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織田信長の天下統一を手助けして現代に帰った俺が何故か祭り上げられている件について  作者: 廃れた二千円札
第十章:世界大戦

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第265話 3周年

俺がこの世界に来た日付は、元の世界の夢を見るらしい。去年も一昨年もこんな夢を見たな、と思いながらも改変前の世界で生きる自分を眺める。


どうやら成人式は、付き合いの長い高校時代の友人達と行ったようだ。成人式に出ているということは、20歳になった年の次の年の1月だから、2024年の1月ということか?大学に入ってからも何度か遊んでいたらしく、親し気に成長した友人達とお酒を飲んでいる。俺も背が伸びたのか、身長は175センチぐらいありそうだ。


……175センチかぁ。不満は無いけど、180センチぐらいは欲しかった。


酔っ払って顔が赤くなっている友人は成人式なのに飲み慣れているらしく、饒舌だった。それに乗せられ、夢の中の俺も大学生活を楽しそうに話していたし、先輩や自身のやらかした話で盛り上がっていた。


2023年は想像出来なかった世界だけど、断片だけでも見られるのは有り難い。実際に、このような光景になっているかは定かではないけど、参考には出来る。


日本の国債は、1300兆円まで膨れ上がったらしい。最低賃金は1000円まで上がり、人を雇えなくなった企業は潰れるか、AIによる全自動化を推進する。もしくは、外国人技能実習生に頼ったりもしている。実質、奴隷みたいな待遇で働かせているのだ。そしてこれは、問題視されているものの問題解決には至っていない。


中小企業や大企業も国が定めた残業代の引き上げにより、人件費の削減を行なう。その結果、失業率は急上昇して5%を上回った。2022年度での数値だから、2023年度だともっと増えているだろう。


東京オリンピック後、急速に冷え込んだ景気は上昇気配こそ何度か見せたものの、低迷を続けている。就職活動は大学1年の頃から始めることが当たり前となり、俺も1年の夏にインターンシップを申し込んでいた。残念ながら、全ての企業で不合格だったが。


長く続いた首相が辞めたせいか、内閣は総辞職が続き、政権も安定はしていない。そんな状況で効果的な景気対策を実行できるはずもなく、インフレ気味の経済で生活的には大不況という事態にまで陥っている。


幸か不幸か、インフレ気味なお陰でGDPは安定している。2022年や2023年は大きな災害が発生することもなかったし、2022年度のGDPは前年比で-0.1%だった。人口が急速に減っている中、GDPを安定させるほどのインフレのしわ寄せは、国民の生活でも表面化してきている。


同じ値段にするために、内容量が減るのは当然のこと。パッケージ詐欺が横行したり、国産の定義が揺らいだりもした。


2024年の1月。めまぐるしく情勢が変わり、貧富の格差はどうしようもない状況まで行き着いた。


そんな世界で俺は特に親しい友人の2人と、SNSでグループを結成した。そのグループの名前は『新日本革命党』と、なかなかに物騒な名前だ。他大学に通う友人らは、共産主義的な思想に染まったらしい。それを、俺が説き伏せている。


内容は聞こえて来ないが、大体の推測は出来る。おそらく、人間の不平等性を認めさせる内容だろう。改変前の倫理観からは完全に反した考え方だけど、それでも共産主義よりかはマシと夢の中の俺は判断したようだ。


そして、共産主義に一度は染まった洗脳されやすいタイプの友人2人は、俺の主張に鞍替えをする。行政の透明化と不平等を覚悟する社会を築き上げようと、決心をする。真の平等には、人間の不平等性を認めないといけないと結論付けたようだ。


……本当に夢で見ている世界が、改変前の世界の続きだとは思えない。感覚的には、別の世界を覗いている感じだ。しかしながら自身の知らないブームや思っても無かった出来事が起こっていることから、単なる夢でも無いだろう。


俺がずっと長い夢を見ている説も否定は出来ないけど、そういうわけでは無いはずだ。夢なら自分の知らない出来事が起きるのはおかしいし……そう考えると、今俺が見ているものは、夢という説も怪しいな。


大学に関しては、自身もそれなりのレベルの大学には合格していた。だけど友人の2人よりかは、偏差値的に低い大学だ。家からは通えない距離の大学で、下宿にはお金がかかる。仕送りは無いようで、年に120万円という奨学金を借りている。バイトも詰め込んで、授業料と家賃を払っているみたいだ。都会の家賃は、思っていた以上に高い。


……月に10万円で、年に120万円。4年間で480万円か。半分は利子の無い借金とはいえ、重い借金を背負ったな。社会に出た時、スタートが0じゃ無くて-480万円であることは認識しているのか?


大学では特にサークル活動も行わず、少数の友人とスマートフォンでゲームをしたり、ノートパソコンで絵を描いている。大学の課題は多い方だが、何とかなっているらしい。自分の金で通っているという意識はあるのか、講義中は真面目だから評価は良い方だろう。


講義は経営学や経済学を学んでいることが分かったが、内容は頭に入って来ない。今の日本にも通じる可能性はあるので、次の夢までには何とかして講義の内容を知りたいな。


基本的に夢を見ない俺にとって、夢の中でふわふわしているのは気分が良いけど、日本の現状を見て気分が悪くもなるので、複雑な心境だ。でも今回は、悪夢とまでは言えなかったな。一昨年よりも去年よりも、状況は悪くなっているように感じたけど、何故かそう思った。

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