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織田信長の天下統一を手助けして現代に帰った俺が何故か祭り上げられている件について  作者: 廃れた二千円札
第十章:世界大戦

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第252話 魚雷発射管

11月22日に、珍しく雪が降った。京都で11月に雪が降ったのは数年ぶりで、今年は寒くなるのが早いような気がする。10月12日よりフラコミュから送られて来た捕虜の数は、今日までで100人前後にまで膨れ上がった。


1ヵ月以上が経過した現在、もしも捕虜の維持管理費が得られるであろう情報の価値より上回れば、その時点で処分しそうなぐらいには拷問する側が怒っているというか、焦っている。


……本来であれば、とっくに全容解明まで進んでいてもおかしくないのだ。それなのにフラコミュ人が情報を吐き出さないのは、拷問する人にその技能が足りて無いと一部の人間から思われ始めた。いや単にフラコミュ人の頭がおかしいだけでしょと、俺が呟くと一瞬でそんな雰囲気は掻き消えたが。


一応、既に多くの技術を得ており、幾つか再現も始まっている。数あるフラコミュの技術の中で、最初に再現されたのは魚雷と魚雷発射管だ。フラコミュの魚雷は5連装になっていて、中々に大きい。日本の1から作ろうとしていた魚雷よりも、真似をした魚雷の方が、圧倒的に性能が良いのは悲しいな。


と言っても、今までの日本の研究が無駄になったわけではない。魚雷研究の下地が無ければ、再現するのも難しかっただろう。この再現した魚雷を、更に改良して艦船へ積むことになったが、現行の改初風型駆逐艦だと積む場所がない。


「……新しいサイズの駆逐艦、というより巡洋艦を作るか。フラコミュの巡洋艦を参考にして、速力のある巡洋艦の設計に着手しよう」

「フラコミュの艦船技術を利用した、新しい艦船ですか。将来的に必要となりそうですし、設計を開始しても損は無さそうですね」

「魚雷を開発することが出来たのに、魚雷発射管を積めないのはアレだしな。元々、魚雷発射管を小さいスケールで考えていたから距離が伸びなかったのか」

「そうですね、魚雷は駆逐艦にも積むことを念頭に置いて開発していましたから、それがネックになっていたかもしれません」


そのことについて彩花さんと相談した結果、新しいタイプの艦船を設計しようということになった。戦艦サイズは流石にまだ造船技術が追い付いていないから、巡洋艦サイズになる。たぶん、全長は180メートルぐらいになるかな。今の駆逐艦の全長に、プラス50メートル前後だ。それでも、かなりの大型化となる。


来年度から着工させることになったので、設計期間は4ヵ月か。少し短いけど、何とかするだろう。フラコミュの艦船の設計図から、流用出来そうな部分は流用して問題無いしな。兵器のコピーは、元になる設計図さえあれば簡単だと思いたい。


捕虜から吐き出させた知識の中に、兵器に関する知識が多かったのは兵器を製造する工場に働いていた人が多かったからだ。魚雷について詳しい情報の取得が出来たのは、魚雷の製造をしている人達が3人も口を割ったからだな。どうやら特定のコミュニティというか、地域は口が緩いらしい。


国が人間としての均一化をしていても、地域によって差が生まれるのは面白いな。人間は集団に属して生きている生き物だということが、よく分かる。一方で政府の役人とかは口が堅いから、死亡率が1番高い。


……拷問を受けて、苦しみから逃れるために死ぬのでは無い。情報を吐き出したくないから、死ぬことが出来るチャンスを狙って死んでいる。狂気すら感じるけど、なかなか口を割らなかった人物から話を聞くと、日本人に捕まったのにフラコミュから監視をされているという思い込みをしていたようだ。


要するに、こういう状況に陥らせて国への忠誠心を試す場合があるらしい。家族を人質にされている場合も多いとか。なにそれこわい。


詰問を受ける場合もあるらしく、手あたり次第に国への忠誠心を試す模様。愛国心の無い人は、すぐに現状を正確に理解し、試されているわけではないと判断しただけか。


疑心暗鬼に陥りやすいフラコミュ人だけど、それが国民性にもなっているということかな。100年以上、歪な社会で世代交代を繰り返して来たのだから、国民性も歪むのは当たり前か。そんな国が、日本を仲間だと認定していたのは面白い部分だし、実際に似ている箇所は多くあった。


「国としての方向性自体は、似ている部分が多いよ。その内容は、真逆だけどね」

「労働者の働き方と、自由さと言いますか、個人の意思の扱い方については正反対ですね。しかしそれ以外は、類似する点も多々あります」


愛華さんも、類似する点は存在することを認めた。国のために、個人が尽くす。その形式自体は一緒なのだ。ただ、手段が違っただけ。


フラコミュの思想に、感銘を受ける人がいそうなことも分かるし、激怒する人がいることも分かる。個人的には激怒というか、忌避感を抱く。


……彩花さんの妹さんには、一度会ってみたい。だけど、本当にどこにいるんだという状態なのは驚いた。豊森家の人間で、元々はお嬢様なのに失踪しているのは、犯罪臭がするな。家出して、そのまま攫われたとか可能性としては高そうだ。彩花さんの妹なら、美人なのは間違いないし。


とりあえずフラコミュの思想に感化されている人はいなかったので、豊森家の洗脳術もそれなりに効果が高いということは分かった。というか、フラコミュの思想に触れた人物が高い地位にいる高給取りしかいないことに救われたな。拷問をする人も、全員地位的には高い位置にいる。


ただ、このフラコミュの思想が世間一般レベルにまで知れ渡るのは少し不味い気がする。同一賃金という言葉は、平均以下の生活を送っているものにとって魅力的な言葉なのだ。例えそれが、最低時給の同一賃金でも、望む者は存在する。

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