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織田信長の天下統一を手助けして現代に帰った俺が何故か祭り上げられている件について  作者: 廃れた二千円札
第九章:開戦とそれに至るまでの経緯

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第217話 三正面作戦

7月1日に、6月中に起きた戦闘報告が纏まって入って来た。まず、オーストリア=ハンガリー軍はプロイセン領内に侵攻。プロイセンの首都、ベルリンの真南に位置するドレスデンを重点的に責めているようで、プロイセン軍は劣勢とのこと。


ロシア軍の一部が既にロシアとオーストリア=ハンガリーの国境を越境しているので、挽回も可能だと品川さんは語っていた。しかし、ロシアも現在スカンディナヴィアとオーストリア=ハンガリーを相手に二正面作戦を行なっていることになる。しかもこれからオスマンとの戦線が増える予定なので、あまり多くの軍をオーストリア=ハンガリーに向けることは出来ない。


ドレスデンは、旧ザクセン王国の首都らしい。ザクセン王国は遥か昔にプロイセンへ従属する形で自然消滅した小さな王国で、ドレスデン自体はかなり大きな都市になる。残念ながらオーストリア=ハンガリーとの国境からはかなり近い都市でもあり、攻撃目標として狙われているという状況。プロイセン軍がこの戦線では少なく、苦戦してそうな雰囲気だ。


スカンディナヴィア戦線では日本人留学生の活躍が時たま聞こえて来ており、後方の都市への攪乱攻撃のお陰で国境地帯に戦線を構築。持久戦の構えに入っている。今川さんは早くも勲章を授与される予定とか耳に入って来たが、何をしたら開戦から20日も経っていないのに勲章を貰えるのだろうか。


そしてフラコミュ軍は、ラインラントへ進軍。フラコミュ軍の攻撃目標はシュトゥットガルトという都市らしく、ここでもプロイセン軍は苦戦しているとのこと。しかしフラコミュはプロイセン領内に侵攻すると同時に、ベルギー王国へも宣戦布告した。ベルギー国王がフラコミュ軍の通行を認めず、徹底抗戦の意思を表明したからだ。


この世界にはベネルクス三国同盟というものがあるようで、ベルギーの両隣に位置するルクセンブルクとオランダも相互防衛協定に乗っ取って世界大戦に参戦した。間接的に、プロイセンの味方が増えたようなものだな。


改変前の第一次世界大戦や第二次世界大戦でベルギーは、どちらもドイツ軍の道として利用されている。フランスにとっては、想定しているよりも大規模での迂回攻撃だった、というイメージだ。立場が逆転している今の世界では、フラコミュの道になりそうだな。


ベルギー、オランダ、ルクセンブルクを敵に回してでも、低地諸国を通過したかったのだろうか?ルクセンブルクはほぼ一都市の超が付くほど小さな国だけど、オランダとベルギーは小国ながらもそれなりの国力と軍隊を保有している。大国にとっては些細な規模の軍とはいえ、フラコミュと戦ってくれるというなら支援したいし、頑張って欲しい。


……1つ、知っていることがある。改変前のフランスで対ドイツのために作られたマジノ線は、ベルギーとの国境地帯まで延長していた可能性があったこと。そしてそれは、ベルギーを見捨てる選択肢であり選べなかったということ。もしもマジノ線を延長していれば、第二次世界大戦でフランスの早期陥落は起きなかった可能性も存在する。


プロイセンは、ベルギーやオランダとの国境地帯に要塞線を引けたのだろうか?流石にフラコミュとの国境地帯には常備軍と多数の要塞を配置していると思うけど、ベネルクス方面への防御意識が薄いのならかなり不味い状況と言える。


「プロイセンは、かなり苦しい状況だな。第1軍と第5軍、第6軍はフラコミュとの国境地帯で応戦中。スカンディナヴィアとの国境地帯では第2軍と第3軍が奮闘中。オーストリア=ハンガリー軍の相手は、第4軍だけで対応している状況か」

「現在編成している第7軍はベルギーへの援軍として、第8軍はオーストリア=ハンガリー戦線に向かわせる予定だそうです」

「編成中の軍が、前線に出るまでが勝負になるか?ある程度戦線が膠着すれば消耗戦が始まるけど、その前に倒れそうだぞ」


愛華さんから編成中の軍について伝えられた後、改めて欧州の地図を見る。もちろん、正確な地図では無いけど俺の知る欧州の地図にかなり近いので、大まかな大陸の形自体は合っているはずだ。フランス人やロシア人達の協力のお陰で、わりと正確な部分も多い。


プロイセンは、三正面作戦に入った。北、西、南から押し寄せる大軍に対して、冷静な対応をしている。敵軍の規模に対して相応の軍で応戦しているからか、崩壊は起きていない。士気が高いようだし、国を守る戦いだから、国境での戦いでは優位に立てるのだろう。


「ベルギーが潰れるまでの期間が読めないな。数日も持たないか、2週間程度の時を稼ぐかでプロイセンの負担も変わる。フラコミュはたぶん、早期決着を狙っていると思うよ」

「迂回してくる軍の規模がどれぐらいかまだ分からないのが、プロイセンにとっては辛いですね。オランダとベルギーが軍隊をかき集めたとして、どれぐらいの規模になるかも……」

「オランダとベルギーの軍を合わせたら、1個軍程度にはなりそうだけどな。向こうでは3個軍団以上で1個軍と呼ぶそうだ。オランダもベルギー、5個師団程度なら編成出来るはず」

「合わせて10個師団ですか。プロイセンの援軍も合わせれば、ベルギー領内で進軍を止めることも可能ですかね?」


彩花さんがベルギー軍とオランダ軍の規模を聞いて、プロイセン軍の援軍を合わせれば進軍を止められそうか考えているけど、勝てる算段があるからフラコミュはベルギー領内に侵攻したはず。ベルギーには要塞も多いけど、どれだけの数の要塞が機能するか謎。


リエージュ要塞とかはこの世界でも有名だけど、フラコミュ側から攻められてリエージュまで攻撃されているならベルギーは壊滅状態だな。オランダはまだ直接的にはフラコミュと国境を接していない。ベルギーが潰れるまでは、時間的な余裕もある。


……プロイセンの新しく編成する軍が、ベネルクス三国を助けられるかも重要になりそうだな。最悪の場合、オランダやベルギー王室はイギリスやプロイセンへ亡命するだろうけど

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