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織田信長の天下統一を手助けして現代に帰った俺が何故か祭り上げられている件について  作者: 廃れた二千円札
第十章:世界大戦

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第250話 共産主義

社会主義と共産主義は、似て非なるものだ。社会主義は国として成立するが、共産主義は国として成立しない。社会主義は労働者が国を運営するが、共産主義は支配層が完全に消えることを指すからだ。完全な労働者だけの社会というのを、共産主義は目指している。


そしてフランス=コミューンという国は、本当に共産主義を目指しているらしい。共産党による一党独裁体制も崩し、立候補者の制限を行なわない選挙を行うことで、労働者だけの社会になることを望んでいた。選挙が残っているのは、一度民主制の国家として成り立っていた証だけど、労働者だけの社会にしたかったという意図も見える。


俺は資本主義で民主制の国で生まれ育ったから、共産主義や社会主義には偏見が残っている。どうせ労働の意欲が無くなって、技術革新は起こらなくなる。そんな思考が頭を過ぎる。


しかしフラコミュは100年以上もの間、成長を続けた。最初に国としての枠組みを作る際に、新技術を作る仕事もちゃんと作っていたからだ。真の共産主義を目指す社会主義国であるのだと、フラコミュへの愛国心が無い人から話を聞いている内に思った。


社会主義では技術が停滞する、というのも偏見か。よく考えてみれば、世界で初めて人を宇宙へ行かせたのはソビエト連邦だ。ソ連人であるガガーリンの「地球は青かった」は、誰でも知っている知識だろう。世界で初めて自走式多連装ロケット砲を開発したのもソ連だし、T-34ショックはあまりにも有名だ。


……T-34は、作ろうと思えば作れそうだな。戦車の研究も始めちゃってるし、T-34の外観は伝わっているから、そのうち試作品として出て来そう。


ソ連の研究者達が何を研究していたのか、結局解明されてないことも多い。先鋭的なものも研究していたようだし、生物兵器とかも研究していたようだということは知っている。決して社会主義だからと言って、技術レベルが停滞するわけでは無い。


それにフラコミュでは働かない者に殺意を覚えるような教育を施しているようで、サボると殺される、という認識があるらしい。実際、働かない者に対する集団リンチや虐めは当然のように行われる感じだし、これで調子に乗るような人物もまた囲まれるらしい。この辺は結構曖昧というか、謎な部分だから他の人からも話を聞きたい。


……告発じゃなくて、その場で私刑執行が行われるイメージかな。恐ろしい社会だけど、日本の告発制度も社会的な死が待っているのだから同じようなものだろう。ただ、その方法が違うだけだ。フラコミュの方が、野蛮的ではあるな。


教育で国民が従順に働けるよう洗脳していることも似ているし、要素として日本とフラコミュでかなり近いものがあるのは確かだけど、国として似ているかと問われれば微妙だ。一部では、正反対の要素もある。


フラコミュの鹵獲品やフラコミュ人捕虜のお陰で、大型の艦船に対する知識や魚雷、ソナーの開発は捗りそうだと言っている。問題は、3日経ってもフラコミュの民間人達が一向に口を割らないことだろう。耐えても無駄だと愛国心の無いフラコミュ人に説得させているけど、精神力が高いのか無駄になっている。


そうこうしている内に、アラスカからも何人か獲得した捕虜が送られて来たのでそちらも拷問部屋に移す。当たり前だけど、負けた時のことは一切考えていない。捕虜に対する拷問は将来的に報復されるものだけど、今回の戦争は絶滅戦争になりそうだから思慮を放棄した。


「死に対する、恐怖の薄れは怖いですね。フラコミュ人が、人だと思えなくなって来ましたよ」

「100年間、最初の指導者によって作製された教育方法がずっと続けられて来たんだから、よっぽど優秀な教育方法なのだと思うよ」


愛華さんが拷問部屋から送られるR-18Gな報告書を読んだ感想は、フラコミュ人の死への恐怖が薄れているということ。生物の持つ根源的な感情すら、コントロールしているというのは言い過ぎだけど……宗教に染まれば人は自爆テロを行なえるのだから、そういう方法もあるのかもしれない。


その最初の指導者の名前はピエル・トレースというらしい。1914年に政権を奪取して以来、12年間も指導者を続け、枠組みを完成させた偉大な男だ。死ぬ前に第一線から退き、以後は選挙で7人の代表を決めるようになった。


最長10年の縛りは、2代目達が作り出した決まりらしい。偉大な初代様の任期を超えないようにしようという意図もあったようだ。後は、初代の枠組みに沿って国家を運営するだけだったようだけど、新技術の開発や子作りの推進していたのは大きい。


人口は国力に直結しやすいし、効率よく人口を増やしていけば、それだけで大国化する。元々のフランスの人口も多かったのだから、大国化は必然だったか。不毛なアフリカ大陸を捨てて、アメリカ大陸に一極集中したのも大きそうだ。その判断をしたのも初代様だし、凄い人だと思う。


フラコミュの内政方面から得られる知見としては、高層建築物に対する知識やインフラ整備のやり方か。フラコミュは5階建てのビルが1番多いらしく、大人になれば部屋は与えられるとか。年齢を重ねると下の階層に移れるそうだから、老人に対する考慮はされている方だな。


……化学肥料についても知見は得られるだろうし、早く喋って欲しいという気持ちはある。まあ、喋らなくても本の回収が進んでいるから何とかなると思いたいけど。

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