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織田信長の天下統一を手助けして現代に帰った俺が何故か祭り上げられている件について  作者: 廃れた二千円札
第十一章:世界大戦 2年目

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第283話 フィリピン沖海戦

6月19日に、パナマ運河を通過したフラコミュの艦隊がフィリピン沖で発見された。どういうルートを通って来たのか分からないけど、3ヵ月近く太平洋を漂流していたのか。途中で、ルート変更とかもしてそうだな。


食べ物とかをどうしていたのかは謎だけど、日本の駆逐艦も3ヵ月分の食料に加えて非常用の食料を1ヵ月分なら積められるとのことなので、何とかなるギリギリの日数を生き延びたのか。


一応、フラコミュの捕虜の中で懐柔出来た人が吐く情報には、予定作戦行動日数の2倍の食料は積むらしい。日本まで、パナマ運河で補給をしていたとして移動にかかる日数は2ヵ月ぐらい。3ヵ月程度なら、余裕で耐えられそうだな。燃料の消費もなるべく抑えて、日本まで移動して来たのだろう。


当然、日本の艦隊と衝突するので決戦となる。大規模な海戦が起きて、その海戦はフィリピン沖海戦と名付けられた。個人的にはフィリピン沖海戦と言うより、レイテ沖海戦と名付けたいな。海戦の名前なんて非常にどうでも良いことなので、口出しはしないが。そもそも、レイテがフィリピンの近くにあることは知っていても、具体的な位置までは知らないし。


この海戦で艦隊の司令官である北目さんは、陸上からの支援砲撃が可能な沿岸部に広く艦隊を展開した。フラコミュ艦隊は、もう特攻してくるしかないと判断して、防御寄りの姿勢を貫いた。結果的に、これが大きく勝敗に左右したのだろう。


戦略的に優位な地点に展開をする日本艦隊に、フラコミュ艦隊は次々に特攻を開始する形で海戦は始まった。速度で勝るフラコミュ艦隊は最初、日本の艦隊を圧倒するけど、次々に増援として表れる日本の駆逐艦に、海上で包囲される形となる。最後には自爆気味にラムアタックを開始して、フラコミュ艦隊は全艦が沈んだ。


何がフラコミュ艦隊の敗因だったかと言うと、防御を重視した形で展開した日本艦隊に最初、突っ込むことをためらったことが敗因だと彩花さんは言っていた。突っ込むしか選択肢はもう無いという状況で、それでも他の策を考えてしまったことが敗因だとか。


これは、理解がしやすいかな。相手に突っ込むしか無い状況で、突っ込まないでいたら相手の軍がどんどん増えて、戦況が悪化してから突っ込んだということだ。生き延びる方法を、探そうとした証拠でもあるのだけど。


フラコミュ人も、人間だ。フラコミュに心酔しているからと言って、死んでも良いわけではない。中には殉職を望むような人間もいるというか、フラコミュ人はそういう人の方が多い傾向だけど、それでも生きようとする人もいるのだ。そういう司令官だったことが、敗因にもなったのは何とも言えない。


フラコミュ艦隊に乗っていた人達もほとんどは死んでしまったけど、一部の人は助けられたので捕虜として扱う。死ぬ覚悟が出来て無かったフラコミュ人の中には、巡洋艦の艦長も含まれていた。


大抵、艦長という生き物は艦と共に沈もうとする生き物だと認識していたけど、この人は単に死にたくないから生き延びたのだろう。


生存本能を持っていない生き物などいない。今まで気味悪かったフラコミュ人も結局は人間だということだ。士官で日本側に情報を吐いてくれる人材を確保したことは、非常に大きい。生存本能を爆発させてしまえば、余計なことまで喋ってくれるに違いない。


「……海軍の士官を2名、確保出来たことは大きい。間違いなく、フラコミュのエリート層だ。軍事的な機密情報を持っているかもしれないし、何としてでも懐柔したいな」

「船と共に沈むよう、船の乗組員には教育していたようです。それでもなお、生きたいと思った人間でしょうし、懐柔出来る可能性は高いですね」

「船と共に沈め、か。その命令が果たされるとでも、思っていたのかな?まあ、フラコミュのことがさらに分かるのは良いことだ」


彩花さんによると、やっぱり船と運命を共にするものだとフラコミュの艦隊の乗組員には教育されていたみたいだ。この情報自体、乗組員からの情報だろう。生存意欲が凄まじい人間は軍に必要なのだけど、足枷にもなるな。こうやって捕虜になった時、情報をべらべらと喋ってしまう。


フラコミュの海軍士官は、船の構造にも詳しいようだし色々と日本の艦艇の改善点も見つかるだろう。巡洋艦も進水式が行われた艦艇はあるし、海軍が更に増強されることは間違いない。


「フラコミュの巡洋艦は、速度もあるし装甲もあるから真似したい部分が多いね。船自体は、引き上げられない?」

「流石に完全に沈没した船の引き上げは難しいですね。何とか、潜水士を集めて浅い所で沈んだ船の情報を回収したいのですが……」

「それも難しいか。まあ、兵装の設計図なら幾つか手に入れているし、乗組員から得られる情報も多いから無理に引き上げなくても良いよ」

「一応、引き上げられそうな船は引き上げる予定です。幸い、陸地から離れていない海域で沈んだ船も多いので、1隻ぐらいは引き上げたいですね」


鹵獲した船は、確実な情報の塊となる。フラコミュの兵装の設計図は幾つか回収して、翻訳したり日本の船に転用したりしているけど、古いものが交じっていたり、試作段階というのも多かった。


まだ、フラコミュの最新技術に日本は追い付いてない分野が多い。何とかして、技術差は埋めたいところだ。一方で、フラコミュを大きく追い抜いている分野はこれからもどんどん投資していこう。具体的には、空と火砲の技術かな。特に砲の精度が良いことは、もっと活かしていかないといけない。

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