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織田信長の天下統一を手助けして現代に帰った俺が何故か祭り上げられている件について  作者: 廃れた二千円札
第十章:世界大戦

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第272話 雪解けの攻勢

3月28日の朝、欧州でフラコミュによる大攻勢が行なわれた。ライン川で躓いていたフラコミュ軍が、一斉に渡河攻撃を開始。一部では既に渡河されているようで、統一司令部が慌てているようだ。


日本がアメリカ大陸で春の攻勢を開始する予定日は3月29日だったので、一日だけ遅れたか。日本軍にとってこの情報は、アメリカ大陸にフラコミュ軍が少ないという朗報かもしれないけど、プロイセンが倒れたら一巻の終わりなので楽観視はできない。


日本軍も追加でフラコミュ戦線に援軍を送るとして、占領したアフガニスタン領を通るロシアへ向けた鉄道の敷設も開始する。そこからロシアもプロイセンへの線路を新しく敷設するので、来年の冬にはプロイセンを食糧難から解放させられるはず。


フラコミュも、食糧難による配給量の低下が起きているとの情報が入ったのは大きい。どこも、我慢しながら戦っているのだ。日本だけだろう。朝になれば、商店が開いて格安のお米やお肉が手に入るのは。


「プロイセンも、配給量は減らしたのか。小麦粉の配給量を1日220グラムから200グラムに変更って、どのぐらいの減り方だ」

「まだ、それほど減っては無いですね。ただ、このまま行けば来年を迎える前に1日当たりの小麦は160グラムまで減るかと。肉の配給量も70グラムから60グラムまで減りましたし」

「まあ、ジャガイモは1日1ポンド……450グラムも配給されているから飢えはしないでしょ。それでも小麦の収穫量が欧州の方で、極端に減ったのは流石に生活へ影響するか。旧中国領で小麦の大量生産を開始していて、本当に良かったよ」


プロイセンはスカンディナヴィアへ同時強襲上陸をしようとしていたが、予定では4月からになっていた。バルト海はまだ氷が多い季節なので仕方が無いけど、悠長過ぎたな。軍を抽出、再編成するのは時間がかかるけど、統一司令部になってからの方が動きは鈍いような気がする。


ライン川の防衛線を突破されてしまえば、首都まで防ぐ防衛ラインは存在しない。唯一、ベルリンを含む首都圏は防御をしやすいけど、そこまで侵攻された時点で勝負はついてしまう。


「ライン川の、どの辺で集中砲火を受けている?」

「カールスルーエという都市です。シュトゥットガルトから見て北西で、この辺りですね」

「……怜可さんは、地名を全部頭に入れてる?」

「プロイセンとロシアの都市なら、大体頭の中に入ってます」


今日は怜可さんが報告してくれているけど、欧州の地名をほとんど暗記しているとのこと。周りが異常なぐらいに頭が良いだけで、怜可さんも努力家ではある。なお、仁美さんや彩花さんはプロイセンとロシアだけでは無くオーストリアやイタリアの都市名や地図まで頭に入れた模様。さらっと彩花さんはイタリア語まで取得を始めたので、色々とおかしい。


……その彩花さんの娘である友花里は、数を数えられるようになったしな。足し引きの概念も理解しやがったし、まだ2歳前なのに、親ばか補正を抜いても天才じゃないかと疑いたくなる。豊森家的にもまずまず早いとは言っていたし、期待はされているだろうな。


春の攻勢は冬の間、両陣営で蓄えていた力が発揮される時期だ。力を蓄えられるような状況だったのかはさておき、アメリカ大陸の方でもフラコミュの攻勢は警戒しておいた良いだろう。風船爆弾を飛ばしたけど、良い具合の牽制になりそうでありがたい存在になるかもしれないな。


風船爆弾がどのぐらいの被害をフラコミュにもたらすのか、天才達が集まった参謀本部でも予測が出来ていない。工場に1個から120個が直撃するだろうとか、予想でも何でもないからな。


……たぶん、山火事は数件起きると思っている。参謀本部が考える以上に、被害は出るはずだ。フラコミュにとってそれが、痛手になるかは分からない。無差別爆撃には間違いないし、ヘイトが集まる可能性もある。まあ、ここまで来たら結果を祈るだけだ。


「プロイセン軍は、スカンディナヴィア戦線に向かわせていた軍をフラコミュへ向かわせないといけない。その内訳をどうするかは悩ましいし、内訳次第で大きく戦況が変わりそうだな」

「既にライン川へ向かわせた軍も多いようで、スカンディナヴィアを早期陥落させる案は難しくなりました。結果論ですが、あらかじめフラコミュからの攻勢に耐えられるよう十分な予備兵力を確保してからスカンディナヴィア侵攻のための準備するべきでしたね」

「そんな余裕、プロイセンには無いよ。それに守勢だけの戦争は、戦争の勝ち目を現場の人間が感じられなくなるから、スカンディナヴィア戦線で攻勢に出ようとしたこと自体は間違っていないはず」


スカンディナヴィアを守るバルト海の存在は、かなり厄介だ。4月中には氷のほとんどが溶けるようだけど、要するに3月までは氷が残っている状態になる。ロシア側から侵攻する案の方が、成立はしやすかったかな。オスマン帝国からの侵攻が激化しなければ、ロシアもスカンディナヴィアへ全力を出せたのに。


……アメリカ大陸の占領を早く終わらせないと、戦争の終着点がどう転ぶかも分からなくなってしまう。しかしこのペースだと、あと2年はかかると言われた。アメリカ大陸にあるフラコミュの都市の防御力が高い上に、やっぱり補給線の確保が問題になっている。


日本人の入植を早めたのも、現地で生産活動を行ないたいからだろう。明日から、日本軍が侵攻を再開する。その時に手ごたえが無いようなら、欧州戦線の結果を察そう。

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