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第15話 エンジン開発

「秀則さん、朝鮮から北西に200キロほどの地点で石油の存在が確認出来たそうです」

「よし、精製のための蒸留装置はもう完成しているから、採掘出来たら精製しよう」


3人娘がハンググライダーでの初飛行を果たした頃、石油の存在を満州付近で確認出来たので採掘場の建設を急がせた。仁美さんの言葉から場所を推測すると、かなり中国との国境に近くなったので、揉め事が起きないか不安だ。


「石油を熱して気体となった後に液体になる温度によって、分離させるのですよね?何か意味はあるのでしょうか?」

「性質によって分けられるから無駄が無くなる……とかじゃない?」


石油の精製フローチャート図をなんとなく覚えていたため、石油は軽油と中油と重油に分けることにした。どこからどこまでが軽油、とかは覚えてないため、とりあえず3段階に分けるだけだ。底に溜まるのがアスファルト、だっけ?アスファルトが石油から出来ているのは知っているけど、一番下だったという自信が無い。


ガソリンエンジンの開発は軽油を使うことにした。たしか、ガソリンは一番上だったはずだ。あれ、でも軽自動車に軽油は駄目だった気が……。


……何もわからないので、液体になるガス、ガソリンとして使う軽油、灯油とかに使う中油、船の燃料として使う重油、底に溜まるアスファルト、で分ければ良いか。たぶんそんな感じだった気がする。中油とか聞いたこと無いけど、流石に軽油と重油で2段階だと不安だから、真ん中に1つ作っただけだ。


見つかった油田には大掛かりな採掘基地を建設することにしたので、仁美さんにずっと気になっていたことを聞いてみる。


「中国は、基本的に言いなりだと考えて良いの?」

「中華に関しては秀則さんの中華対策を引き継ぎ、内部分裂を起こして、弱い方に支援を送る、という対応を続けました。その結果、ほぼ言いなりになっていた中国国民党が中華をまとめ上げました。

しかし近年では反抗の兆しが見れるので、主に中国の奥地で活動を続けている中国共産党に武器の支援をするか検討している段階です」

「……延々と内部分裂してたのか。それにしても中国共産党、ね。赤い国は増やしたくないんだけど」


石油が出た地域は、中国との国境から僅か数十キロ。流石に中国がどう動くかわからないので中国に関して聞いてみると、1950年頃までずっと酷い戦乱状態だったらしい。もしかして、明の時代に俺が起こさせた内乱がずっと続いているのか?いや、流石にそれはあり得ない……と思いたい。


しかしかなりの期間、戦乱状態だったことは確かなようなので、中国の国力は豊森式国力計算方法でも著しく低かった。一応国民党がまとめ上げた後、50年以上の平和な期間があったのに何をやっていたのだろうか?いや、それは今の日本が言えることじゃないか。




こうして得た石油は蒸留して精製し、ガソリンとして使う軽油を分離する。分離中にガスやアスファルトも結構な量を確保出来たので、色々と使えそうだ。道路に使うのは……まだ早いか?


ガソリンの精製を成功させるのに時間はかからなかったが、問題はその先だった。


「エンジンの作り方がわからない、ですか」

「タービンを回す方法じゃないことは知ってるんだけど……。何とかしてガソリンを燃やす時に出るエネルギーで歯車を回したいんだ」

「歯車を回す……。幸い人は余っていますし、ガソリンの精製は順調ですので備蓄も始めています。これから新設する研究機関ではガソリンエンジンの開発に中心に取り組みましょう」


ガソリンエンジンの具体的な仕組みを、俺は知らない。ただ、自動車の仕組みで歯車が多かったことは覚えている。たぶん、ガソリンエンジンはガソリンを燃やして歯車を回すような仕組みになるのだろう。そのこと仁美さんに伝えて、開発を推し進める。



しかし3ヵ月以上の時間をかけても、ガソリンエンジンの模型すら完成しなかった。いや、模型自体は幾つか完成したけど、納得できる形と出力を持つガソリンエンジンが完成しなかった。ハンググライダーに積んでも、飛べないどころか動くことも出来ないレベルの代物ばかりだ。



そしてその代わりに、ジェットエンジンらしきものが出来た。



「蒸気のジェットエンジン自体は構想があったのか。それを、中油で動かすと」

「昔の蒸気のエンジンは秀則様の予言書にあった自動車の開発途中で作られたものですが、問題点は速度が出ないことでした。対して、今のジェットエンジンの一番の問題点は熱です」

「ああ……温度が高くなり過ぎて耐えられないのか」


どうやら100年以上前に蒸気機関で車を作ろうとした時、ジェットエンジンの原型が完成していたようだ。ただ、当時は馬力が低すぎて使い物にならなかったとのこと。これを軽油や中油を使えるような構造にして実験したところ、十分過ぎる出力を得られた。だけど温度が高くなりすぎて危険だし最悪溶ける、というか溶けたようだ。


そこからジェットエンジンの開発を中心に切り替えるが、ジェットエンジンもジェットエンジンで開発には長い年月がかかり、結局その間にガソリンエンジンが開発されることとなった。


……日本語を喋るフランス人と、田中という今の日本では逆に珍しい姓を持つ若き天才工学者の手によって。

※ガソリンと軽油は別物です。現実では石油を液化石油ガス、ガソリン、灯油・ジェット機燃料、軽油、重油、アスファルトという順番で分留しています。


残念ながらこの主人公はウィキペディア並みの知識を持つ頭脳をお持ちでないため、知識が足りていない分野では造語が増えます。飛行機開発はあと2話で終わる予定です。

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― 新着の感想 ―
日本外発明家を探すのめっちゃ高難易度になってらw
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