てるとも言っている。


こうなってくると、化粧品の値段は統制するべきだと思えて来る。彩花さんが起業した化粧品会社は大きくなりそうだし、値段の統制も任せてみようか。彩花さんの立ち上げる企業は脱国有企業の最初の一歩になるのかな?高級路線の企業というのも、これからの日本には必要となりそうだ。


むしろ、今まで高級路線というのが無かったことは停滞の要因でもあるな。食に関してはまだ高級路線は存在しているけど、他の産業では基本的に大量生産大量消費の考え方が続いている。これは、ちょっと考え直す項目が増えそうだ。


「仁美は、誰か服のデザインとか得意な人知ってる?」

「服の設計が得意な人なら、豊森家専属で働いている方が居ますよ?」

「その人に、高級な服をデザインして貰いたい。大衆が買える、高級品というものを生産したい」

「意図的に、格差を生み出そうというわけですか?可能ではありますが、時間がかかるかもしれません」


仁美さんに高級な服をデザインできる人というのを紹介して貰い、近い内に会って話もしたいかな。高級品は、すぐに大量生産しようとする精神のせいで次第に安価となる。ロシアから輸入していたお酒が、高価でありながらもずっと売れ続けた理由に、俺は気付かないといけなかった。


「……彩花が、何で化粧品の研究所兼工場を建てようとしているのかが分かったよ。単に、美を追求したいわけじゃないんだね」

「いえ、それも目的の1つではありますよ?それに、私は単にお金儲けがしたいだけです」


ニコニコと笑いながら土木工事を担当する人達と打ち合わせをする彩花さんを見て、改めて頭の良さというか、異質さに驚かされる。いやまあ、最初に高級路線の化粧品を販売するなら、確かにお金儲けも出来るし、自身の美への追及も出来る。


今まで、それに気付いた人はいるのだろうか?いたとしても、化粧品に対して持つ嫌悪感のせいで最初の一歩を踏み出せなかったか、資本が足りなくて諦めざるを得なかったはずだ。例え資本を持っていたとしても、人との繋がりや経営者としての才能も無いと難しいだろう。


友花里を膝の上に乗せて、お前の母親は凄いんだぞということを伝えると、友花里もコクリと頷く。この子も豊森家の2歳児の平均を全項目で軽く超えているので、異常な子になりそうだな。

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