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第36話「希望の一筋」

※微グロあり





たわしはにいさまを襲っていた暴漢ホモ野郎をクモノで縛り上げる。



「えーっと、貴方は?」


にいさまに問いかけられる。


……そういやたわし助ける為に無我夢中で変な格好したままなのだ。


こんな姿をマイクにチクられたらマズイのだ!幻滅されてしまうのだ!




「たわし、にゃ、いや、ネチバはネチバ仮面なのだ!」


しまった、いやまだ大丈夫だ。きっと。



だがにいさまは疑いの眼差しを浮かべている。




そのまま間近に来て凝視された。



「……ノイムさん?」



やべ。




「ネチバはネチバなのだ!そのノイムとかいうドワーフなぞ知らんのだ!」


「ノイムさんがドワーフなんて誰も言ってないよ」





にゃー、やっべーのだ、っべーのだ。

ならば転移石で。



「ダメ」



手を取られて抱っこされた。近い、近いって。



「ぬぉー!離すのだー!」


「どれだけ一緒に遊んだと思ってるんだい」


たわしが抜け出そうとしてもステータス上はにいさまの方が攻撃力が上な為に抵抗虚しくがっちり腕の中に固定される。


意地が悪い声で耳元に囁かれくすぐったくて仕方ない。




「あの、ソウルさん、コイツ回収しても?」




たわしの知らないマーマンの一言でにいさまの腕力が緩む。


「あっ……砂浜で動けないよう埋めましょうか」



「さては忘れてたなオメー」




にいさまは、たまに天然なのだ。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「逃げちゃダメだからねノイムさん」


「うぅ」



たわしがネチバ仮面をやめた後も手を繋がれたまま連行される。


気分は捕まった宇宙人グレイなのだ。


浜辺まで来た所で声がかかる。


「ノイムさん!」


「!にゃー!セラさんー!!無事で良かったのだぁ!」


にいさまがたわしの手を離してくれたのでセラさんに駆け寄って抱きつく。



「ソウルさんが助けてくれたの」


「流石にいさまなのだ!あ、にいさま……報酬は?」


抱っこされたままにいさまに問いかける。


「んー、何でももいい?」


「うん!!」


「《サブリーダーを探して》クリア!それならまだ考えたいから待ってて」


なんかすごく笑顔、一体何を要求するつもりなのだ?


「決まったら言ってな!セラさん、体調とかどうなのだ?大丈夫かー?」



「ノイムちゃん、ありがとう。今は全然大丈夫よ。」




そんなほのぼのとした空気の中、浜辺に掘った穴に全ての戦犯の体が埋められ晒し首状態になった。






「皆さん、集まってください」





その声に皆が注目している。



「集まった所で、この人達の処遇を決めようと思います」



「処遇?」


「あぁ、……言いづらいんだけど実は」


にいさまからトージの町で起こった救出劇を聞かされる。


トージの町についた時知り合った人達。

転移したばかりの不安な環境で行われた悪逆と、トージの町への襲撃未遂。


反省の気が見当たらない為、更生させるまでの間でまたやらかすだろうという予測。




そんな中、埋められた一部の人間に恐らくヘンゼルさんだと思われるマーマンが気付け薬というアイテムを使用しHPを1残して戦犯達を瀕死から復活させた。





「何だこれはァッ!」「そこのクソ魚!解放しろや!」




「目覚めてもこれか」



「《オールリベ》がッ!」



「悩む必要はまだあるけど、これくらいならしてもいい気がしてきたよ」


オールリベヒールの使用を試みた僧侶を蹴り飛ばし呪文発動を阻止するヘンゼルさん。


「これくらいなら体力は削れないんだね。


……っ《ヒールエンプティ》をコイツにかけて」



ヘンゼルさんが一瞬辛そうな顔をした。




近くにいた僧侶が体力を全て回復する《ヒールエンプティ》を詠唱し発動する。


ヘンゼルさんが敵の僧侶の舌を引っ張り出して短剣でカットした。



「ァァァア゛!《りぅ、れりぃ》ンェッ、ゲホッ!、ァッ゛」




大量の血液が舌の断面から流れ落ちていく。


リベヒールの呪文の母音が出ていたが、発動はせず失敗に終わったようだ。


「っ゛……次に発動しようとするやついたらこうするからね」


切り落とした舌を手から落として、戦犯達を睨むヘンゼルさん。




解放しろと喚く人の中にはスキルを発動しようと試み、発動を阻止される者もいたが、それを横目で見て静かになった。





「皆の手を、汚させる訳にはいきません。


処刑する場合は俺が、殺します。」






平和な世界から来たたわし達。





処刑って、あれよりも、むごいんじゃ。






その瞬間抑えていた僅かな吐き気が膨れ上がる。




「ゔッ」

「ノイムさん、大丈夫?」



にいさまの暗い雰囲気を纏った声がする。


吐き気に取り憑かれながらぐるぐると思考が巡る。


殺した後、町を救った英雄であるヘンゼルさんは何と呼ばれるのだろうか。


人殺しと、平和を取り戻した後の、この世界で言われてしまうんじゃないのか。




様々な思考がたわしの中で駆け巡る。



鮮明に残る異様な光景。紅に染まる手。



ヘンゼルさんの血塗れの手が、持っている短剣の刃先から垂れる雫が、震えていた。




ヘンゼルさんは分かってて、手を染めようとしているんじゃ。




これだけでも十分こびりつく記憶。


それ以上の光景なんて、この日を誰も忘れる事が出来なくなる。


ずっと奪った命を背負って生きていく。


英雄という、人殺しの汚名を被ったまま。





そんなの、ダメだ。





皆でやろうが一人で殺そうが、やった事実は変わらない。


でも、彼らを生かしておく訳にはいかない。






綺麗事じゃ終われないのだ。





洗脳出来る手段なんて、この世界の呪文には存在しないし、スキルだって。





あれ?スキル?






「ストップストップー!!殺しちゃダメなのだー!!!」





たわしの声で、暗い雰囲気が怒りを纏う。





「何だよ!お前部外者だろうが!」「部外者だからそんな事言えるんだ!この偽善者!!」



皆の行き場のない悲しみと怒りが八つ当たりがたわしに向けられる。





「偽善者でもいいから聞いて欲しいのだぁ!」




ホントはあまり使っちゃいけない手だけど。


たわしは無力だから。





「《魅惑のはるなんちゅ》に魅了してもらうのだ!」




他人を頼る。




「……出来るの……?」






グレーテルさんらしき人がポツリと言う。




「やってみてもらうしかないのだ」


「ノイムさん、その人がこの世界にいるかなんてわからないよ?」



にいさまが問いかけてくる。



「たわしのフレンドにいる。ここにくる前に会ってるのだ」



「なら、やるだけ、やってみましょう」



僅かに明るさを取り戻した、ヘンゼルさんの声が皆をまとめた。




タイトルを変更しました。

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