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織田信長の天下統一を手助けして現代に帰った俺が何故か祭り上げられている件について  作者: 廃れた二千円札
第八章:外国との関係

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第187話 海底ケーブル

5月29日の夜、海底ケーブルを九州から朝鮮半島へ向けての敷設が完了したという報告が届く。既に何個か海峡で海底ケーブルを試しているので、これで都合6度目の敷設だ。最初の海底ケーブルは短い距離なのに僅か21回の使用で駄目になったけど、今回は改良に改良を重ねた自信作らしい。


早速大陸への海底ケーブルを駆使してマレーシアにいるという織田信弘隆信さんに向けて「テスト」と送れば、向こうから「OK」とだけ返って来た。中継所が何箇所あるかは把握してないが、これは情報のやり取りが格段に楽になるな。電話もラボスケールでは成功したようなので、声でのやり取りもその内出来るようになるだろう。


「ハワイへは直接敷設するのが難しいから、南の島々を辿って海底ケーブルを繋げていくのか。やっぱり距離が問題なの?」

「距離も問題ですが、敷設する際の技術もまだ未熟です。何ヵ月もかかりそうな敷設は、まだ断行するべきでは無いと判断しました」

「りょーかい。まあ、結局はハワイからメキシコの間でタイムラグが発生するから急いでも仕方ないしね」

「その話についてですが、日本が資金を提供すればメキシコ側がメキシコからハワイまでの海底ケーブルを設置してくれるそうです。金額は今の日本がハワイからメキシコまで敷設を行う場合の、およそ1.5倍程度ですが」


愛華さんによるとメキシコから海底ケーブルを敷設するという話が持ち上がっていることを伝えられるが、フラコミュが確実に断線しに来るし、そうなれば日本海軍が出動しないといけなくなるので却下だ。日本側からもメキシコまでは海底ケーブルを敷設出来ないだろうし。


メキシコは海軍がそれなりに強いから、ある程度は海の方で戦えている。フラコミュは本土と新大陸を結ぶ海路の維持が主戦場でもあるから、余計な船を回せないという理由もあるだろうけど、ちょっと意外だ。これに日本海軍が数の暴力でメキシコとの連絡船を護衛しているから、今の所は大規模な海戦が起きていない。


……魚雷は推進力の研究がある程度終わったけど、姿勢維持の段階でまた躓いているから来年までに魚雷の開発が終わるかは怪しい。初風型駆逐艦にも魚雷の搭載は無い方向で進んでいるし、海戦はまだしたくないのが本音。


「秀則さん、留学報告書が届きましたよ」

「お、今日届いたってことは、モスクワから京都まで届けるのに18日かかるということか?」

「そのようですね。これが5月1日から、5月10日までの報告書です」


メキシコ側が出した見積書を見ながら考えていると、彩花さんが留学報告書を持って来た。先月に京都を旅立った、留学生達の日報のような物だ。10人が1日ずつ順番に書いているので、読み物として面白い。前回はシベリア鉄道に乗る所で終わったので、今日はそこからモスクワまでの旅路が読める。


……今日はどんなことがあったのか、どんなことをしていたのか。これからの予定やミーティングの様子が各個人の視点で鮮明に書かれているので、豊森家内でも人気である。下手したら出版しそうだな。本人達が可愛そうだから本にはしないと思うけど。


『2021年5月2日 執筆者 香川幸一

本日の主目的 イルクーツクへの移動


・今日はシベリア鉄道を利用してイルクーツクという街まで移動した。街並みは美しく、当然だがロシア人が多い。ここで1度下車して、休養を取る事になっているが売り子が押しかけて来て大変だった。特にロシア人の女性が媚びるような目つきで見つめて来るので、断るのは一苦労だ。

・シャワーを数日間浴びていなかったので、女性陣はイルクーツクの宿舎で水浴びが出来ることに喜んでいた。私自身も湿らせたタオルで身体を洗うのは限界を感じていたので素直に嬉しい。そして明日から、また丸2日間もあの電車で揺られることを考えると少し憂鬱な気持ちになる。

・昨日からお腹の調子の悪い人が増えて来た。ロシアの肉料理は、日本人にとって危険な食べ物なのかもしれない。特に品川大尉は何度も便所に入っては長時間出て来ないので、かなり不味い状態のようだ。これからはよく煮込んである料理を…………』


報告書によると、シベリア鉄道のトイレ事情は最悪だったらしい。シャワーなんて付いていないので女性陣は辛かったとか、食事は美味しいけど腹を壊したとか、中々に凄惨な旅の様だ。よく考えてみれば、技術力は低くても日本の衛生環境は世界一なのかもしれない。俺が戦国時代の時に頑張った結果である。


今の日本の汽車などにあるトイレは、基本的に土だ。土やおがくずを混ぜた場所に糞尿を出して、拭いた紙はゴミ箱に捨てる方式だから水が必要ない。出したものを肥料としても使えるから、わりと合理的な気はする。使った後は横にあるレバーで中の土を混ぜる必要があるから、その点は不便か。分解能力が足りてないのか、トイレの中はわりと臭いし。


……それでもバイオトイレが汽車で活躍してるのは凄い気がする。これが船の場合は、海へ捨てるだけだから差があるな。海へ糞尿が垂れ流しなのは、問題無かったっけ?回収して肥料にするのはやり過ぎな気もするから、浄化槽を設置しようか?


まあ、シベリア鉄道が凄いとは言っても、糞尿が垂れ流しな時点でロシアの技術力の限界が見えた気がする。市内に近づいたらトイレの使用が禁止とか、食事がアレだったせいもあって日本人留学生達はかなり苦しんだらしい。


逆にロシア人留学生達は汽車のトイレが土で驚いたりしなかったのか、今度聞いてみようか。こういうのを読んでいると、異文化交流は大事ということがよく分かる。

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