表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
織田信長の天下統一を手助けして現代に帰った俺が何故か祭り上げられている件について  作者: 廃れた二千円札
第九章:開戦とそれに至るまでの経緯

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

228/425

第208話 最後通牒

2022年6月7日に、オーストリア=ハンガリー帝国はプロイセン王国に対して最後通牒を出した。


両国の国力を比較すれば、プロイセンの方が高いと言える。オーストリア=ハンガリーの国力は、欧州の列強と比べれば同等か一歩劣るという感じだ。世界のトップを争うプロイセンと比較すると、確実に一歩劣る。では何故オーストリア側が怒っているかと言うと、ドイツ人の政治家がプロイセンにオーストリアの国庫からお金を横流ししていたからだ。


まだ、詳細な情報は入っていない。しかし5月30日に巨額の資金の横流しが発覚し、それから僅か一週間で欧州の雰囲気は一変した。現状、正しいと言えそうなのは『ドイツ人の政治家が日本円にして年に数千億円、通算で数兆円のお金をプロイセンに送っていたと、オーストリア政府が主張していること』だけだ。


この問題を起こしたことになっているドイツ人の政治犯は2人いて、現在はプロイセンに逃げ込んでいる。オーストリアはプロイセンに引き渡せと言っていたが、プロイセン側が断ったせいで軋轢が入った。


当然オーストリア国民は怒り狂い、オーストリアの世論は戦争を起こせと言っている。正直に言うと、これで本当に戦争が起きるのかと疑問に思うが、人1人が死んだだけで世界大戦が起きたこともあるし、たった1人の野望から数千万人の人が亡くなった戦争もある。きっかけなんて、大体は些細なことだ。


事件が発覚した直後からフラコミュも介入して来たようで、オーストリア国内ではドイツ人に対する迫害も始まった。そして僅か一週間後にオーストリアは最後通牒草案を完成させ、皇帝はそれを承認した。


プロイセンの首脳陣から電話で語られたオーストリアの最後通牒は、要約すると以下の通りだ。



1.横流しされていた40億マルク(約4兆円)の支払い。

2.早急にハラルドとベニー(横流しをしていたとされる人物)を逮捕すること。その身柄をオーストリア政府に引き渡すこと。

3.オーストリアに対する政治的圧力を止めること。

4.大ドイツ主義者による団体を解散させること。

5.大ドイツ主義者による扇動の禁止。

6.回答期限は48時間。

7.全ての項目を実行し、滞り無くオーストリア政府に伝えること。



細かい箇所は省くが、それでも要求事項は多い。プロイセンはほとんどを拒否する予定だと言っていたので、日本としては静観するしかない。拒否されることを前提にしたような内容なので、プロイセンから助言を求められた時には慎重に回答をしよう、としか言えなかった。


「オーストリアかプロイセンが総動員を行えば、フラコミュも総動員を行う。そうなればスカンディナヴィア連邦やロシア帝国も動員を開始する。一度出来た戦争への流れは止められないな。止めるつもりも無いけど」

「秀則さんは、今後どうなると考えていますか?」

「まずはオーストリアがプロイセンに対して国交断絶を宣言するよ。その後はどちらかの国が、相手国の軍が攻めて来たとか言って皇帝を煽り、動員を開始。部分動員だと途中で総動員に切り替えられないだろうから、この動員は総動員になる」

「部分動員と総動員は途中で切り替えられないものなのですか?」

「日本だと出来るけど、他国は無理だと思うよ。後はいつ宣戦布告をするかという問題だけだね。フラコミュがオーストリアに介入していればしているほど、これは早くなると思うけど」


仁美さんに今後どうなるかの予想を聞かれたので、一通りは話をしておく。こうなってしまったからにはプロイセンとオーストリアで戦争になる可能性は高い。ここでオーストリアの国力は、プロイセンに敵わないことが明らかなことを考えれば、オーストリアがフラコミュやスカンディナヴィアと手を組んでしまう可能性は十分にある。


プロイセンは最悪の状況だと、1国でフラコミュ、スカンディナヴィア、オーストリア=ハンガリー、イタリアまで敵に回しそうだな。ロシアが味方になっても苦しいし、イギリスや日本はまだ確定で味方では無いことを考えれば、かなり苦境に立たされている。


オスマン帝国も反イギリス、反ロシアだしスペイン帝国でも共和派による内戦が起きそうなことを考えれば、プロイセンは相当辛いな。それだけ、共産主義圏が拡大しているとも言える。まだ詰んでいるとは言い難いけど、オーストリアの宣戦布告に合わせてフラコミュやスカンディナヴィアから奇襲を食らえばどうなるのかは読めない。


……最悪のことを考えれば、プロイセンへ留学している学生達は日本に帰国させた方が良いのか?いや、日本軍人はプロイセン軍人より屈強で賢いという評価を向こうでされているのなら、向こうで使って貰った方が良いか。そっちの方が信用して貰えるだろうし。


回答期限が48時間後なので、6月9日にはプロイセンが回答するはず。その回答を見て、オーストリアが激怒すれば世界大戦まで一直線だ。最後通牒を送っている時点で、激怒していることは見て取れるけど。プロイセンが全て拒否するのか、一部は受け入れるかも見物だ。


実際に国庫の横流しが起こったのかは、日本からでは分からない。プロイセン側はでっち上げだと言ってるし、政治犯の容疑がかかっている2人は横流しを否定している。オーストリアでドイツ人の迫害が起こっていることも考えれば、この事件の解明は難しいように思える。


フラコミュがオーストリアを陣営に誘えば、プロイセンは北からスカンディナヴィア軍、西からフランス軍、南からオーストリア=ハンガリー軍と、3方向から侵攻される可能性がある。元々練ってあった戦略は、オーストリアが味方であることを前提として練られていたのなら使えないし、絶望的な局面を迎えるな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ