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第179話 アフガニスタン内戦

4月16日の昼頃にアフガニスタンで内戦が勃発したという報告が届いた。独立から、ちょうど1ヵ月か。思っていたよりも遅かったけど、これまでにも数千人規模の暴動は起きていたから、ようやく本格的な軍同士の衝突が始まったと言うべきか。アフガニスタンには内偵を結構な規模で送っているので、内情は丸裸に出来ている。


「アフガニスタンは国王派にイギリスが、共産主義に反ロシアと日本が、イスラム教のシーア派にペルシアが支援を送っているのか。最大派閥は、イスラム主義者と。……地獄絵図だな」

「当初はイスラム教のスンニ派保守派勢力に支援を送ろうとしましたが、イスラム教徒の態度があまりにもアレなようでして……」

「報告書で見ているから大丈夫だよ。結局、共産主義者が1番まともに会話できたから共産主義勢力を支援しているってことでしょ?」


愛華さんはイスラム教徒の態度がアレだったと言っているが、報告書に書かれていることを最初、俺は理解することが出来なかった。どうやらイスラム教徒にとって、日本が支援するのは当たり前らしい。イスラム教の教えに日本が気を遣うのは当然であり、日本が物資を提供するのはイスラム教徒にとって当然のことのようだ。そんなことを言っている奴らとは仲良くしたくも無いと決まったので、消去法で共産主義者を支援することにした。


……共産主義者が1番話は通じる状態って凄い状況だな。ちなみに内戦勃発の理由はアフガニスタンの王様が選挙をすると言ってしまったから。対立候補を殺せば政権を奪取出来るという、実に分かりやすい内戦理由だ。平等主義者の考えていることはよく分からないな。選挙をする下地も無いのに、無理に選挙を実行するのは流石に思慮が足りない。


イギリスが国王や現行政府を支持している理由は分かりやすい。比較的、民主主義的な思考を持ち合わせているからだ。ペルシアはイスラム教シーア派の国だから、シーア派勢力に援助をするのも自然な流れ。反ロシア政府組織は……共産主義者が共産主義者に支援を送るのに、理由は必要ないな。


イスラム教徒の中でも、いわゆる過激派集団が暴れているようだし、各国の思想が入り交じった内戦に発展している。投票は今年の9月に行われるらしいが、それまでにどれほどの国民が血を流すのか予想をすることも難しい。早くも難民が出ているそうだけど、日本はまだ受け入れていない。各地で大規模な銃撃戦が始まれば、日本にも難民が流れ着くと思っているけど。


「……万が一、アフガニスタンから難民が流れ込んで来たら、イスラム教徒でも裸土下座させるの?」

「当然です。女性の肌を見せない云々は危険物を所持している可能性を看過する材料に成り得ません」

「まあ、そうだな。女性がチェックすれば良い話になるからこの話は置いておくとして、あと、難民がどういう思想になっているのかも問題か」


イスラム教徒の思想についてもアンケート調査や聞き込みをしてみたいが、日本を選んで来たのなら日本の文化を受け入れて貰おうか。どのぐらいの割合で日本文化を受け入れられなさそうな人がいるのかの、確認もしておきたい。愛華さんが全裸土下座は強要すると言っているけど、今の日本では服従する者が全裸土下座するのは当然という価値観なので、話の聞かなさではどっちもどっちだ。


権利については、日本の法律や決まりの中に納まるよう与えるつもりではある。特権は一度認めると、際限なく要求して来そうなので特権は作らない。外国人に対しての規制の緩和は必要だとも思うけど、特権になると話は別だ。


豚肉を食べられないというなら豚肉を抜いた料理を作ることは出来るが、豚肉の代替品を用意することは無い。イスラム法があることは認知するが、それを適用することも無い。どのような身分であろうが、男でも女でも同じ外国人として扱われる。教養の無いイスラム教徒とか、女性が肌を隠していないなら襲っても良いと思ってそうだし、日本の法を受け入れるかは見物だな。


衝突があれば、容赦のない日本は引き金を引くだろうと考えつつ、アフガニスタンにいる共産主義者達への支援案を纏める。……平等主義者の王様を支援するのも考えたけど、既に腐敗が始まってそうだから止めておいた。どこの国でも汚職というのは存在するので突っ込まないし、これが普通だろう。告発制度という法が自浄作用として働いている国の方が異常だ。


「それにしても、選挙を予告したら殺し合いを始めたってのは面白いな。完全に政府という利権が、内戦の戦果になっている」

「戦果、ですか。将来的な約束だけで戦力を調達出来るのも凄いですね」

「案外、民主主義だとよくあることだけどね。将来的な利権を約束をして金や物を引き出すのは常套手段だよ」


民主制に移行すれば必ず平和になるわけでは無い。民主制に移行したばかりに内戦が活発になる国も多いからだ。所詮、民主制は大多数が勝つ決まりなので対立候補との殺し合いに発展することは珍しくない。というか、内戦や内紛に発展する方が自然だ。


先進国であっても、殺し合いをするのが当たり前だ。先進国の場合は、肉体的な死ではなくて社会的な死を相手に与える戦争だけど。改変前の日本でも、良く行われていたことだ。……相手の足を引っ張ることに注力する人達もいたからな。何も進展しないのに、相手の死を望むような連中ばかりだった。

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