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織田信長の天下統一を手助けして現代に帰った俺が何故か祭り上げられている件について  作者: 廃れた二千円札
第八章:外国との関係

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第184話 金貨

美雪さんの側近の家に置いてあった金貨は合計で10万ルーブルだったという報告が入って来た。1ルーブルが1000円ほどだと美雪さんが教えてくれたので、ロシアはポンと1億円ほどを賄賂として渡したのか。そしてそれを自宅に隠していたようで、これが本当なら当然犯罪になる。やましい事が無ければ隠さなくても良いわけだしな。しかし事件を詳しく調べていく内に、色々と勘違いもあったことが分かった。


まず、賄賂を受け取った人物がロシアの外交官から親善費として受け取ったお金の金額は160万ルーブルだった。このお金を日本へ行くロシア人留学生達に使ってくれとも言っていたそうで、このお金にロシア側の意図がどれほど含まれているのかは分からない。160万ルーブルは、日本円にすると16億円か。個人が持ち運ぶことを考えれば、かなりの大金になるな。


留学費用としては明らかに過剰だから、ロシア側も日本の外交官を取り込む意図みたいなものはあったのかもしれない。会話が記録されて無いのは悔やまれる。俺のどうでも良い言葉よりも、ロシアと日本の外交官同士の会話の方が数百倍記録する価値があるだろうに。今回は会談後の本当に僅かな時間の出来事だったらしいけど、外交官が完全にフリーになっていた時間があるということか。


その160万ルーブルの内、150万ルーブルを豊森家に入れて10万ルーブルをポケットに入れたから逮捕ということだ。賄賂を受け取ったというよりも、横領というべき罪になる。というか豊森家はロシアがお金を払ってまで成立させたいことを知って、3ヵ国での交換留学に賛成したのか?基本的に日本人は外国人を毛嫌いしているから、若干の違和感が残る結果となったな。美雪さんがどう考えていたのか、後で聞いておくか。


受け取ったロシアのお金は、巡り巡ってロシアのお酒になっているとのこと。ロシア側の意図は空振りしてそうだけど、後で詳しく調べたい。ロシア人の留学生達もお酒は飲んでいたから、還元していることにはなるだろう。


日本円にして16億円分のロシアの金貨が、日本でどれぐらいの価値になるのか俺には分からない。まだ日本円をロシアのお金に変換するのは面倒だから、ロシアでお金を使いたいなら欲しくなるものなのかな?


不正した人物は豊森家の人間だけど、内々で処理が為されて豊森姓の剥奪と莫大な罰金だけで済むようだ。余罪が無かったことと、必死の弁解で事なきを得た感じ。苗字は嫁さんの姓に変わるらしい。豊森家の人間で今までの勤務態度が真面目だった上に美雪さんの温情もあったから、減刑が為されたと思っても良いのかな?


「……豊森姓の剥奪って、どういう罰なの?」

「無期限の執行猶予が付いたという認識で良いかと思います。また、当人は今後豊森家の人間として扱われません」


愛華さんから豊森姓の剥奪について聞くと、簡単に答えてくれた。執行猶予の期間が、一生なことには突っ込まない。再発防止のための会議も行われ、異国の地では常に互いの位置を把握しておくことや、2人一組での行動を徹底、出入国の際には手荷物検査を行うことが決まった。むしろ今まで検査をしていなかったのが意外だ。手荷物検査ぐらいは行なっていると思っていたが、外国人の検査しかしてなかったらしい。


今回告発を行った外交官の部下は、そのまま繰り上がりで新しい外交官に就任した。これが目当てで告発した可能性もあるから慎重に調査をするとは思うけど、犯人が自供しているから調査は無駄になりそうだ。告発者が褒められる社会体制や雰囲気、環境や制度は今の日本の貴重な財産でもある。腐敗のきっかけを許さない風潮は、純粋に凄い。


あとは今回の事件で分かったことだけど、横領の手際が良い人、なんて人が今の日本だと存在しない。横領の技術が失伝していると言えば良いのか、不正する必要が無かったというか、とにかく過去の事件を見ても横領は一瞬で暴かれている。例えその時は見逃されても、数日後に補足されることが多い。犯罪を犯した経験の無い人が悪い事をすると、分かってしまうものなのだろう。


「……この横領の仕方だと、今の日本のシステム上いずれ発覚するよね。犯罪者を徹底的に叩いた結果、犯罪のレベルが低下したのか」

「それは良い事でしょう。横領をしようにも横領の方法が分からないという人が多いのは、犯罪の抑制に繋がっていると思います」

「愛華さんも、やろうと思えば中抜きを出来るよね?」

「私の立ち位置で中抜きをすれば親衛隊全員を敵に回しますよ。ただでさえ秀則様関連のお金は過剰な査察が入るので、疑われるのは心外です」

「ごめん、疑って言ったわけじゃないからそこは謝るよ。しかしまあ、相互監視社会が上手く機能するのはなぁ……」


部下が、身内が、家族でさえ告発をして悪い人間を許さないという風潮は、ある種の同調圧力なのだろう。堅苦しいと言えば堅苦しいが、別にお金が貯まればドロップアウトして放浪の旅に出ても咎められないこの雰囲気は一朝一夕では生み出せない雰囲気だ。


少なくとも数十年以上、悪を許さないという風潮を生み出し続けている豊森家を、褒めるべきなのだろう。今回はその豊森家がやらかしているけど、豊森家の人間は数が多いから仕方のない面もある。新聞では、大体的には報道されないだろうな。そこら辺の情報操作を行なっていることは悪じゃないのかと、少し考え込んでしまった。

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