二章
書いてて恥ずかしくなりました。あと吹奏楽やってる人は絶対に読まないでください。
「行ってきます。今日夜ご飯いらないから。」
ついに大会まで1週間前になった。
「そうなの?練習頑張ってね。」
母は少し悲しそうに言った。
「広くんね!お兄ちゃんが帰ってくるまで起きてるからね!深夜2時になっても待ってるから!」
広武は悲しげな目をすると同時に、それと別に憧憬の意を含めた眼差しで兄を見ていた。
「そうか。頑張れよ。」
僕は朝練に遅れそうなので少し焦っていた。
さて、学校に7時5分に着きサックスの手入れをしていた。そうすると、江成が来ていなかった。吹奏楽に青春全てを捧げる勢いだったあの江成が。
「三浦先輩。江成はなにか来てない理由があるんですか。」
「江成くんねー。昨日玉手川高校に行ってるはずだけどねー。それと関係があるのかな?」
「玉手川高校!あの巽光雄が率いる高校じゃないですか!あいつ抜け駆けしやがって…」
前から江成と玉手川高校の吹奏楽を見に行く話をしていた。だから江成に裏切られたことに腹を立てた。
そんなことを考えてる間に朝練が終わり、そして授業中もその事について深く考えていた。あいつにだけは負けたくなかった。
そして部活の時間になった。さすがに放課後の部活にはあいつも顔を出した。
「おい!江成!お前なに約束破ってやがる!お前がそんな薄情なやつとは思わなかったぜ!」
僕は強めな口調で江成を責めた。
「…」
江成は黙っていた。
「なんとか言えよ!」
僕がそういった瞬間凄まじいスピードで江成のフルートが僕の目の前に飛んできた。僕はそれをかろうじて避けた。しかし僕の頬には一筋の血が垂れていた。
「お前なにフルート投げてんだよ!大切な楽器だろうが!」
凄まじいスピードのフルートには驚きを隠せなかったが演奏者として楽器をなげるその態度はそれよりも優先的にツッこむところだった。
「それはもういいんだよ…もうフルートは使わん」
「why?」
「俺はこれからはコントラバスを使う。」
「コントラバスはうちの学校では必要ないだろう!」
「俺には必要なのさ…お前のサックスに勝つためにはフルートではダメだった。」
「フルートだって綺麗な音色を出せるじゃないか!」
「そんなの関係ねぇ!そんなの関係ねぇんだよ…フルートは小さすぎた…お前のサックスに対抗するためにはな。」
江成がそう言った次の瞬間、コントラバスの弓で江成が僕に斬りかかってきた。僕はそれを反射によってサックスで防いでいた。
「何すんだ江成!楽器を武器みたいに使いやがって!」
「武器…?その通りだよ…演奏するだけの吹奏楽なんて時代遅れなんだよ!」
そうしてまた江成は弓を投げる構えをした。そして投げた。さっきのフルートよりも速い。絶対によけれない。僕は死を覚悟した。
「うわぁぁぁ」
カキン!グサ!そんな音が音楽室に鳴り響いた。僕は閉じた目を恐る恐る開けてみた。そうしたら驚異的な光景が視界に入り込んできた。なんと江成の腹にはシンバルが刺さっていた。まるで古代インドで使われていたチャクラムのような使い方だと思った。そして、さらに驚きなのはそれを投げた人物だった。
「お兄ちゃん。大丈夫?」
そこに立っていたのはあの広武だった。