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織田信長の天下統一を手助けして現代に帰った俺が何故か祭り上げられている件について  作者: 廃れた二千円札
第十章:世界大戦

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第227話 食い違い

イギリスでも、豊森秀則の名前は知っている人はいるらしい。改変前の日本でイギリスのアーサー王やフランスのナポレオンが有名なのと同じ感覚かな。イギリスで俺は日本という国の近代化を推し進めた人物として、稀代の戦好きとして有名だった。あながち間違いでは無いから否定し辛い。


当然、俺が豊森秀則ということは信じられなかった。なのでロイズさん達には自分を豊森秀則だと思い込んでいる少年、みたいな認識をされた。同姓同名という発想は無いのか。自傷行為は止めてくれと懇願されているので、証明手段は無いし、もうその認識でも良いと諦める。


「そろそろ、ロイズさん本人が来た目的は何か、教えて貰えるかな?」

『ロイズさんが日本に来た目的は何でしょうか?』

『日本という国を知るために、今後も良い関係を築けそうか確認するために、私は日本に来ました』

「今後、ずっと良い関係を築けるのか、確認するために日本を知りたいから日本に来た、と言ってます」


愛華さんを通じてロイズさんに来た目的を尋ねると、手紙に書かれていたのと一緒で日本を知るためだと言われる。ちなみに、通訳は愛華さんだけで行うことにした。向こうの通訳の人は役に立たなさそうだし、ロイズさん自身が謝っていたから不味い通訳を使っているという自覚はあったのだろう。


自己紹介をして目的の確認も済んだので、交互に質問をすることとなった。早速、仁美さんがイギリスの今後についてと具体的な海軍の方針について聞く。大英帝国が誇る英国艦隊は初戦で敗北を喫して旗艦、クイーンエリザベスが沈没。その後に起きたドーバー海峡での戦闘でも小競り合いの末に何隻もの艦船が沈没したと聞いているし、気になるのは分かる。


『海軍のことは海軍大臣のエミリーに任せているわ。今後の動向はまだ決まってないけど、負け続きで士気が上がって無いことは確かよ。新しく建造しているクイーンエリザベス級の戦艦が2隻、就航するのを待ってから仕掛けたいと考えているけど、フラコミュの艦隊はイギリスの艦隊より量も質も上だから嫌になるわね』

「海軍は、今後の動向を決めかねているようです。新たにクイーンエリザベス級の戦艦が2隻ほど就航間近とのことで、完成を待ってから仕掛ける。イギリス艦隊はフラコミュ艦隊より規模も質も下だということがはっきりしている、と言ってます」

「フラコミュ艦隊は、数も質もイギリス艦隊を凌駕してるのか。……イギリスに、潜水艦は少ないよね?」


ロイズさんの言葉を、正確に翻訳してくれる愛華さんは非常にありがたい存在だ。いや、正確かは分からないけど、通訳を挟んでも意味が通じないことや言葉の食い違いが無いから、相当な精度で翻訳を行っているのだということは分かる。


そして、フラコミュ艦隊はイギリス艦隊よりも上だとイギリスの外務大臣がはっきりと言い切った。多少の差なら、外交の場で弱音なんて吐かないはずだから相当な差があると思っても良いだろう。量はともかく、質は日本よりイギリスの方が上だろうから、フラコミュ艦隊が如何にヤバいか、ということは理解できる。


ついでに、潜水艦について聞いてみたけどイギリスは潜水艦に投資をして来なかったらしい。やっぱりイギリスは戦艦重視ということか。プロイセンは潜水艦重視だから、両国が戦争したらプロイセンの方が海軍力は上かもしれない。潜水艦について聞いたところで、戦艦クイーンエリザベスが潜水艦の魚雷で沈んだことも知る。


戦艦なのに、潜水艦の魚雷を受けただけで機関停止となったのは不運だな。そして、就航待ちをしないといけないほどの深手を負っていると。フラコミュ艦隊を欧州で食い止めることは難しそうだ。イギリス海軍の状況については粗方確認が済んだので、次は日本側がイギリスの質問に答える番となる。


「女性が働いている社会をどうやって築き上げたか、その秘訣がしりたいようです」

「えぇ……それを聞いたところでイギリスでの実現が可能か否かは別だと思うのだけど。仁美さんは答えられる?」

「そうですね……『男性も女性も区別なく能力で仕事を割り振っているから、で納得出来ませんか?』」


流石にイギリスでの女性の社会進出を促した存在なだけあって、日本の摩訶不思議な社会システムは気になったらしい。根ほり葉ほり聞こうとするロイズさんの質問に対して、適当な回答をしていく仁美さん。ロイズさんは仁美さんの回答を聞いて、何だか嬉しそうだ。


結局、ロイズさんとの会談初日はイギリスの海軍事情と日本の歪な社会システムの情報交換だけで終わった。日本の社会システムを伝えていると、途中から向こうの顔色は怪しくなってきて、徹底している管理社会だと理解した時にはロイズさんもその周りの人達も若干引いていたな。


「国が社会を管理しないと、女性の早期の社会復帰とか無理ですって現実は突き付けないで良いの?」

「イギリスの社会体制を完璧に把握できていないので、イギリスで日本の政策を実現させたところで上手くいかない、とは助言し辛いですね。上手くいく可能性もあるわけですし」

「ああ。上手くいく可能性も0じゃないから、上手くいかないとは言えないわけか。……それでも、上手くいかない可能性が高いことくらいは教えてあげても良かったとは思うけど」

「秀則さん自身がそう言わない時点で、イギリスの社会体制を狂わせたいという意思が感じられたのですが?」


仁美さんと、会談後の夕食時に今日の事を話し合う。ロイズさんのおもてなしは、引き続き美雪さんが行なっている。現当主というのは色々と大変だ。久仁彦には頑張れとしか言えないな。

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