表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
織田信長の天下統一を手助けして現代に帰った俺が何故か祭り上げられている件について  作者: 廃れた二千円札
第二章:予算と研究

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/425

第22話 電話

予算会議が本格的に始まったけど、3日目以降、俺はそれに出席する気がなくなっていた。3日目以降は内容のほとんどが国有企業の赤字を税金で補填して欲しい、という懇願らしいし。半年でどれだけの赤字が出たのか、という報告会のようなものだそうだ。


商品の値段は国が定めているから変えられないし、人が切れないから赤字なのは仕方が無いことだけど。売れ行きが良くなるように質を上げようとしたらたぶん国内の民間企業が潰れるという手詰まり状態。民間企業の開発力が低すぎるのかな。


仁美さんや美雪さんが傍にいなくなり、暇になった俺は研究所の乱立を開始した。俺自身は研究者として並みかそれ以下だと自覚しているので、とにかく元軍人の中で有能そうな人間を捕まえては研究所に送り込む。


「それで、秀則様自身は遠方との連絡手段の開発を行うのですか?」

「うん。まあ、通信関係の技術は急いで開発しないといけない技術だろうし」


電気分野の研究を促進させるため、既に判明していることかもしれないけど、いくつか覚えている法則を伝えた。電気分野が苦手だと言っても流石にオームの法則やキルヒホッフの第一法則、第二法則ぐらいは覚えている。本当に公式しか覚えてないレベルなので、後は電気の研究を続けていたという人達に任せるけど。


化学分野は周期表すら出来ていない絶望的な状態だったので、覚えている限りの周期表を再現して電子の数とか価電子の概念、化学結合の例を伝えておいた。周期表は原子番号20番までと銅、銀、金、白金に加えて、いくつかの特徴ある元素の位置しか覚えていなかったから空白だらけだ。とりあえず周期表を埋めろと言ったけど、どうやって埋めるのかは任せる。化学分野はそこそこ勉強していたから、後で手伝おう。


今から石油の調査が終わるまでは主に通信関係の技術に関わる予定だけど、電話の設計図とか電話線の中身、構造を具体的に知っているわけではないので難航しそうだ。最終目標は無線通信かな?とりあえず糸電話からのスタートになるけど、電話になるには何年かかるのか。


「音声を遠くに伝える技術、ですか」

「可能なら遠くにいても会話ができる、だな。現状だとイギリスがインド方面から侵攻してきた、という情報が京都に届くのは早くても2週間後なんだろ?」

「そうですね、それが一瞬で伝えられるのなら、凄く早い対応が出来ますね」


愛華さんも乗り気なので、暇を持て余している親衛隊に糸電話を作らせる。刃物を持つことは危ないと言われた後、ハサミを奪われたので俺は何も作業が出来ない。そして糸電話を作る全行程を説明したら、愛華さんや凛香さんが手際よく終わらせた。


「……糸電話って、結構離れてても聞こえるんだな」

「これを大量生産なさるのですか?」

「やめて。これは音の実体が振動であることを証明するためだけに作ったやつだから。

糸に見ると、振動していることがわかるでしょ?」

「あー、あー!

ああ、確かに揺れてますね」


愛華さんが紙コップに叫ぶ姿は遠目に見れば微笑ましい姿だ。紙コップ自体はそれなりに大きいのに、愛華さんが持つと大きく感じない不思議。とりあえず音の本質は振動であるということを伝えて、音波の概念を持ってもらう。


「……?糸を掴むと聞こえない」

「掴むと糸が静止するから、振動が伝わらなくなって声が聞こえなくなるんだよ。……本当に、音波の概念が無かったのか」


凛香さんも糸を掴むと声が聞こえなくなることから、音波の概念を早々に理解する。この段階で脱落者が出ても困るけど、糸電話のおかげで親衛隊の全員が音の実体を理解することが出来た。理解しているフリをする人はいないみたいだから、やっぱり優秀な人達なんだろう。


「この振動を電気で伝えるものが俺の想像している電話だと思うけど、問題はどうやって電気に変換するか、だな」

「何か、実験方法とかは覚えてないのですか?」

「実験方法、実験方法かぁ……電話の開発中に、液体をこぼして助けを求めたら、その声が離れた部屋に伝わったという話は覚えてるよ」


愛華さんに促され、親衛隊にベルが電話を開発した時のエピソードを伝えてみるが、パッと何か閃きそうな雰囲気にはならなかった。一応、水面が声で波打つ光景も披露したが、これを電気で送るというイメージが湧かない。


「声の振動で水面が揺れるなら、水面に何か浮かべるのか?

いや、水面じゃなくても良いか。とにかく、音の波形を電気の波形で伝えれば良いんだ」

「……複雑な電気回路や、電気の波形に関わる研究は、まだ時間がかかりそうです」

「……じゃあ電気分野の研究が進むまで後回しだな。先に化学分野に触れるか。石油が出た時のために、蒸留装置でも作ろうかな」


数日間、豊森家の屋敷で色々と実験と言う名のお遊びを続けるが、電話へと至る道は親衛隊も含めて全くわからなかった。1番アイデアを出していた愛華さんも、電気分野での研究が必要になるという結論に辿り着いたので、複雑な電気回路の開発を任せている研究所に数日間分のレポートを纏めて放り投げた。


それと、信号の方はすぐに開発出来そうだから、そちらも伝える。電話よりモールス信号のような信号で伝える技術の方が楽だな。既に電気で光らせることには成功しているから、スイッチのオンオフだけで良いし。やっぱり、技術を飛ばして開発することは難しいか。


……あれ?光のオンオフで情報を伝達することに関しては、概念を伝えたらすぐに再現できるんじゃないか?そう思って愛華さんに伝えると、すぐに電線を京都から各地に伸ばすよう指示を出し始めた。現段階では見張りが必要とはいえ、唯一の遠距離への連絡手段だし設置は急ぐか。これは、真っ先に思い浮かべるべきだったな。


「あー!ねーねー!聞こえるー!?」

「うるさい。聞こえているから叫ぶな」

「これ、どのぐらい離れてても聞こえるの?」

「……んー、100メートルぐらいだと思う」


糸電話は3人娘に受けたようで、特に加藤さんがよく使うようになった。感性が子供で止まっておられるので、暇な時は糸電話をおもちゃにしている。木下さんと島津さんは数回使って飽きたようだけど、加藤さんが使おうと誘う姿は頻繁に見かけた。


……加藤さんは会話をしていると普通なんだけど、見ていて少し不安になるほどの幼児性を持っている。まあ、頭のネジが抜けている人は戦国時代で山ほど見たから、少しずつ精神が育つことに期待しようか。俺自身、抜けているところが多いことは自覚しているし。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ