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織田信長の天下統一を手助けして現代に帰った俺が何故か祭り上げられている件について  作者: 廃れた二千円札
第八章:外国との関係

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第203話 失敗

10月の上旬まで続いた予算会議は8日になってようやく終了し、仁美さんはかなり疲れ切った顔で久仁彦に母乳を与えていた。久仁彦は生後5ヵ月目ということで首が座り始め、夜泣きが多くなった。夜泣きの対応は乳母が行っているので仁美さんの負担にはなってないけど、赤ちゃんはやっぱりこの時期が1番大変だな。


一方で友花里の方は大して夜泣きをしてなかったので、手間のかからない赤ちゃんだと思っていた。しかし、ハイハイを始めるようになってからはかなり活発に動いている。この前はテーブルクロスの端をあむあむと口に咥えていたので流石に引き離したが、大泣きして大変だった。


彩花さんや百合野ちゃんのお母さんからは刃物以外見逃せと教えられたので、以降は見逃しているけど何でも口に入れるのは怖い。まあ、友花里も常に監視されているから万が一は起こらないのだろう。今の時期、口に入れて物を覚えるのは赤ちゃんの仕事だ。


……これで、雑菌に対する耐性とかも獲得しているのかな?人間の身体はそこまで単純じゃないけど、この時期に口に物を入れるというのは意味がある行為だと思っている。誤飲が怖いし、とりあえず小さな物を周りに置かないようにしておくか。


10月に入ってから、飛行機開発の分野で進展を聞かなくなったので何があったのかと思えば内々で行っていた実験で失敗したとのこと。崖から滑空を試みて、着地時に失敗をしたのか飛行機が大破したらしい。中にいた人は全治2ヵ月という重症を負ったようだけど、死亡事故じゃなくて良かったと言える。


どうやら着地時に出るはずだったタイヤが出なかったらしく、田中さんの研究チームは大いに責められることになった。半年前はエンジン関係で爆破事故を起こしていたし、トラブルが多発する研究チームだな。


「安全性を確保しなかった田中さんが悪いとは言い切れないな、これ。飛行機で飛ぶ以上、トラブルがあった際の緊急回避的な案を出しておかなかった俺のミスだ」

「田中さんが悪いとは決まってません。それに、操縦者の方にも問題はあったようです」

「……そう思うならとりあえず実験体、という感覚で元犯罪者を使うのは止めよう?刑期短縮を餌にするのも、個人的にちょっと思うところがあるし」

「……操縦者が死亡しなかったのは、着地に失敗しても大丈夫なようにクッションを用意していたからです。普通の人間の強度であれば、骨折などしないようになっています」


愛華さんが操縦者に問題があると言っていたので、精神的な問題かと思ったら肉体的な問題だった。いや、精神面にも問題は抱えていたようだけど、そういう人を実験に使用すること自体に問題があると思う。というか本来であれば、こういう実験のために加藤さん達を雇ったはずなのだけど。


ちなみに実験中の失敗というのはよくあることだ。遠心機の蓋が吹き飛んだり、試薬の瓶が炎上したり、加圧するための機械が爆発したり。笑えないような失敗報告は、山ほど存在するし、耳に入って来る。そういう時に問題を起こした本人を責めるだけでは無くて、次回以降の事故を防ぐための話し合いが行われるのは今の日本の非常に良いところだとも思っている。大体はお金で埋め合わせが出来るしな。


今回の失敗で責められる形にはなったけど、田中さんの権威というか、評価が落ちることは無いと思う。既に豊森家には認められた側の人間だし、そろそろ豊森姓になりそうな人間だからな。まあ、責任者ということで罰金ぐらいは払わされると思うが、別途補填が入るだろう。


田中さんは明らかに研究開発に対して抜きん出た才能を持っているし、田中さんで無くても研究者は国の資本だ。例え研究者として不出来な人間でも、今は確保するべきだと考えている。裾野を広げることで、頂点はどんどん高くなるはずだ。……無制限に予算を使われたら不味いので、その点だけは引き締めるけど。


「予算確保が難しいのは、仕方がないことか。最初はあれだけ多く見えた予算も、いざ多くの人を動かしてみると少なく感じるものだね」

「研究者の優遇処置を幾つか減らせば、財源的にはかなり楽になるのですが……反対ですよね?」

「当然。というか愛華さんだって研究者の優遇をしないと駄目、みたいなことは言ってなかったか?」

「研究者を増やすために研究者の優遇をすること自体は良い案だと思ったのですが、実験が高度になるにつれて実験費が高くなってきています。実験費が高騰する中で研究者を増やそうとすると、そこで予算との兼ね合いが発生して財源の確保が難しくなりますね」


予算の話は、本当に頭が痛い。あれもこれもと言って研究者を増やした結果、海軍の拡張も併せて予算の逼迫に繋がった。……研究費を抑える研究も始めたので、来年度以降は風向きが変わると思いたい。実験器具のコストダウンも始まったし、キツイのは今だけだろう。そう思いたい。


飛行機開発は来年に持ち越しとなりそうなので、焦らないようにと伝達。既に試作機の設計が始まっているから、慎重に事を進めたい。エンジンの改良も引き続き行わせているし、エンジンパワーの不足も解消されるはず。


フラコミュとメキシコの戦争ではまだ飛行機の存在の確認が出来ていないけど、少なくともフラコミュ側は飛行機を飛ばしているはず。……今から20年以上前に欧州では飛行機が飛んでいるのに、飛行機が戦場に姿を現さないということは流石に無いだろう。


いや、撃ち落とされる可能性の方が高いのなら、飛行機は出て来ないか?そこら辺はあまり詳しく無いから、判断が難しいな。

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