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織田信長の天下統一を手助けして現代に帰った俺が何故か祭り上げられている件について  作者: 廃れた二千円札
第八章:外国との関係

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第199話 男女の差

8月9日。北海道に移り住んだというイギリス人から情報収集を行った。アラスカ方面に難民として押し寄せて来たイギリス人の1人だ。彼は僅かな期間で日本語を覚えてしまい、なおかつイギリス人難民の中で数少ない高校に相当する教育機関を卒業した若者だから、ある程度の情報は得られると思っての接触になる。


「……バンクーバーは俺でも聞いたことがあるような都市名だったから、田舎とは思えなかったのだけど、本当に田舎町だったな」

「既に何回か事情聴取はしていましたが、衛生面や家庭内の力関係を聞くという手法は行っていませんでした。そういった側面からも、見えて来るものはあるのですね」

「1番話しやすい話題だからね。それに、衛生観念や男女の力関係の話は結構重要だし」

「では、次からはそういったことも含めて尋ねるようにします」


バンクーバーというアメリカ大陸の北西部に位置する町から移り住んで来た彼らは、能力別に番号を割り振られ、上位陣から順に日本の生活に順応していった。普通の日本人と変わらない扱いを受けているのは、上位1万人ぐらいか。


下位陣はまだ、アラスカの国境地帯でキャンプ生活じゃないかな?15万人以上の難民の内、12万人は既に仮設住宅への移住が完了しているから、国境地帯に残っている人は問題のある人達かもしれない。少なくとも、今の日本への適合が出来ないような人間なのだろう。


俺が直接会話を出来たのは、イギリス人難民の中でも最も順応性の高かった、日本語がとても上手な男性だ。たった半年で日本語を自由自在に扱えているのは、かなり言語能力が高い証拠だろう。人間、必死になれば半年で一言語を取得できるものなのか。今隣にいる彩花さんは、2週間に一言語のペースで外国語をマスターしていた気がするけど。


なお、会話が出来たとは言ってもお互いに顔も見えない状態だったから、直接会ったという気はしない。しかも今後はさらに色々なことを私達が聞きますから、と詰問を担当していた人達に言われたので、次の機会はおそらく無い。


今回の会話で、1番収穫があったのはインフラの話だろう。イギリスでも本土の多くは上下水道が完備されており、都市は電気やガスの供給もされている。しかし地方ではまだ井戸水を使用している地域も多くあるとのことだった。1度はイギリス本土に行っている人の言葉で、日本文化に傾倒を始めた人間の言葉だから、ある程度は信用できるな。


「後は、やっぱり女性の権利がかなり認められているな。ロイズさんが女性なのに政治家になっている時点である程度は予測していたけど」

「ロシアやプロイセンでは男性が主軸の社会なので、女性の地位というものに大きな差があるように感じますね」

「日本も数年前までは男社会だったようにも思えるけどね。美雪さんが当主になってから、風向きが変わっただけでしょ?」

「女性でも能力に問題が無ければ領主となる。そういうのが増えたのは、確かに美雪様が当主になってからです」


手紙でやり取りをしているロイズさんが女性だから分かっていたことだけど、イギリスでは女性の政治家も存在するぐらいに女性の社会進出が進んでいる。それに伴って、家庭内でも女性の発言権は増しているようだ。一方で愛華さんが言ったように、プロイセンやロシアでは女性の地位が未だに低い。


流石に、イギリスでも軍に女性は居ないそうだけど。まず最初に女性でも撃てる小銃の開発や、女性の体力、筋力の向上が必要になってくるから当然と言えば当然だ。むしろ女性の軍人を採用している日本がおかしい。大元を辿れば、女鉄砲隊を編成した俺のせいだが。


美雪さんが豊森家の当主になったのは、美雪さんのお父さんが死んだ13年前のこと。たぶん美雪さんのお父さんは、50歳前後で亡くなっている。深く突っ込んで聞いたことは無いので確定情報では無いけど、美雪さんの異母姉妹に当たる3人は、美雪さんのことを認めて政治の舞台からフェードアウトしていた。


その内の1人とは去年の末に連絡をとって実際に会話をしたが、至って普通の専業主婦になっていた。いや、共働きが基本の日本で専業主婦は恵まれている方か。彼女自身にも子供が3人いて、その中の1人は男性だった。しかし、後継者に選ばれたのは娘が1人いるだけの美雪さんだ。美雪さんが当主として1番適任ではあったのだと思うけど、遺言1つで後継者問題が解決したのか。


「……これ、久仁彦が当主になる権利を持っているのは、美雪さんが認めているからになるの?」

「秀則さんの息子だからですよ。友花里が男の子なら、私も正妻決めで有利ではあったのですが」

「そこにこだわりがあるのは、男社会であると感じるよ。あと、仁美が男子を産んだ時点でどうしようもなかったと思うぞ」


地方の領主や企業のトップに女性が増えたのは、美雪さんのお陰でもあるのだろう。豊森家の領主の数が多いのも、豊森家の基盤ではあるし。領主と言えば、腐敗を招かないために領主を監視する豊森家の人間が1年単位でローテーションするのも凄い。


軍の方は、女性の最高記録が少将ということを考えればわりと出世が厳しいのかもしれない。まだ美雪さんの影響が出ていないとも言えそうだな。出産の都合上、一度は軍を抜けるから仕方のないことなのかもしれないけど。


……ああ、そう言えば第1騎兵師団の師団長は老婆だったな。長年軍に所属して、見た目が老け込むまで頑張って、師団長としての少将か。一方で参謀本部に勤務する参謀総長の将寛元帥は50代、参謀次長の常久中将は40歳手前だ。何と言うか、差は感じる。


能力での公平性を維持しているのなら、この結果は妥当と思えるか否かで考え方が変わって来るな。俺が妥当だと思っているのは男性だからだろうか?軍の男女の地位に関しては、もっと詳しく把握しておくべきだな。

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