表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
織田信長の天下統一を手助けして現代に帰った俺が何故か祭り上げられている件について  作者: 廃れた二千円札
第八章:外国との関係

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

214/425

第194話 帰省

日中は暑い季節となった8月1日。今年も夏は北海道で過ごすことにした。最初は北海道へ行くつもりなんて無かったけど、今年は7月の中旬から京都では蒸し暑い日が続いた。避暑地としても人気な北海道は、単に旅行のために赴くのも良い。公募で名前が決まったチワワの一太郎と千代子も引き連れて、今回も船で揺られながら北海道まで移動だ。


新婚旅行とか、まだだったしな。新婚旅行という概念が今の日本にはまだ無かったけど。そう言えば、戦国時代で新婚旅行に行ったことは無かったかもしれない。仁美さんが今回は居ないから、新婚旅行と言うのも違う気がするが。ちなみに今回は怜可さんが8月の上旬に休みを取ったので、愛華さんの負担が激増している。


何だかんだ言って怜可さんは裏方の雑用係として有能だったから、作業量は多かったと思う。流石にそろそろ愛華さんの秘書的なポジションで政務能力の高い人を雇おう。愛華さんが俺の秘書みたいな感じだから、秘書の秘書ということになるけど。


前回の帰省では競馬関連のことしかして無かった気がするので、今回は別のことにも関わりたい。しかし既に滞在期間中には俺の馬が出走予定なので、1日は競馬で潰れるという。6月に京都でデビューしたロードカナリアは、そのまま京都で2連勝をして北海道に里帰りをしている。北海道で8月中に行われる2歳馬限定の大きなレースに2回出して、本物かどうかを見極めるらしい。


8月中のレースでも連勝を重ねれば、11月に行われる2歳馬の頂点を決めるレースにも出してから、3歳馬の三冠を狙ってレース数を絞るとか言われた。既に元は取れそうなので、そこら辺は全て調教師さん任せだ。とりあえず最初から2連勝しているので、馬肉コースだけは無い。


というか新馬戦に勝つだけで賞金が300万円も貰えるとか金銭感覚が狂いそう。馬主に入るのはその半分だから150万円前後だけど、調教師さんも15万円ほどのお金が入ってホクホク顔だった。ボーナス感覚で15万円を勝つ度に貰えるなら、そりゃ嬉しいわな。北海道で出走予定になっている2歳馬のレースの賞金は両方とも2500万円だから、これも勝てば調教師には250万円ほどが入るだろう。……調教師さんが常にハイテンションなのも、納得は出来る。


結婚式の時からまた少し大きくなった友花里を彩花さんの祖父である賢士さんに見せると、彩花さんの赤ちゃんの頃に似ていると言われた。彩花さんも赤ちゃんの頃は普通の赤ちゃんだったらしい。よく泣いていたし、よく食べていたとのこと。どこの赤ちゃんでもそれは同じような気がしたが、突っ込まないことにした。


今年も彩花さんの父である文人さんはビルマから帰れないそうなので、彩由里さんは若干寂しそうだ。まあ、結婚式で本土へ帰って来た時に休暇は使い切ってそうだから仕方ない。来年からは彩由里さんもビルマの方へ移住するとのことだから、夫婦間の仲に問題は無いのだろう。


今まで別居していた理由は、彩由里さんの父親である賢士さんの仕事の手伝いをしていたということもあるだろうけど、彩花さんとその妹を育てている途中に環境を変えたく無かったようだ。文人さんのもう1人の奥さんに気遣っているとか、そういう理由もあるらしい。


……彩花さんにも妹がいることは聞いていたが、俺は見たことが無い。どうやら一昨年の夏に家を出て以来、家族も何処にいるのか把握はしていないみたいだ。今の日本で把握出来ないのなら、本土外のどこかで身分を隠して働いてそうだな。母親としては人様に迷惑をかけて無ければそれで良いらしいけど、よく身分を隠したままで働けるなとは思う。珍しく、告発制度が機能していない。


「彩花は妹のことが心配じゃないのか?というか、どんな人なの?」

「私が変わってるな、と思えるぐらいには変人ですよ。考え方自体は分かるのですがね。心配かと問われれば、心配です」

「変人?」

「幼い頃から教育を一律で行うことは非効率的だと言っていました。もっと適正試験で能力別に振り分けて、幼い頃から専門性を高める教育の方が遥かに良い、という考え方ですね」

「……11歳から専門性を高める教育をしているのは、早い方だという認識が出来なかったのか?それでも違和感はあるけど、彩花の妹かぁ」


地方の領主によっては、日雇い労働者を毎日雇うという地域も存在する。よく仕事を放り出すような人間が、最後に行き着く先の1つに歩合制の日雇い労働がある。意外と稼げるようだし、健康な一般人なら普通に食べて生きていけるだけの給与は発生する。ただし彩花さんの妹は身体が弱いそうなので、肉体労働が多い日雇い労働は無理そうな気もする。何処にいるのかは、見当も付かない。


「それに、異母兄弟の方々に私はまだ会ったことが無いですよ」

「異母兄弟か。ビルマの方に住んでいるのか?」

「はい。お父さんが話してくれたことですが、私に弟は3人いるそうです」

「……うん、遅まきながらも、彩花の家庭の事情は把握したよ」


彩由里さんは、豊森家の嫁として2人の女の子を産んだ。一方で文人さんのもう1人の嫁の方は、3人の男の子を産んだ。あまり言いたくないことだけど、彩由里さんは女腹だと思われているのか。実際に彩花さんも第一子が女の子だったし、そういう家系なのかもしれない。


そこで評価が変わるのは今の日本らしいけど、嫌悪感はある。特に男腹や女腹は夫の方での決まることが……夫はこの場合、関係無いか。それでも産まれる子供の性別で女の方を悪いように扱うのは気に食わない。そういう風潮は無くしたはずなのに、再発するものなのか。


家の問題だから、必死になる部分でもあることは理解している。それでも娘が旅立って寂しそうな彩由里さんを見て、この問題に対する認識は変わった。文人さんは真面目で厳格な人という雰囲気だったから、問題があるとすれば豊森家本体の方か。来年からこの夫婦の問題は解決するとしても、これからのために何かしておきたい。


家の存続が問題の焦点なら、女系も認める節の発言をすれば良いのだろうか。それで友花里と久仁彦の立場がひっくり返っても面倒なことになりそうだけど。…………俺が今、久仁彦が当主の後継者から外れたら面倒だと思ったことが、この問題に対する俺の意識だな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ