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第137話 外交官

国同士の外交で、友愛外交というものがある。共存共栄を目指す外交方針だが、この世界で友愛外交が成立しているのは今現在確認が取れる所で、プロイセン王国とロシア帝国だけである。この2国が仲良しなことには未だに違和感があるが、単なる婚姻同盟では無く、将来を見据えての同盟であることは確認することが出来た。


まずプロイセン側にとっての最大の脅威はフラコミュだ。共産主義国であり、陸軍力は欧州一の強国である。それと敵対しているのに、反対側に位置するロシアと敵対するのは自殺行為だと判断したのだろう。


一方でロシア側も、戦争経験のあるオーストリア=ハンガリー帝国やオスマン帝国、戦争こそしたことが無いものの、超不気味な大日本帝国に囲まれているという状態だった。お互いに、背中を預けられる状態じゃないと国が潰れていたのだ。


今ではロシア帝国とオーストリア=ハンガリー帝国の仲も改善されてきているので、ロシアの最大の脅威はオスマン帝国と日本だけになっていたわけだ。そして日本とも関係構築が為されて来たということは、残りのオスマン帝国との戦争に全力を注ぎ込めるようになったのか。


そこまで考えた時点で、彩花さんから突っ込みが入る。


「秀則さん、スカンディナヴィア連邦が抜けてます」

「ああそうか、北欧諸国が手を組んで強国になっていたな。どれぐらいの国力があるのかまだ謎なままだけど、陸軍力は高そうだしロシアにとっては仮想敵国に入るか」

「スカンディナヴィア連邦の視点だとプロイセンとロシアに挟まれているので、専守防衛が第一になるはずですが、ロシアが領有するカレリア地方を巡って軍事衝突を繰り返しているようです」


欧州の地図を思い浮かべる時にドイツやロシアを中心に考えるとどうしても北欧地域が抜けてしまうのだが、そもそも北欧が強国というイメージは無いので想像が難しい。彩花さんの話を聞く限り、ロシアの最大の脅威はスカンディナヴィア連邦かもしれない。カレリアは、確かフィンランドが冬戦争でソ連に割譲した土地だな。そこを取り合っているというのは初耳だが、事実なら両国が手を組むことは100%無いだろう。


今のところ、情報が足りていないのはフラコミュとイギリスだ。イギリスは難民からある程度の情報は入るだろうけど、本国とそれ以外では随分と差がある国のようだから本国の詳しい状況は分からないかもしれない。この2国に加えて、オスマンとスカンディナヴィアは情報がほとんど入って無い。7月に起こったイタリアでの動乱のお陰で、イタリアからの情報はそれなりに集まっているのが救いだな。


……イタリアは、最終的に最高革命評議会がイタリア全土を掌握して完全な共産主義社会となった。最初に行ったことが粛清だからか、それ以降の情報は入って無いが、軍規模や火砲のレベルを知る事は出来ている。大砲の大きさや威力は、向こうの方が上とのこと。銃は信頼性を考慮に入れて日本と互角になるぐらいだから、性能はイタリアの方が上だな。


あとプロイセンはかなり情報が入ってきている感じだけど、俺がまだ駐在員と直接会話してないので具体的な生活レベルは謎。少なくとも、タクシーみたいな乗り物があることは確定しているが。10キロで12マルクだったと報告書には書いていたけど、1マルク何円か未だに推計すら出ないからどのぐらいか分からない。


……フラコミュではパリを中心に放射状に高速道路の建設をしており、プロイセンやロシアではバスやタクシーが存在しているとなると、自動車は一般化されている国の方が多いと思って良いかな。日本のガソリンエンジンは回るだけで、エンジンを乗せた台車が一歩も進まないレベルで低出力なことを考えると、絶望的な差があるようにも感じる。


「とりあえず日本本土も大きな街道はアスファルトで舗装したいけど……タンクローリーやロードローラーが空から降って来てくれないかな?」

「ロードローラは前に絵を見せて貰いましたが、人力でも可能ではありませんか?」

「あー、小型なら何かを押し固めるのには使えそうだな。というか前にアスファルトで舗装していた所を走った時に感じた違和感は、道路をロードローラとかで押し固めて無かったからか」


アスファルトでの舗装だけでも決行してしまおうと思ったけど、重機械がまだ無い状態でアスファルトの舗装を始めるのは二度手間になりそうだから諦める。小型のロードローラは、とりあえず作ってみるか。意外と使い道は多いかもしれないし。


ロシアとの外交は本格化して来たので、そろそろ外交官や外交官を管理する機関の設立も必要だ。まず突っ込むべきなのは今まで外務大臣みたいな役職そのものが無かったことだけど、それは今までの日本が色々とアレだったから仕方ない。今までは当主なのに何故か暇な美雪さんを中心に外交を行ってきたけど、改めて外交官の任命や長の決定は行おう。


……外交職員を集めるのは、仁美さん任せになりそうかな。外交官とか老齢の方が良さそうなんだけど、外国人嫌いだとどうしようもないから、若くて柔軟な思考が出来る人を大量に用意したい。後は通訳や書記も含めると、結構な人数が必要になるか。本当は語学堪能な人を外交官に据えられれば良いけど、外交能力と語学能力に関しては両方とも高い人材が大量にいるとも思えない。


愛華さんとか英語は結構喋れるのに根っこからの外国人嫌いだし、逆に美雪さんはロシア語が一切喋れないのにロシアのことが好きになったようで精力的に外交関係の構築をしてくれている。まあ、極力語学能力が高い人材を外交官に任命する予定だけど。


少なくとも、俺より英語の出来る人を……英語が世界の公用語でも無いから、英語に拘らなくても良いか。将来的に、日本語が世界の公用語になる可能性もあるのかな?

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