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織田信長の天下統一を手助けして現代に帰った俺が何故か祭り上げられている件について  作者: 廃れた二千円札
第九章:開戦とそれに至るまでの経緯

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第209話 北米大陸侵攻計画

オーストリア=ハンガリーがプロイセンに最後通牒を送ってから48時間が経過し、要求の9割方を拒否したというプロイセンの報告が日本に届いた6月10日。俺は参謀本部に訪れて、北アメリカ大陸への侵攻計画を実行するための準備をするよう通達した。プロイセンに対して、オーストリアが国交断絶を宣言。動員を開始したからだ。


……ハワイに人員や軍を集めるのには1ヵ月半もかかるから、フラコミュを攻めることになったとして、上陸作戦を今すぐに始めようと言っても難しい。だからあらかじめ、日本軍をハワイに集結させる必要がある。ハワイに軍勢を集めるだけでもお金は凄くかかるので、引き返すことはもう出来ない。


「良い具合だな。フラコミュがプロイセンに対して宣戦布告を行うのは来週中だとすれば、アメリカ大陸への意識は確実に低くなる。流石にアラスカ方面は増員するだろうけど、アメリカ大陸の広い海岸線を全て警戒することは出来ない」

「そこに複数のルートで同時に強襲上陸を仕掛けるのであれば、成功確率は高いでしょう。メキシコ海軍がそれなりに強かったお陰で、太平洋方面のフラコミュ艦隊は艦艇が幾つか沈んでいるはずです。強襲上陸の数日前には、艦隊決戦を望みましょうか?」

「奇襲の効果が薄れるから艦隊決戦は避けたいけど、撃破出来る時に撃破した方が良いのか。結局、初風型駆逐艦が12隻と改初風型駆逐艦が48隻だっけ。88隻同時建造は間に合わなかったか」

「それでも1ヵ月後にはまた14隻が就航予定です。とりあえずは現存する駆逐艦60隻での艦隊決戦になりますが、旧来の大型戦闘艦も輸送艦の護衛を行う艦艇と、先行偵察させる艦艇に分けます」


参謀本部にいた常久さんに確認を行い、戦闘計画を見る。まだ日本は何処とも戦争をしていないし、敵視もされていない。警戒はされているが、過剰なほどの警戒をしている国は少ない。フラコミュの宣戦布告を確認してから戦争の準備をしていては遅いので、宣戦布告を行う前に、準備を始める。


ハワイまでは島々を辿って電話も出来るようになっているので、必要なのは輸送の時間だけになる。軍の編成については前々から立てていた計画通り編成することになったけど、結局侵攻軍は60個師団になったか。第3軍、第6軍、第10軍、第11軍、第13軍、第14軍で、6個軍の規模だな。


アラスカ方面からも第2軍と第12軍を使って攻撃を仕掛ける予定で、要塞線と列車砲を活用するためにもここではわざと負ける予定だ。あえて脆弱にした1つ目の要塞線を乗り越えて貰ってから、攻め込んで来たフラコミュ軍の兵数を削る。


とにかくフラコミュ軍の全容が把握できないので、1人でも多く削ることがアラスカ戦線の主目的となる。まあ、フラコミュ軍が馬鹿みたいに誘導されるとも思えないけど、この戦線は初動で全てが決まるな。


……まだ戦争は始まって無いけど、今日も参謀本部は大忙しである。特に物流管理部門が悲鳴を上げているそうなので、増員はさせるように言っておこうか。この戦争のために、日中戦争を経験した人の中から80万人を選抜、再編成している。その人員を動かすための人員は、多い方が良い。


予定ではアラスカからバンクーバー方面へ20万人。ハワイからサンフランシスコ方面へ30万人。同じくハワイからサンディエゴ方面へ30万人という規模の軍を派遣することになる。えげつない規模だけど、フラコミュも同等以上の軍は出してくるだろうから後詰は必須だろう。残念ながら、これ以上の規模の軍を同時に上陸させる輸送能力が日本に無い。


主攻となるのは旧フラコミュとメキシコの旧国境地帯を攻撃することになるサンディエゴ方面軍だ。


メキシコは、軍が半分程度生き残っている。旧領回復を餌に参戦させることは可能かもしれない。だからサンディエゴ方面軍の総司令官となる将伯元帥には柔軟な対応を求めたいけど、風格が無いから少し不安だ。一昨年の時点でもそこそこ太っていたのに、今年会ったらさらに太っているのは予想出来なかった。


対フラコミュ戦にて上陸作戦に参加する人の中で、知っている人は将伯元帥に、秀一郎さんと秀二郎さんぐらいか。佐藤さんも名前はよく見た。秀一郎さん、秀二郎さん、佐藤さんは全員中将で、軍団長では無く軍長だ。秀一郎さんが第6軍、秀二郎さんが第11軍、佐藤さんが第10軍を率いることになっている。


要するに日中戦争で北部戦線にいた人達が、今度はサンディエゴ方面軍として活躍することになる。というか最近、佐藤の苗字を目にしたような気がするな。


「あれ?佐藤直樹中将と、留学した佐藤健太は親子なの?」

「親子ですよ。佐藤中将の後妻の子が佐藤少尉のはずです。確か、佐藤中将が34歳の時の子供ですね」

「親子で軍属って意外と多いな。秀一郎さんの息子が栄一郎さんだと聞いて驚いたし」


ふと留学した学生達の中に佐藤の苗字を持つ人がいたのを思い出したので、愛華さんに聞いてみると、親子だという返答を貰った。前に、同じく留学した栄一郎さんが秀一郎さんの息子だと聞いて驚いているので、今回はさほど驚かなかったけど、親子で軍に所属していることが多い気がする。


秀一郎さんが39歳で、栄一郎さんが今年18歳だということを考えると、世代交代は早い。佐藤親子のように世代交代が遅いケースもあるけど、健太さんの場合は3男4女の末っ子らしい。まあ、親の職業に就くことが多いのは悪いことでは無いだろう。職業選択の自由がある中で、親父の背中に憧れただけだしな。


久仁彦や友花里は、どう育つのか楽しみだ。最近はようやく2人とも歩けるようになったので、乳母や教育係の人が困っている。行動範囲が広くなったせいで、危険なことをする回数が増えたからだ。1歳を過ぎたこの頃の教育は1番大事だとされているので、例え理解出来なくても論理的に説き伏せるらしい。


だから長々とした説教をしている姿を、よく見かける。まだ物事の善悪を把握するのは難しいと思うけど、賢く育てるために必死だ。ちなみに暴力系の体罰は無いが、拘束具は存在する。幼い頃から悪い事をすれば罰せられると、嫌でも把握させるらしい。


……教育方法については深い理解があるわけでも無いので口を挟んだりはしないけど、本当にこれで良いのだろうか?いや、拘束するのも一つの手段ではあるけど。拘束されて床に寝かされたまま、説教される赤ちゃんという絵面は少し引っかかるものがある。

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