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織田信長の天下統一を手助けして現代に帰った俺が何故か祭り上げられている件について  作者: 廃れた二千円札
第十章:世界大戦

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第259話 発砲率

ペルシアの旧アフガニスタン領と日本の旧中国領は国境を接している。そして2月21日に、国境付近の日本軍はペルシア軍と戦闘を開始した。


旧中国領と旧アフガニスタンの国境地帯は山が多く、国境地帯の面積にして半分の地域が高度3000メートル以上となる。7000メートル越えの山も多く、山岳戦が予想されるため、どう軍隊を展開するかは司令官の手腕にかかっている。


そして毛利さんは中央アジア方面軍の担当者として、僅かな期間で戦闘計画を練り上げた。集結させた軍の総数は50万人規模であり、この中には予備役となっている者達をかき集めて編成した軍もある。軍として機能するかも怪しいけど、引き金は引ける者達しかいないので心配はしていない。


とうとう徴兵も本格的に始まった。訓練期間は3ヵ月となっており、訓練が完了次第後方の戦線に配属していく。今はまだ適性のある者を徴兵しているけど、その内四の五の言っていられない状態に陥るはずだ。その時になれば、日本にも厭戦気分で戦闘を放棄する者が現れる可能性はある。


徴兵は今後1年間で100万人を目途にしている。日本本土の防衛を行なっている軍もまだあるから、今後150万人ぐらいは国外での戦いを強いることは出来る。


……意外に、日本の軍人は引き金を引ける。戦場において、最も恐れられている事態は兵士が引き金を引けないことだけど、その心配は要らないということだ。


「兵士達が9割方、引き金を引けるのは日本の特異性でもある。たぶん外国は、もっと低いはずだよ」

「それは、留学生達からの報告書でも書かれていましたね。発砲できる人間すら少ないと」

「それを克服できるようにしたのが、今川さんというのもアレだけど。とにかく、徴兵した人に関しては引き金を人に向かって引けるよう精神力を鍛える必要もある」


戦国時代も、戦っているフリをしている人は大勢いた。刀でバッサリと人を斬ったり、槍で突き殺せる兵、というのは存外に貴重だった。山賊を率いていた時に、人を殺せる点は領主の兵との戦いで優位に立てた部分だな。


詳しい率は分からないけど、日本軍もそうような状況に陥っている兵士が少なからずいるはずだ。そう言った兵士は後列と入れ替えるべきだし、足を引っ張る存在になる。根本的な解決策は、俺には分からない。


日本軍は士官に人殺しを経験させているから、士官にメンタルの不安を持ち合わせている人はいない。今までの反抗的な外国人に関してだけど、大体は日本軍の士官候補が最終的な始末をしている。と言っても、士官候補の数に比べて、問題を抱えた殺しても良い外国人が少なかったことから色々と工夫はしていたみたいだけど。


日中戦争で、人殺しを初めて体験した日本軍人は多いだろう。その大半が、サンフランシスコ方面軍とサンディエゴ方面軍を構成している。だからこの2軍は躊躇しないし、敵軍と計画通りに戦える。フラコミュ軍が強いのも、その点を克服しているからかもしれない。


中央アジア方面軍には、機関銃を多く配備した。人殺しの精神的負担を、分担させる目的もある。弾丸を込める者、照準を合わせる者、観測する者、指示を出す者、引き金を引く者。5人で作業を分担をすることによって、精神面での負担をケアをする。このことを提案した毛利さんは、やっぱり戦場を知っている人なのだろう。


「純粋に、新型の機関銃が開発されたからでもあるだろうけどね。今までの超重い機関銃から、手軽に持ち運びが出来るようになったんでしょ?」

「手軽になったと言えば手軽になりましたが、それでも機関銃を抱えて素早い移動をするのは難しいですよ?」

「持って歩けるようにはなったんだから、進歩してるよ。装弾数300発で、1分間に600発は凄いと思うし」

「……弾丸の消費量が激しいので、凄い勢いでお金は溶けますけどね。実際に1分間で600発を撃つことは難しいですし、信頼性もそこまで高くないです」


新型の機関銃は、より多くの弾丸を相手に届けることをコンセプトにして開発された。この機関銃を、5人がかりで取り扱って敵陣に弾を撃ち込み続ける。弾丸は値段が下がり切っていないので、お金が吹き飛びそうだ。


なお、この機関銃にはフラコミュから獲得した冷却技術や装填技術などを流用している。これが無かったら、完成は当分先だったとのこと。


彩花さんの言う通り、信頼性はそこまで高くない。まず収束率がそれほど良くないし、有効射程も1キロ程度。弾を詰められるだけ詰めて、撃ち続けるだけというシンプルな機関銃だ。全長は約120センチで、重量は弾丸込みで60キロ。分解してもまあまあ重いし、これを5人で持ち運べる日本軍人は少し鍛え過ぎだな。


5人1組で機関銃を扱って、殺人への敷居を低くするのは、今まで意識していなかったことだ。しかしきちんと役割を分担することで、精神的負担を軽くして戦いやすくするという案は非常に良いように思えた。今もアメリカ大陸で戦っている兵士達の中で、きちんと人間を殺せている人がどれぐらいいるのかも気になる。


「……中国人を虐殺しているから、メンタル面での心配はしてなかったけどな。でも、考慮はしておくべきか」

「優勢であればあるほど、自分が引き金を引かなくても何とかなるという状況になりますので、大規模な戦場では空を撃っているだけという兵士もいるでしょう。きちんと選別して訓練はしていますが、実戦の時になって初めて分かることも多くあります」


愛華さんは、実戦になって初めて分かることもあると言っている。プロイセンへ留学した日本軍人達は、徴兵したての新兵達に関して、初めて人殺しをするまでは使い物にならないとまで言っている。俺自身、そんな兵を見かけたことは何度もある。


……砲兵が活躍していたのは、作業を分担していたからなのか?色々と作業を分担することで、発砲率だけじゃなくて命中率も改善はしそうだ。中央アジア方面で上手くいったら、他の戦線でも肉体的な負荷で作業を分担するのでは無くて、精神的な分担を意識するように提案するべきか。

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