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織田信長の天下統一を手助けして現代に帰った俺が何故か祭り上げられている件について  作者: 廃れた二千円札
第十一章:世界大戦 2年目

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第285話 冷夏

7月23日。いつもなら夏本番で暑くなってくるのだけど、今年はやけに涼しい。台風も来ないし、日照時間も短く感じる。梅雨が、長引いたことが原因なのだろうか。


気象に関する知識は皆無と言っても良いけど、日照時間が短いと作物に影響があることぐらいは知っている。逆にインドの方はかなり暑いようで、内戦の悪化も相まって餓死者が続出している。


インド人口の、5%ぐらいは内戦のせいで死にそうだ。5%と聞くと少なく感じるけど、2000万人と聞くと多く感じるな。


「結局、餓死しているのは不可触民だけどな。カーストの上の方ほど、何とかなっている家庭は多い」

「不可触民だけで構成されていた村などは、略奪され続けていますからね。略奪する側は、相手が反抗心を持たないことに、疑問すら持っていないようです」

「インドは多民族国家で多種多様な人間がいる。その内、不可触民を扇動するリーダーも出て来るはずだよ」

「東へ向かえという言葉自体は広まっているようなので、不可触民だけで自立しようとするでしょう。しないのであれば、支援を行なってでも自立させます」


インドには、引き続き日本教の布教と共産主義者への支援、不可触民の誘導を行なっている。既にイギリスは文句を言えない状況と言うか、大英帝国の存続すら危ぶまれているようなので好き放題に介入している状態だ。


ついでに、パキスタンがインドから独立した。インド領内のイスラム教徒が北西、ペルシア国境に近い地域に集まって、インドからの独立を宣言。もちろん、インドで内戦を行なっている連中は文句を言うけど、何の影響力も持っていない。だからこそ、仁美さんも不可触民による独立を狙っているし、俺もそれに反対しない。


これで、ペルシア軍は矛先を日本に変えるだろう。オスマン軍と共闘されているから厄介なのだけど、こちらもロシア軍に余裕が出来たのでロシア軍と連携を開始する。


何だかんだ言って、ロシアもスカンディナヴィア戦線は負担になっていたはずだ。まだ講和すら始まっていないけど、後方の予備兵力を中東、中央アジア方面へ差し向けることぐらいは出来るようになった。


ロシア軍自体は、そこまで強くない。だけど1個師団当たりの人数が多いからか、粘り強く戦える。資源も豊富だし、まだ日本は大量生産に向けた簡略化を行なっている段階のトラックを大量に保有している。


……一方でロシア軍は、装備の生産量が足りていない。だから結構な量の小銃と弾薬を日本から供給している。既に為替レートが確定しているし、ロシアの兌換紙幣が日本に入って来ている。ロシアの経済が、圧縮されそうで嫌だな。


「ロシアは金貨で支払ってくれているから、日本としては問題無いけど。それでもロシア経済への影響は大きいし、ロシアだけはまだ潰れて欲しく無いから還元するぞ」

「……金の価値が、日本で下がっても困りますからね」


イギリスに関してはプロイセンから入って来る情報を待っているけど、プロイセンが把握仕切れてないならかなりヤバい状況になってそうだ。インドがイギリスの手から離れた瞬間、インフレが始まって、エジプトを見殺しにした辺りでハイパーインフレに片足を突っ込んだ、ぐらいのことまでは分かってるけど。


どう考えてもインドはイギリスの生命線だったはずだ。イギリスが戦線離脱してしまうのはプロイセン陣営にとって相当の痛手だから日本もインドの独立を防ぐ手助けはしようとしていた。しかし、イギリスの外交官が何の返事も寄越さなかったので、介入は遅れた方だ。


いや、返事はあったけど引き延ばされたというか、軽く見られていたのだと思う。ロイズさんがイギリスの窓口に座っていたら、インドの内戦すら起こらなかったとは思う。あの人、外交官を辞めた後はプロイセンの対フラコミュ戦線に行こうとしているらしい。この前、ようやくロイズさんからその旨を書いた手紙が届いた。


「……スカンディナヴィアの講和は、8月下旬から9月下旬か。イギリスがプロイセンに派遣している軍隊を引き上げるのも、そのぐらいになりそうかな」

「お互いに、1国ずつが戦争から脱落した形になりますか。フラコミュがアメリカ大陸から欧州へ軍を再配置するには半年以上の時間がかかるでしょうし、2023年中に欧州で戦線は動きそうにありませんね」

「唯一、動きがあるとすればオーストリアとイタリアか。特にイタリアでは、反共産主義者も多い。ただ、共産主義陣営に囲まれている国だからなぁ……」


仁美さんが2023年中に欧州で戦線は動かないと予想するけど、オーストリア戦線では動きがあるだろう。プロイセンに仕掛けるだけの余力は無いから、仕掛けるとすればオーストリア軍とイタリア軍だ。


昨年の11月に行なわれたプロイセンの攻勢で、オーストリア軍とイタリア軍はかなりの損害を負っている。だけど国力に比べて、今までは少なすぎるぐらいの軍規模だったからこそ成功した作戦で、今では包囲殲滅をする前以上の軍規模になっている。


戦線を平坦化したお陰で、まだオーストリア軍やイタリア軍は効果的な攻勢に出られていない。しかし突起部は数か所、また出来てしまったようなので戦闘自体は継続している。この戦線が戦争の勝敗を分けると言っても過言では無いので、お互いに必死だ。


この戦争が最初、オーストリアの政治犯がプロイセンに逃げたことから始まったことは、もう誰の意識の中にも無いだろう。どこの国も次の時代で勝ち組になりたいからこそ戦っているし、そのために参戦する。メキシコが再度旧領回復に向けて前進を始めたという報告を聞いて、何となくそう思った。

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