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織田信長の天下統一を手助けして現代に帰った俺が何故か祭り上げられている件について  作者: 廃れた二千円札
第十章:世界大戦

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第254話 2023年

節目節目のお祝い事は、盛大に行なう。それが今の日本だけど、毎回去年よりも盛大に、を繰り返しているから派手さが増している。今後は、高級感を求めるようにしようと言っておくか。予算も毎回増やさなくて良いけど……今の日本の物価は上昇傾向だから、使う予算が増えるのというのは当然でもある。


日本の税収は3年前に比べて、1.3倍程度に増えている。2022年度の税収予測は、2019年度の税収のちょうど1.3倍だ。アルコール税などの新税が1割で、所得税による増加が2割ぐらいかな。GDPも増加傾向だし、戦時中にしては順調に経済も発展している。


所得税による増収を受けて、豊森家の提供する食糧や日用品などの最低価格ラインが1.1倍になった。給料も直に増えているので、問題は無いだろう。物価変動に合わせて価格を変更することも出来るのは、良いことなのかな。市場をコントロールすることも大切なことだけど、本当に良く均衡を取れていると思う。


「日本の市場は拡大傾向だから、しばらくは好景気が続く、か。インフレは貯蓄にダメージが行くと思うけど、そうなってはないのか?」

「新しく始められた株式会社にお金が流れているので、景気での物価上昇分ぐらいは株で儲けようとする人が増えきたようです」

「ああ、勝手に資産運用を始めたのか。……民間企業が肥大化しそうだし、良い傾向だけどちょっと怖いかな」


愛華さんにインフレのダメージが民衆の貯蓄に行ってないか確認すると、株で儲け始めた人が多いという答えが返って来た。現物資産の確保をする人も増えたようで、金や宝石類の値段も上昇している。全体的なインフレが始まっているけど、健全な範囲内でのインフレなので大丈夫だと思いたい。


インフレは、国が成長するなら当然の状態になる。改変前の日本だって、高度経済成長には年に5%ぐらいの勢いで物価が上昇していた。成長しているなら、インフレは自然と起こるものだ。


株や現物資産でインフレ税を逃れようとする人が多いってことは、それだけ頭の良い国民が多いということだ。デフレが起きるとは、まだ誰も思って無い。


まあ、国が価格を統制しているからそういう考慮はしていないのだろう。今回の価格変更は、十数年ぶりのことらしいし。それだけ物価の安定はしていたけど、成長はしてなかったということだな。


「俺も適当に、インスタント産業や飛行機産業へ投資しておくか。

……株式会社を設立する時の審査が厳しいから、ある程度は気軽に投資できるのが良いね」

「そちらの方が、都合は良いと思いますよ。お金が集まりやすい状況にあるのは、才のある人達にとって良いことだと思います」

「監視役みたいな存在の義務化は、行なったんだよね?」

「そうですね。必ず社外取締役を選任しないといけないという規約は盛り込みましたし、その社外取締役の構成比も定められています。この社外取締役は、ある程度の権限と責任を負う立場にある状態ですね」

「んー、たぶん改変前の日本の社外取締役も、権限と責任は大きかったと思うから、そんな感じで良いのかな」


彩花さんが言う社外取締役は、会社内で考え方が凝り固まってしまうことを防ぐ存在として、選任の義務化を行なった。元から存在していた民間の企業も株式を発行し始めているので、こういう存在は重要だし、不正のチェック機能も果たす。


……改変前の世界で社外取締役が実際に何をするのかは知らなかったけど、言葉の響きから考えて監督役、監視役みたいな役割で良いだろう。報酬は発生していたみたいだし、責任は大きくしても問題無いな。その方が、まともに機能するはず。


市場が拡大傾向にあるのは、純粋に人口が増加しているという理由もある。中国を併合したことで、一気に人口は増えたし、混血人がどんどんと増えている。労働力に、不足は無い。


「インフラは、数十年後のことを考えて開発を行なっていきたいけど……今の日本なら、数十年後には衰退していることも無さそうだよね?」

「それに関しては、私も想像することが難しいですね。改変前の日本は一斉に整備したことによる老朽化が問題となっていたそうですが、人口は減少させませんので問題は無いという結論に至ってます」

「させません、って凄い言い方だよね。まあ、老朽化を前提にしてしまうと何も出来なくなるし、俺も大丈夫だと思うから一気に主要道路の敷設はしてしまおうか」


インフラ整備は、膨大な人員を動員することになっている。戦時中なのに、随分と余力があるな。ボトルネックが艦船の数や兵站になっているから、人の手は余っている状態だ。この期間に、日本本土を含めた日本の領土の開拓は、迅速に行なってしまおう。


自動車が、いよいよ今年の2月から販売される。昨年から製造を始めたとは聞いていたけど、実際に製造していると言うよりかは、製造するためのラインを設計していたり、工場の建築をしていたらしい。しかし一定の量産化には成功した上に、自動車教習所での教育も終わった地域が出て来たので、販売を開始する。


まだ、自動車の種類については2種類だけだ。両方、国有企業の工場が生産をしているな。4人乗りの小型自動車と、6人乗りの大型自動車だ。購入する時はそれぞれに対応した免許を持っていないといけないようで、お値段は小型が1台40万円。大型なら60万円となる。


何とか、一般国民にも手が出せる値段まで落ち着いたなという心境だ。これで国民の生活レベルは向上するし、生活範囲もぐっと広くなる。後は主要施設に駐車場を用意したり、ガソリンの値段調整が必要になるか。


……旧中国領から油田は結構見つかっているし、早々に枯渇はしないと思うけど、いつか無くなる資源というのは不安だ。生物分野の研究は止めていた研究も多いけど、バイオ燃料については研究をさせるべきか。対策をして、損はしないはずだ。

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