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織田信長の天下統一を手助けして現代に帰った俺が何故か祭り上げられている件について  作者: 廃れた二千円札
第十章:世界大戦

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第273話 2023年度

2023年4月1日。この世界にエイプリルフールなんて存在しないので、嘘をついても良い日なんて存在しない。そもそも嘘自体が、詐欺罪に問われそうな日本なので、冗談でも意図的に騙す嘘は言いたくない。


無事予算会議が今回も終わったので、仁美さんの魂が抜けかけている。今回は戦時国債の発行も行なって、予算が潤沢にあったから逆に辛かったのだろう。軍艦の建造費でも、予算の透明化をしているために一人一人の給料まで予算案に書いている。書いてあるということは、確認しないといけないということだ。


戦時国債とは別に、通常の国債も発行していくことにはなっている。今回は見送ったけど、来年度からは超低金利な国債を各企業に売りつけていくわけだ。これは一種のインフレ防止策でもあるし、日本円の価値を維持する機能も持っている。


今の日本は、豊森家の発行する紙幣で物の売買を行なっている国だ。この紙幣が価値を持っているのは単純に便利だからという理由もあるけど、元々の存在理由としては豊森家の提供する商品を買うためだ。


個人の労働量に応じた賃金を豊森家が払っているので、市場に出回っている紙幣の量を調整することも出来る。この紙幣が価値を持っているのは、豊森家への信用が高いからだろう。そうじゃなきゃ、ただの紙切れだしな。


「イギリスは、無から紙幣を生み出しているんだよなぁ」

「そうですね、国債を発行して国債の返還をしている状態なので、もはや無から紙幣を生み出し続けているでしょう。それが成り立っている原因を、ちゃんと解明したいという気持ちはあるのですが……」

「……分からない、か。1年の収入が1兆ポンドなのに20兆ポンドの借金ってことは、それだけ紙幣が市場で流通しているということだけど」

「秀則さんの言う、ハイパーインフレには繋がっていません。おそらく何処かで、市場に出る紙幣の量がせき止められているはずです」


ロイズさんとの会談で判明したイギリスの債務超過状態だけど、豊森家でも成り立っている原因というものを追究している。しかしながら、何処かでお金の動きがせき止められていることしか分かっていない。肝心な部分を、ロイズさんが答えなかったせいでもあるな。


不換紙幣は、大量に発行して国のお金として使うことも出来る。しかしながら今の予算が透明化された日本でそれを実行するのは、確実に国民からの不信を買う。予算の使い道は、研究開発費や軍艦建造費に使われているけど、基本的に人件費が1番の重荷になっている。国が無尽蔵に刷り始めた紙幣を受け取って、良い顔はしないだろう。


「仁美さんは、どこでイギリスがパンクすると思う?」

「それは、イギリスが成り立っている原因を突き止めないと何とも言えないです。しかし正義感の強い人が告発や告発に近いことを行なえば、それがきっかけになるかと思います。逆に言えば、全員が見過ごし続ければ、問題は発生しないかと」

「……なるほど。大衆が国の借金から意識を遠ざけ続けていれば、紙幣の価値は保たれるというわけか。問題になればなるほど、解決が難しくなるというのも面白いね」


仁美さんは、大衆が知らなければ問題無いと言い切った。実際、改変前の日本では借金について騒ぐ人もだんだんと少なくなっていった気がするし、具体性のある解決策を挙げられる人はほとんどいなかった。意識を遠ざければ、それだけで問題は無いのか。


紙幣の価値を決定付けるのは、結局のところ国民だ。お金よりも、金や宝石などの現物資産の方が便利になれば、お金に価値は無くなってしまう。イギリスが出来ることは、借金について出来る限り触れないようにすることだけか。


まあ、国民の全員を騙し続けられるなら崩壊する可能性は低いのかな。何となくそんな気はするし、イギリスも改変前の日本と同じような感じなのだろう。それでも、国家予算の20倍の借金はおかしいと俺は主張するけど。


国家の運営でそのような博打は許さないことを伝えると、仁美さんを含めて全員が頷いている。俺の頭が固いだけかもしれないけど、国債を無限に発行して造幣局に買わせる、みたいな手段は取りたくない。今後の方針でも、国債は基本的に企業や個人に対して売ることを決めたので、裏付けのない増刷は行われないだろう。


「そもそもの話ですが、研究開発費に多額の投資を行なわなければ予算としてはまだ余裕があります。必要なことだとは分かっているのですが……今回はインフラ整備と軍事費の肥大化も合わさりましたので、余計に研究開発費を他に回したかったです」

「……よく、期間内に折り合いを付けられたと思っているよ。本当に、感謝しかない。研究費だけは削りたく無かったからね」

「欧州列強に勝つためには、新技術が必要ですから、私も理解はしていますよ」


インフラ関係の予算は、これから継続して必要になるだろう。その内、高速道路も用意することになる。日本の物流を支える基盤が、汽車から自動車に変わるのも時間の問題だ。既に、軍用のトラックは開発を完了させている。


その内、アメリカ大陸での補給にはトラックが使われるようになるだろう。もっとも、トラックを生産する方法で少し躓いているので、本格的な生産は今年の6月からになりそうだけど。


……ガソリンエンジンの馬力をひたすらに向上させ続けている田中さんには、頭が上がらない。あの人は、戦闘機の開発をしながらガソリンエンジンの設計を何度もやり直している。本当に、日本に居てくれてありがとうとしか言えない。ちなみに今年、安香さんと結婚をするそうで豊森姓になる。


これからは、豊森 (さとし)になるのか。田中さんじゃなくて、聡さんと呼ばないといけないな。

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