表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
織田信長の天下統一を手助けして現代に帰った俺が何故か祭り上げられている件について  作者: 廃れた二千円札
第十章:世界大戦

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

249/425

第225話 感染源

8月2日になり、8月の戦闘報告を聞きながら、北海道まで移動をした。今回はロイズさんとの会談もあるので美雪さんと仁美さんも一緒だ。移動の際はバラバラに船に乗ったが、万が一の時のリスク回避だろう。ただの家族旅行だとしても豊森家のトップ3+世継ぎだから、船旅でも慎重になっている。


戦闘報告にはプロイセンでの苦戦が鮮明に書かれているが、既に日本軍は2個軍団をプロイセンへ派遣し、プロイセンの6個師団と合わせてプロイセンの第8軍として戦っている。なお、その第8軍の司令官は文人さん。思っていたよりも早い異動と昇進になったな。


文人さんは雰囲気が怖かったというか、厳かだったから司令官向きではある。だけど俺にとってはお義父さんにもなるので死んでしまわないか心配になる。司令官が死ぬような状況はそんなに無いとは思うけど、心配なものは心配だ。


アラスカ戦線では第12軍が押されに押され、結局は第2軍から派遣された度重なる援軍でどうにか持ち堪えた、という状態だ。既に2つ目の要塞線で必死に耐えているとかフラコミュ軍が怖すぎる。来週中には新規に編成された2個軍がアラスカ戦線に到着するから、何とか耐えて欲しい。


新規に編成された第16軍と第17軍は自転車化歩兵師団や騎兵の割合が高い、機動力のある軍になる。第16軍の中には不破野さんの所属する特殊狙撃兵大隊も存在し、文字通り大隊全員が一発必中の腕を持つ精鋭のスナイパーで、冬季戦や山岳戦の訓練も受けているので活躍を期待したい。


……アラスカは、北の方でも夏は温かいそうだけど。気候的には、北海道とあまり変わらない感じなのかな?降水量は少ないけど、乾燥しきっているわけでもなさそう。一度はアラスカにも行ってみたいけど、避暑地は北海道で間に合っているからいつになるかは未定。


上陸作戦決行日となる9月10日までは、まだ1ヵ月以上ある。それまでアラスカ戦線で持ちこたえることは出来ると、第2軍の司令官である酒井大将は言っていた。実質的にアラスカ方面軍の司令官でもあるようだから、領主の息子というのは一種の特権階級だな。最低限の試験というのはあるそうだけど、7割ぐらいは通過するらしい。試験の意味はあるのか。


アラスカ戦線での報告書を眺めながら、彩花さんの実家でゴロゴロしているとロイズさんが札幌に着いたという報告が入る。ということは、今夜には釧路に着きそうだ。思っていたよりも遅かったけど、観光も兼ねて港町とかに寄っていたらしい。


俺が札幌まで出向いても良かったのだけど、向こうから来させるべきだと美雪さんに言われたのでロイズさん一行はまだ半日ぐらい汽車に乗らないといけない。遠距離移動だけど、日本の汽車はロシアのよりか快適だから優雅な列車旅をしているはず。


「明日には会談開始か。観光もするそうだし、せっかくだから競馬場でも連れて行く?」

「イギリスにも競馬はあるようですが……外務大臣を招くような場所ですか?」

「日本のありのままの姿をみたいとか書いていたし、連れて行っても良いような気はするけどね。熱狂的で騒々しい場所だけど、人間の本能があそこまで露わになっている場所は無いと思うし」

「……ロイズさんの意向に任せるのが1番ですね。日本の競馬に興味を引かれれば、自発的に見たいと言うでしょうし」


ロイズさんが外務大臣に就任したのは、去年の夏ぐらいだ。そこから美雪さんや日本の外交官と本格的に交流を始めて、不可侵条約の締結まで済んでいる。日本にとってありがたい話は向こうにとってもありがたい話だったようで、ロイズさんの名声は高まっている感じだ。出来れば懐柔したいけど、とりあえずは最大限のお持て成しをすることで機嫌を取りたい。


イギリスと日本を比較して、日本が勝っている箇所は少ないはずだ。唯一、声を大にして勝っていると主張できるのは日本の食事ぐらいだろう。イギリスの食事は、改変前では不味いことで有名だし、この世界でも不味いはず。今の日本で贅の尽くした美味しい食事を食べさせれば、胃袋を掴むことは出来そうだな。


「……離乳食は不味いけど」

「牛乳粥は、離乳食では1番健康に良いと言われてますよ?」


昼になったので友花里に牛乳粥なるものを食べさせつつ、つまみ食いをするとかなり不味い代物だった。友花里も凄い形相で牛乳粥を食べているから、美味しいとは思ってないな。


久仁彦も友花里も一時期はスプーンで牛乳粥をぺしぺしして散らかしていたから、世話係の人は結構な苦労をしていた。というか久仁彦は今でもぺしぺしと叩く。しかし美雪さんは孫となる久仁彦のそんな姿を見ながら、優しく微笑んでいる。たぶん仁美さんにも、こういう時期はあったのだろう。


ちなみに、ふーふーと息を吹きかけて冷ます行為は絶対にしないよう言われたので、つまみ食いをする時もわざわざ粥を別の皿に移してから別の匙を使って食べている。どうやら虫歯菌は親から子に移るようで、美雪さんや仁美さんは気を遣っていた。そう言えば、戦国時代には虫歯の人とかが多かったのに、今は全然いないように感じるな。


……昔は歯が悪くなればとりあえず抜く、という感じだったから、わりと多くの人が抜歯の経験者だった。除菌ついでに歯磨きを普及させたのは俺だけど、それでも虫歯に悩まされる人は多かったように思える。今では虫歯菌が親から子に移るものだとされているので、このルートをシャットアウトすることで虫歯菌の撲滅を狙っているとのこと。


それでも接吻や間接キスなどでの感染は防げないから、どうしようもないとは思う。結局は歯磨きぐらいしか俺には対策が思いつかないし、根本的な虫歯菌の撲滅方法なんて分からない。友花里や久仁彦が虫歯にはなって欲しくないから気を付けるけど、そもそも俺の口内に虫歯菌はいるのだろうか。


友花里も久仁彦もすくすくと育っているから離乳食は1歳前の時期から食べさせているけど、成長が遅い子だと1歳半でも離乳食を食べさせると言っていた。味は薄味で統一されているので、大体は不味く感じるな。この時期に濃い味を食べさせてしまうと将来的に濃い味を好んでしまうから、コントロールしているようだけど少し可愛そうにも思える。


まあ、濃い味を好めば早死にすることが分かっているからこその薄味離乳食か。こういう所はきっちりとしているから、安心は出来る。友花里も久仁彦も不機嫌そうな顔はするもののちゃんと食べ切るし、最近はシチューをドロドロにしたような美味しい離乳食が出る場合もあるしな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ