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織田信長の天下統一を手助けして現代に帰った俺が何故か祭り上げられている件について  作者: 廃れた二千円札
第十章:世界大戦

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第261話 欧州戦線

2月28日。つい先日、プロイセンで大規模な撤退が行なわれたという情報が入って来た。対オーストリア戦線で、突起部にいる兵士達は全員が撤退し、戦線を可能な限り平らにしたということだ。


「ジグザグよりも、一直線の方が使う兵数が少ないってことか。余剰戦力で、スカンディナヴィアを潰すとのことだ」

「一番の焦点となっているのは、スカンディナヴィアを早期に降伏させられるかということになっているようですね」

「大粛清からまだ立ち直って無いなら、ロシア側からも攻勢に出られそうだけど……バルト海を渡るのか」

「そうですね。新規に建造していた巡洋艦や潜水艦を利用して、ロシアの海軍と共同してバルト海の制海権を確保し始めたようです」


戦線を平らにすれば、余剰な戦力が生まれる。その余剰な戦力でスカンディナヴィアを攻略したいようで、統一司令部はオスロへ強襲上陸する計画を立てている。仁美さんが上陸目標地点であるオスロを指差して教えてくれたけど、オスロは聞いたことがある都市名だな。確か、改変前のノルウェーの首都だったか。


それと同時にヨーテボリという都市へも強襲上陸を仕掛けるようで、ロシア軍もヘルシンキへ強襲上陸作戦を決行するとのこと。日本の北アメリカ大陸2ヵ所同時強襲上陸に刺激を受けたみたいで、3ヵ所同時強襲上陸を行なうとか言っていた。間違いなく日付はズレるだろうし、補給線の確保が大変だろうけど、成功した時のリターンは大きいな。


スカンディナヴィア連邦は、元々はノルウェー、スカンディナヴィア、フィンランドが合体して出来た国だ。デンマークも吸収しているし、人口はそれなりに多い。各国の首脳陣から賢人が集まったそうだけど、連邦国としての歴史が浅いせいで派閥争いは常に起こっていたらしい。大粛清は、派閥争いの終止符を打つためのものだったのか。


どこの派閥が覇権を握ったのかは興味が無いけど、高級士官も纏めて粛清したのはアホだとしか言いようが無い。既にあの頃には、世界大戦が起こりそうな予兆があった。戦争が長引けば、1つに纏まっている分厄介かもしれないけど、今ならまだ間に合いそうか。


戦争が長期化してしまえば、たたき上げの高級将校が続々と生まれてしまうかもしれない。春からの大攻勢で、スカンディナヴィアを潰せるかは相手の参謀本部の対応力次第か。


3ヵ所同時強襲上陸で、対応を間に合わせられなくするという魂胆もありそうだ。スカンディナヴィアは、沿岸部に都市が多い。同時強襲上陸が終わったあと、さらに沿岸部の都市へ続けて攻撃を行なったら、別の地点へ上陸を仕掛けたら、スカンディナヴィアが早期に降伏する可能性は十分にあるな。


「スカンディナヴィアの首都はどこ?」

「ストックホルムです。ここですね」

「ああ、ストックホルムも聞いたことはあるな。確信は無いけど、スウェーデンの首都だったかな?

そこも急襲しようと思えば出来るけど、難しいのか?」

「いえ、計画には上がっているみたいです。しかし先に挙げた3地点へスカンディナヴィア軍を集中させることで、首都への攻撃をより通しやすくするのだと言っていました」


対オーストリア戦線は平坦化しただけでは無く、兵の密度も薄くした。突起部から後ろへ後退する際は地雷を敷設し、平坦にした部分にはあらかじめ防御陣地を完成させている。より少ない兵で、守りやすくしたのだ。


それに加えて、イタリア軍では厭戦気分が広がっていることを掴んでいる。だからイタリア軍と相対する軍は極限まで兵数を減らしてスカンディナヴィア方面へ持って行く予定だ。プロイセンの鉄道網を用いて、迅速な配置転換も行なう予定だな。


上手くいけば、スカンディナヴィアを降伏させることが出来る。地図上で見たら大きいけど、人が住めるエリアは限られている。バルト海の沿岸部を徹底的に叩けば、単独講和の可能性は十分にある。スカンディナヴィア海軍も叩けるだけ叩いておきたいし、フラコミュ艦隊がどこまでスカンディナヴィアを守れるかにもよるな。


ただ、フラコミュ艦隊がバルト海に派遣されるにしてもエーレスンド海峡を通過できるとは思えない。他の海峡を突破することも、非常に難しいだろう。コペンハーゲンのあるシェラン島、オーデンセがあるフュン島はプロイセンが確保し、海峡には機雷を敷設している。バルト海への封鎖は、成功していると言っても良い。


海峡を素通り出来る潜水艦の存在だけが不安だけど、それも3ヵ所同時上陸ならリスク分散が可能だ。日本に情報として入って来る時点で秘匿に出来ているかは不安だけど、スカンディナヴィア側に情報が漏れていないことを祈るだけだな。


「スカンディナヴィアを打倒出来れば、他の戦線に兵力を回せる。当たり前のことだけど、兵の総数で今まで圧倒的に不利だったのが、互角程度には持ち直すかもしれないのは大きいね」

「そうなれば、ライン川を挟んで睨み合いが続くだけになりそうですね。フラコミュの攻勢も余裕を持って耐えられるようになるでしょうし、プロイセンにとっては希望が見え始めるでしょう」

「……うーん。睨み合いの状態から打破することは難しいから、スカンディナヴィアを降伏させても今年中の決着は無理じゃないかな」


仁美さんの言う通り、フラコミュは現在、ライン川を越えられずにいる。プロイセン側も大砲を撃ち続けており、冬場も一瞬の隙を作らないよう尽力している。この川をフラコミュが渡ることは難しいけど、プロイセン側からも渡ることが難しいから、今年中の決着は無理かもしれない。


……フラコミュが攻勢に出ていないのは、兵力を引き抜いてアメリカ大陸に送っている可能性もある。冬が終わったら、アメリカ大陸ではフラコミュの反撃が始まるかもしれないな。

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