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織田信長の天下統一を手助けして現代に帰った俺が何故か祭り上げられている件について  作者: 廃れた二千円札
第九章:開戦とそれに至るまでの経緯

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第212話 開戦日

6月13日の未明にスカンディナヴィアの艦隊がプロイセンの艦隊と接触し、互いに砲撃を行った。同時にスカンディナヴィアはプロイセンに対して宣戦布告。それとほぼ同時刻にオーストリア=ハンガリーとフラコミュもプロイセンに対して宣戦布告を行い、世界大戦が始まった。


動きの速かったプロイセンやオーストリア=ハンガリーでも、まだ動員は完了していないだろう。それでも宣戦布告をしたからには、既に小規模ながらも軍隊による侵攻が可能となった可能性がある。事件発生から僅か2週間程度で、世界規模の戦争が始まってしまった。


……ちなみに宣戦布告無しの戦争は、日本に対してだけだったということが明らかになった瞬間でもある。たぶん、日本は世界の国々から集団いじめを受けていた時期があるのだろう。日本側が海外植民をどんどん行なっていたことを考えると、世界が集団いじめられを受けていたとも言えるが。


フラコミュがプロイセンに宣戦布告をした僅か3時間後に、イギリスもプロイセン側に立ち、フラコミュとスカンディナヴィアに対して宣戦布告を行う。それとほぼ同時に、ロシアもスカンディナヴィアとオーストリアに対して宣戦布告を行った。そして6月13日の正午に、共産主義国であるイタリア社会主義共和国がフラコミュ側に立ってプロイセンに宣戦布告。これで世界は共産主義陣営と、反共産主義陣営に分かれたことになる。


纏めると、共産主義陣営がフラコミュ、イタリア、スカンディナヴィア。フラコミュと手を組んでいるのがオーストリア=ハンガリーとオスマンだ。オスマンも、そのうちフラコミュ側で参戦するだろう。反ロシア、反イギリスだからこれは仕方ない。交渉で手を組まさないようにするには、日本の外交力が足りなさ過ぎた。


対して反共産主義陣営はプロイセン、ロシア、イギリスの3国だ。国力的に、日本が反共産主義陣営に入らないと戦争の長期化も難しいかもしれない。日本が参戦しなければ、共産主義が世界中に広がりそうだな。


……そんなことは分かり切っているので、プロイセンには早く戦勝した場合のアメリカ大陸の利権を全て手放せと脅している。いや、実際には脅すような口調では無いけど、脅しているようなものだろう。既に電話で条件は伝えているし、新しい外交官も派遣して日本側の意図は明確に示している。断られたら断られたで困ることにはなるけど、プロイセンがどう考えているかだな。


「ここが、日本とプロイセンの正念場ですね。宣戦布告は行われましたが、まだ戦闘は始まっていませんし、将来的な勝ち負けは分からない。もしも断られた場合は、フラコミュに単独で宣戦布告を行うのですよね?」

「ああ。どっちにしてもフラコミュに宣戦するのには変わりない。ここでプロイセンが断った場合、世界各国の首脳陣が集まった和平会議は開かれないだけだ」

「和平会議ですか。各国の首脳陣による話し合い自体はイギリスが提案していたようですが、参加国は0でしたね」

「最初のスキャンダルが起きた時にイギリス、プロイセン、オーストリア、ロシアの4ヵ国で話し合いをしようとか言ってたらしいね。提案したイギリスですら参加してないのは笑ったけど」


実は戦争を回避していた可能性はそれなりにあった、オーストリアが最後通牒を出してからは回避不可になっていたと思うけど、それまでに意外と各国の首脳陣は動いている。仁美さんの言う英普墺露の4ヵ国会議が行われていれば、戦争にまでは発展しなかったかもしれない。


プロイセンに要求しているアメリカ大陸の利権云々は、回答期限を6月18日までとした。期限は短い方が短絡的に考えてくれそうだし、敵味方の整理は早い方がお互いのためだ。なお、つい先日ロシアは秘密裏に日本の要求を飲み込んでいる。これは開戦前から交渉を重ねていて、ロシア領となる北アメリカ大陸の利権を日本が買い取ったからだ。


今の段階だと戦勝時には北アメリカ大陸の7割が日本領、3割がプロイセン領となる。その3割を日本に譲るか、譲らないか。ただそれだけの話なのだけど、当然北アメリカ大陸の3割は大きい。この約束事が、将来的に意味のある行為なのかも分からない。戦後の世界で、敵を増やすだけかもしれない。だけど、譲りたくは無かった。


「サンフランシスコ、サンディエゴへの上陸作戦は、準備が順調なら9月上旬に決行出来るって言ってたよね?それなら、9月10日を目標にしておいてくれる?」

「かしこまりました。7月末までには人員と物資のハワイへの集結も完了するので、9月10日の決行なら遅れは無いと思います」

「それと、フラコミュへの宣戦布告は8月1日に親書への返答で行おうと思うよ。宣戦布告をすること自体は、プロイセンがどう回答しても変更無しだ。返答の内容では、8月10日に侵攻すると予告もする」

「攻撃を予告して、攻撃を誘うのですか?…………なるほど、失礼しました。予告の件も了解です」


怜可さんにフラコミュへの宣戦布告についての連絡もしておく。具体的な日付をどうするか、俺の中で答えが出たのでその通りに実行する。アラスカ方面では、初動で防衛側に立ちたい。そのために、親書への返答の手紙で宣戦布告を行うことにした。


もしも宣戦布告をして来た相手が攻撃日時まで記しているなら、取る手段は2つだ。1つ目は防御陣地を築いて敵を待ち構えること。2つ目は予告されている攻撃日時より前に、攻撃をして先手を取ること。


本来であれば、待ち構える方が得策だ。攻撃日時が守られるとも限らないし、攻撃するよりも防御する方が被害は少ない。攻撃が分かっているのなら、耐える方が準備も楽だ。しかしメキシコとフラコミュの戦争を通じてフラコミュの戦争は、攻撃こそが至高と考えているように思えた。


……エラン・ヴィタール、攻撃精神。そんな言葉が、頭の中に浮かんだ。

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