第45話「ギャグキャラドワーフは夢の中」
一部文章を追加しました。タイトル等を変更しました。
「てめぇえええええ!!!」
目の前で、愛する人が死にゆく姿にソウルは激怒した。
植木の陰に潜んでいた回転式のアームが、ノイムの胸を貫いたのだ。
にいさま、頑張って。
その遺言が、如何なる意味を持つのかソウルには分からなかった。
ただその言葉に突き動かされるように吠えて吼えて咆えて。
ソウルは無我夢中でハンマーを奮った。
「ソウルさん!落ち着いて!物理攻撃は効いてないわ!」
「ふざけるなぁ!!ノイムちゃんを返せ!!ノイムちゃん!!!」
セシィが叫ぶが、ソウルには届かない。
まるで墓に埋葬されるかのように、ノイムはアームで持ち上げられ、博物館へと運ばれて行く。
そうしてる間にも重装歩兵のロボットはゆっくりソウル達に挑まんと動き始めていた。
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たわし、死んじゃった。
皆、すまんなぁ。
「あぁ、やっと死人が来たのね」
「随分と早かったな、しかし、此奴だけか」
何言ってるのだ?
「あぁ、今魂の状態だから何もわかってないのね、ほら」
たわしの体が構成されていく。
伊乃夢ではなく、ノイムの体であるが。
目の前の美しい女性がたわしに話しかける。
「アナタはこの世界で初めて、本当の意味で死んだのよ」
なるほど分からん、とりあえず質問してみるか。
「なら、たわしは、元の世界に帰る事になるのか?」
「いいえ?もう、二度と帰れないわ。あの世界で死んでしまったから」
余計に分からなくなった。
「って事は、向こうで蘇生呪文を使って貰えれば、生き返れるのか?」
「いいえ?今のあの世界でアナタを生き返らせる事が出来るプレイヤーはいないわ。
だってアナタ自身が初めての死人になってしまったのだから」
誰かたわしに神の意図がわかる知恵をくだしあ……。
「それじゃ、たわしはどうなるのだ。
ずっとこのままか?」
「いいえ、アナタは、新しいシステムの因果に組み込まれるのです」
女性の言葉に合わせるように、隣にいた賢そうなドワーフの男が前に出てくる。
「それについては私が説明してやる。
システムの名は、スキルコネクト。
生前の善行、悪逆、心持ち、使った技、その他全てを接続し、分解し再構築し、技能、称号などに分配して新しいスキルの取得を可能にする」
「そのシステムに組み込まれたら……どうなる」
「お前の亡骸を細胞ごと分解して魂の居場所を再構築する。
再構築した身体にお前の魂を入れれば、あの世界でお前は『存在的には』生き返れるということになる。
それが私達がしようとしている事だ」
ーー生き返れる。
正直、元の世界にあった未練はかざむがこっちに来ている事と、昨夜心の整理をしていた為殆どない。
小学生のかざむをあんな世界に帰す事はしたくないと思っているくらいなのだ。
「たわしをシステムに組み込んでくださいなのだ。」
「即答か、ほらよ」
たわしの心臓から光り輝く映画フィルムの形をした何かが飛び出してくる。
カラカラと回るように動くソレを見ると、この世界に来てからの出来事が映し出されていた。
『オリジナルの破損データを破棄、修復、分配、再構築。
第1段階、接続完了』
ノイム・フジハ
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種族:ドワーフ
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手持ちの所持ゴールド 170000G
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住所 中都市ランブ住宅村アリス地区5丁目
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Lv1
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HP 512 MP 167
攻撃力 210 防御力 340
魔攻力 360 器用さ 707
魅力値 450 素早さ 420
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装備
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武器:キリングハンド(破損データ)
女神カルテットの心を盗んだと言われる冒険神キリングの加護が失われた鉤爪。
血液を吸い取り、アニマルカルテットは呪いのアイテムに変化した。
攻撃した者に状態異常(毒)を付与する。
持ち主は他の武器を装備出来ない。
攻撃力↑180 器用さ↑20
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頭:チェシャ猫アイ(破損データ)
冒険神キリングの加護を失った呪いの髪飾り。
血液を吸い取り、凶悪な笑みを浮かべるチェシャ猫の姿になった。
このアイテムは外す事が不可能。
器用さに補正がかかる。
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胴体上:チェシャ猫ハート(破損データ)
冒険者キリングの加護が失われた怪盗レディのキャッツセーターの成れの果て。
持ち主の心臓を捧げて作られた呪いのアイテム。
血液で完全なる真紅に染まった毛皮に加えて胸元にハート型の穴が空いており情熱的なセクシーさがアップしている。
使用者の心臓を突き刺すと透明になる呪いが付与されている。
器用さと魅力値に補正がかかる
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腕:チェシャ猫バンド(破損データ)
冒険神キリングの加護が失われた、真紅のバンド。
チェシャ猫の尾を彷彿とさせるようなシマシマ模様が特徴的。
このアイテムは両方の手に見えない鎖を発動出来る呪いがかかっている。
器用さに大幅な補正がかかる。
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胴体下:チェシャ猫チュチュ(破損データ)
冒険神キリングの加護が失われたシマシマ尻尾付きの赤黒いスカート。
血を吸って呪いのアイテムとなった。
状態異常を吸収する呪いがかけられている。
パンツは残念ながらスパッツで見えない。
素早さと魅力値に補正がかかる。
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足:チェシャ猫ブーツ(破損データ)
冒険神キリングの加護が失われた赤いふわふわブーツ。
野生の力を体現したかのようなその足は、力強く動けるように計算されている。
状態異常を倍にして跳ね返す呪いが付与されている。
素早さと魅力値に大幅な補正がかかる。
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チェシャ猫のセット効果
器用さ↑467 素早さ↑250
魅力値↑270 口兄ぃ(破損データ)
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アクセサリー:なし
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装備がなんかおかしな事になっているとか呪いとか色々ツッコミ所満載だ。
「次はスキルの接続を行う」
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キララの街は、パレット絵の具を中途半端に混ぜたような色とりどりの煙に包まれていた。
それらは全て状態異常の効果がある煙で、耐性が無い所を容赦なく突き刺していくのだ。
毒に侵された思考でぐったりとソウルは横たわっていた。
「(ノイムちゃん、ごめん。約束守れなかった)」
機械の悪魔は薄れゆく意識の中、テロルやセシィ、タクト、そしてソウルを拾い上げていく。
そしてどこかへ運ばれる最中、ソウルの意識は途切れてしまった。




