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織田信長の天下統一を手助けして現代に帰った俺が何故か祭り上げられている件について  作者: 廃れた二千円札
第八章:外国との関係

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第196話 標準装備

メキシコ軍の規格化がまだだったというわりと衝撃的な報告を受けたので、ロシアについて詳しい美雪さんにロシアは装備は統一されているか聞いてみると、弾薬は統一されていたという返答を貰った。というか、このことはロシアの陸軍について留学生達に聞いた時、把握していたことのようで、俺が見落としていただけだな。


要するに、ロシア程の大国でも小銃自体は規格化はまだなのだ。当然、銃は生産する企業によって飛距離や装弾数、連射数が変わっており、軍全体の装備としてこれというのは決まってないらしい。連隊や師団単位での統一は進んでいるけど、軍全体の統一はまだということだ。


これは、自由経済の欠点でもあるだろう。軍の装備を民間企業に発注するのだから、民間企業は競い合って銃の新規開発を行うし、当たり前のように独自性、独自規格が発生する。競合他社に勝つために、製品の進化が必要になるからだ。だからといって軍全体の装備を生産する国有企業などを立ち上げてしまえば、それはもう共産主義的な考えでもある。


国家として市場を優先するか、軍の力を優先するかは判断が難しい。ロシアは市場を優先している、ということだろう。そっちの方が銃の進化は止まらないだろうし、改良は進みやすい。逆に国が統一をして生産していく体制だと、改良がどうしても遅れるし、研究開発の人のモチベーションも違うはずだ。


だからメキシコは弾薬すら統一されていないということを聞いて、意外に思う必要は無かったな。そもそもの話が、ネジの規格が国際的に決まったのは第二次大戦後だ。国単位でのネジの規格化は、早い国でも19世紀のこと。規格化を行う際にも色々と考えないといけないことは多いし、火砲の規格化についてはもう少し自分でも考えておこう。


「……自動車と飛行機に使う部品については、早期から規格化を推し進めているよね?」

「その点は大丈夫です。既に田中さんが規格化を見据えて開発をしていたので、自動車の部品については規格化が完了している状態です。今現在、全体での規格化は強制こそしていませんが、新規性の高い開発の波が終われば、規格化を強制することになります」

「そう言えば、田中さんはそういったことに理解があって、やたらと持ち上げていたな。あれだけ頭が良いのなら、規格化のメリットとデメリットをしっかりと把握して指示を出していると思うし、その辺は任せた方が良いか」


自動車や自転車に関して、早期から規格化を意識して生産体制を確立しようとしている日本は、やっぱり世界的に見て異常なのだろう。標準品や標準装備、なんて言い方をすればどうしても共産主義的に聞こえる。メキシコに、規格化の概念を伝えるかどうかは悩む。伝えて足蹴にしてくれれば問題は無いけど、一時的な同盟のようなものだし、一方的に相手国が有利になることを教える必要性は薄い。


メキシコとフラコミュの戦争について、塹壕戦でお互いに撃ち合って時間を消耗することが長くなると個人的には考えたから、当分はこの戦争の経過を眺めるだけにもなりそうだ。メキシコから無線技術を獲得する交渉は、一区切りついたと思ったらまた難航中。


話し合いは出来るようになったし、お互いに支援することは決めたけど、まだ腹の内を探り合っている感じだ。こればかりは、日本の今までがアレだったからしょうがないし、内心を探り合うのは当然のことだと思う。


フラコミュ軍は46個師団、メキシコ軍は31個師団だから、集中砲火と突破だけを考えて攻撃すればフラコミュ軍は勝てるはず。しかしこのフラコミュ軍の内、多くが新兵であれば戦力的には互角だろう。精鋭と徴兵したばかりの兵は、本当に大きな差がある。一度戦場の空気を味わっているか否かでも、差は歴然だ。


「練兵は、違う気もするけど。銃の引き金を引けば新兵でも精鋭でも平等に死ぬことを考えれば、近代的な軍は中身に新兵が多くても精鋭達には勝てるよ。当然、数が多くないと厳しいけどね」

「戦国時代の歩兵に関しては、古参兵と新参兵で5倍ぐらいの力の差があるとおっしゃっていた記録がありますね。最近の研究では、精鋭と新兵の力の差は2倍程度だと言われています」

「そういったことも、ちゃんと把握してるのか。2倍、2倍……意外と差はある感じだな。精鋭5個師団と新兵10個師団だと、新兵10個師団の方が優位に思えるけど」

「もちろん、数の優位は何よりも大きいものです。しかし指揮官の力量が同等であれば、新米一等兵だけの軍と上等兵の軍の差は2倍前後ですね。これが二等兵と上等兵の差になると、もっと開くと思われます」


戦国時代では、戦い続けていた精鋭1000人が雑兵だらけの5000人を押し返すような戦争が多々あった。実際に精鋭と雑兵で5倍程度の戦力差か改めて考えると、微妙なラインだ。現代でも精鋭と新兵の概念は残っていて、およそ2倍程度だと愛華さんに言われた。これもまた納得できるかは微妙なラインだけど、日本軍のエリート達が「大体2倍程度」だと言っているからそれは信じよう。


改めてフラコミュとメキシコの戦闘記録を見ると、両軍ともに推定される戦死者数が少ない気がする。おそらく、銃撃戦がメインなのだろう。砲撃戦が行われていないということは無いだろうけど、回数は少ないように感じる。あと、フラコミュは平押しが多いのかな?戦術は、基本的なことしか実行していないと思った。


……いや、日本もつい最近まで海軍は数による物量作戦しか考えて無かったし、平押ししか考えられないのかと馬鹿にする資格は無いな。軍の規模が大きくなるほど細かい戦術を上が考えるのは難しくなるし、仕方のない面もあるけど、せめて陸では戦術的な工夫が出来るようにしていきたい。

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