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織田信長の天下統一を手助けして現代に帰った俺が何故か祭り上げられている件について  作者: 廃れた二千円札
第八章:外国との関係

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第207話 空軍

4月27日。3日前に飛行機が飛んだことで新聞の号外が出たせいか、世間は大騒ぎしている。これを機に空軍の設立も行ったため、軍人の整理も行われた。陸軍や海軍の中から、適当に有望そうな若者を空軍に異動させるのだ。もちろん志願制なので、本人の希望の上での異動になる。案外希望者が多くて驚いたけど、みんな空を飛ぶ好奇心の方が恐怖心より強いのかな。


そして海軍幼年学校で1年間心身共に鍛えられたはずの加藤さんは、今日も無邪気に飛行機で空を飛ぶ。成長らしい成長が見られなかったが、一応物事を考えるようにはなっている雰囲気だ。飛行機に乗る回数が多いため、当然今の日本で飛行機の操縦が1番上手いのは加藤さんになる。


島津さんは、空軍の戦術について考えて貰うことになった。基本的に、飛行機と飛行機の戦闘はどちらが後ろを取るかだと思っているけど、映画とかドラマでのイメージでしかないから実戦だと違うかもしれない。


島津さんの意見では、偏差射撃が上手い人をパイロットにしろというものがあった。直線的な戦闘では無く、三次元的な戦闘になるから敵機の行動を読める頭脳と、お互いの位置を把握できる感覚が必要になるとか。島津さん自身も、飛行機には乗っている。乗った上でそう言っているのだから、偏差射撃が上手くて一瞬の判断が得意という条件を満たすような超人を頑張って用意しよう。


また、飛行機にトラブルがあった際に操縦者が生き残れるよう緊急脱出的な手段も考えた。パラシュートの開発や、敵地に着陸してしまった際のサバイバル訓練なども行うことにする。パラシュート自体は既にフランス人達によって開発されていたけど、飛行機の操縦者が背負えるように、生存率を上げるように、小型化や改良を施さないといけない。


「空軍の設立と同時に、異動になる士官の階級はそのままにしてくれ。佐官以上はスカスカになるだろうけど、当分は偵察任務しか出来ないだろうからスカスカのままで良い」

「了解です。空軍の権利関係について相談回数が増していますが、どう返答するべきですか?」

「空軍の管轄は陸も海も全てだ。どの場合でも、空の決定は優先してくれ。陸や海で制空権が必要になった時、空軍と連携出来るようにしたい。具体的な権利については話し合ってくれ」


怜可さんが空軍の権限の範囲について聞いて来たが、細かく限定するのも面倒なので空軍を最上位に置いた。制空権が必要な戦域は絶対に空軍の方が立場は上、としたのだ。そして制空権が必要な時と言ったけど、戦場では常に制空権の確保が必要だろう。


陸軍と海軍の仲は悪く無い。この状況で新しく空軍を設立したからと言って、今の日本で軍内部の対立が起きるとは考え辛い。元陸軍や元海軍の士官が移籍してくることも考えれば、陸や海に対して見識のある空軍になる。出来る限り、若い尉官を選別して異動させよう。希望者が多かったから、そのぐらいの選別は出来るはずだ。同時に、陸軍や海軍での士官不足にならないようにも考慮する。


エリート達が集まる中で島津さんがどのぐらい出世するかは分からないけど、編隊飛行を教えなくても理解するぐらいには頭が良いから、出来れば出世して欲しい。豊森家以外の人間で、しかも女性だから厳しいのは分かっている。だけど、彩花さんを超えるかもしれない頭脳を腐らせるのは勿体無さ過ぎる。


「空の戦いの優劣が、戦争の流れを決定する日は必ず来る。とりあえず攻撃機と迎撃機に分類分けをしたいのだけど、そもそも搭載能力が足りない感じだからなぁ」

「機関銃を単に乗せるだけでも、重量は重くなるので難しいとのことです」

「まあ、その辺は田中さんの研究チームの休暇が終わってから具体的に話し合うか。というか飛行機が飛べたのは、加藤さん達が軽かったから?」

「……おそらく私や凛香さんが飛行機に乗っていれば、飛んでいたかは怪しいです」


愛華さんに搭載能力について確認すると、凛香さんや愛華さんが操縦者であれば飛んでいたかは分からないとのこと。50キロまでなら飛べることを確認しているけど、それ以上だと飛べないかもしれないということはエンジンパワーが足りてないな。もっとエンジンの馬力を上げる研究もしていかないと、ただ飛んでいるだけになってしまうから非常に辛い。


もしかすると、偵察機としての運用も難しいのかもしれない。敵の対空砲の攻撃もあるだろうし、対フラコミュ戦で今の段階の飛行機を実戦投入するのは怖すぎるな。こちらの対空砲もようやく機能するのか分かるようになって来た段階だし……軍事費は膨れ上がりそうだ。


「速度も上げておきたいし、飛行機の研究開発はまだまだ続けるよ。機関銃も改良は進んで来たし、半年後までには迎撃機を開発しておきたい」

「敵機を撃ち落とせるようにしたいのであれば、対空砲の研究の方がコストは安く済みそうですよ?」

「今の対空砲は持ち運ぶのが難しいし、迎撃機の方が開発してしまえば生産コストは安いと思う。問題は、パイロットの確保の方だな」

「空軍士官学校を設立するとして、パイロットとして機能するのは最短で3年後ですか。軍人としての教育期間が半年や1年だと不安ですし、数の確保は難しいですね」


最大の課題は、パイロットの確保だ。事故死する可能性も考慮すると、パイロットは多ければ多いほど良い。幸い、新聞で飛行機が飛んだことは大々的に報じられたし、パイロットの募集は上手くいくだろう。しかし問題点は、その募集した人間がパイロットとして使えるのは数年後ということだ。


……加藤さんや島津さんが僅かな練習期間で飛べたことを考えれば、操縦自体がそこまで難しいとは思えない。しかし空軍所属のパイロットとして、軍人を一から育成するのは辛いな。他所からの異動だけで確保しようとすると陸軍や海軍に影響が出るし、調整が難しい。

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